連載『オスカルな女たち』
《 孤独な闘い 》・・・18
おかしなことになってきた。だがこのまま引き下がるわけにもいかない。
「医院(ココ)にもしょっちゅう女が怒鳴り込んでたし…」
言い訳しているようだが、事実だ。
「相手にもしてないでしょうに」
(なぜわかる?)
「帰ってこないって言ったじゃん」
「それは仕事がらお互い様でしょ」
「まぁ、仕事がら?」
(なんだ? なんだ? やりこめられてるぞ)
「すれ違いが原因なわけ?」
「ん? ちょっと、待て。誰に吹き込まれた。…仕事のことなんか知らないはずだろ?」
先ほど病室に訪れる前にすれ違った天敵を思い出す。
「お袋さんか…!」
「あら、ばれちゃった…」
舌を出す弥生子(やえこ)。
(あらばれちゃったじゃないよ、あぶねーあぶねー。すっかりそっちのペースだよ)
「暇に飽かせて、人をダシに会話を盛るな」
「でも、お母様の話を聞いてるうちにわたしも興味が湧いたのは事実よ」
「もういいじゃん」
そう言って立ち上がり、真実は窓際のテーブルにカップを置いた。
「真実さん、里子の話は進んでるのかしら」
「あ? あぁ…」
不意の言葉になんの用意もない真実は、ポーカーフェイスも形無しだ。
いいなと思ったら応援しよう!
いつもお読みいただきありがとうございます
とにかく今は、やり遂げることを目標にしています
ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです