連載『オスカルな女たち』
《 軌道修正型恋愛 》・・・6
ガラスが割れたら、破片が残る。
(せめて、破片が刺さらずにさらさらと流れてしまえばいいのにね…)
せめて織瀬(おりせ)の心に破片が残りませんように…。
そうしてその日は腕の中に織瀬の震える感触を残したまま別れた。
沈んだ気持ちを抱えたまま帰路に就くと、自宅に灯りが点っていた。
(また、来てるのか…)
こんな日に限って…と、すっかり気分を害されたつかさは勢いよく玄関ドアを開けた。
「ただいま…」
(…っと、)
言ってしまって人影がないことにほっとする。
つい癖でそう言ってしまうが、玄関先に吾郎がいたら勘違いされるのではないかと口をつぐんだ。
(こういうところがかわいくないんだろうなぁ…)
つかさは最近、そんな風に冷静に自分を分析する癖がついた。
案の定、無造作に脱ぎ捨てられた靴が目に入ると黙ってその靴をそろえ、耳を澄ます。
リビングが静かなところを見ると、どうやら今はシャワーを浴びているのか、もしくは2階にいるのだろう。
「…ふう」
大きく溜息をつきながらリビングに入る。
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです