連載『オスカルな女たち』
《 織姫と彦星 》・・・15
翌日、織瀬(おりせ)はお昼過ぎに吉沢産婦人科医院を訪れた。もちろんそれは『観劇のオスカル』を見舞うためだ。
「別に毎日様子を見に来てくれなくてもいいのに…」
そう言って出迎える弥生子(やえこ)だったが、最近では織瀬を待ち遠しく感じているようにも感じていた。
「あなた、わたしがひとりでいるからって憐れんでるわけじゃないでしょうね…」
面倒くさそうに立ち上がり、自前のティーセットを準備するのも手際がいい。いつも誰から届けられているのか、ちょっとしたお菓子が用意されていたりする。
「そんなこと…。今日は、報告もあったから」
そう語る織瀬に、
「ふ~ん。別にいいけど…クリスマスプレゼントなんて、よかったのに。ぁいたた…」
そう言って織瀬にカップを手渡し、ベッドの上のラッピングされた袋を見遣る。
「大丈夫?」
「大丈夫よ。最近動きが激しくて、足の付け根が痛くなるのよ。あなたのことが解るみたいよ。喜んでるのよねぇ『ママが来た』って」
「そんなことが解るの?」
「解ってると思うわよ。わたし、あなたのことよく聞かせてるから」
「へぇ…」
途端に織瀬は嬉しさに頬が緩む。
「あなたも話しかけなさい」
そう言って、自分もソファの隣に腰かけた。そして、流れるように、
「あなた、なにかあった?」
と、鋭い視線を投げかけた。
「え?」
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
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