連載『オスカルな女たち』
《 治りにくい傷 》・・・21
「わかってる」
…今は、探す気力もない。
「今度、結婚記念のプレゼントを贈るね」
「え、そんなのいいのに…」
「いいからいいから、楽しみにしてて…」
少し含んだ言い回しで、萌絵はいたずらに笑ってみせた。
相手に期待しすぎると痛い目を見る…萌絵の言葉が耳に痛い織瀬(おりせ)。自分も知らずに期待しすぎていたのだろうかと、いつまでも脳裏に張り付いて離れなくなった。
でも、誰に?
(幸? それとも…)
萌絵の活き活きとした姿を横目に「自分はなんて小さいんだろう…」と、そんなことを考えていた。夢を叶え、それを手にした者の生きる輝きは、見るものを勇気づけもすれば委縮させることもあるのだ。
確かめてもいいのだろうか・・・・。
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