連載『オスカルな女たち』
《 ココだけの話 》・・・15
「とにかく…ダメなもんはダメなの! いい加減、前向いて歩きな!」
真実(まこと)は、言い殴り、佑介を残して店を出た。
〈オレのなにがダメだったんだ…〉
〈そんなに、オレがダメなのか…〉
〈どうしてもオレじゃダメなのか〉
行きつくセリフはいつも同じだった。
「もう聞きたくない…」
真実は胃をつままれる思いで自分の医院へ向かいながら、煙草に火をつけた。
「ダメじゃないんだよ…」
(ダメなのはあたしだ…。あたしが、ダメなんだよ、佑介…)
自分はもう、男を愛せない…真実はそう自覚してしまったから、このやり取りすら心苦しくて仕方がない。
(いい加減…諦めなよ。いい加減、解放されな…あたしから)
玄関脇の喫煙コーナーに立ち、道路向かいの喫茶店の窓の向こうで憔悴する元夫の横顔を眺めながら、申し訳ない気持ちを煙に乗せて吐き出した。
男嫌いなのは、父親がいないせいだと思っていた・・・。
(ちゃんと、理由はあったんだよ。気づくのが遅かった…だけ)
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです