連載『オスカルな女たち』
《 守秘義務 》・・・12
「そういうわけじゃないわ」
「ふ~ん」
なんとなく釈然としない。
「あなたこそ…仲、いいんじゃないの? 大学病院、一緒だったんでしょ」
遠慮しがちに爆弾投下…
「ン、なわけ…! あるはずないじゃん。大学病院だって偶然だし、いつでも敵視よ。だいたい、いつも男としかいなかったし」
「あなたが?」
「あっちが!」
(なんであたしだよ…?)
「そこが、釈然としないのよねぇ…」
「なにがよ?」
「だって彼女、ビアン寄りでしょ?」
「は…?」
(へ?…びあん…だと…?)
「あ…?」
「やだ、知らなかったの? え…玲(あきら)さんも? じゃ、みんな知らないのかしら…」
自然に語尾が遠のいていく。
(今。なにを…? 言った?)
驚きで瞬きができない。
「違うのかしら…? でも。ほら昔、真実(まこと)さん目当てにカレー持ってくる男子高生覚えてる?」
(またカレー男子…?)
「覚えてないよ、そんな昔のこと」
「だいぶ敵視してたわよ~、彼女」
「だれを?」
(あたし…だろーな、やっぱり)
「カレー男子を、よ」
「カレー…? え…」
(…ちょっと、待て、)
「そ。真実さん、ソフトボール一色だったから気づかなかったのね…? あのコ、…遥が玲さんにくっついてたのはあなたに会うためよ」
「はぁ…? まさか…」
失笑してみせる。
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