連載『オスカルな女たち』
《 スパイス 》・・・14
「本気で口説けば…?」
「それは今さら時間の無駄ね。努力は認めるわ。でも、いまいちだったわね」
少なからず心揺さぶられたことは当人には言うまいと、秋山の醜態に玲(あきら)はつまらなさを感じていた。
(でも…久しぶりに、楽しませてもらったわ…)
もやもやとした秋山の行動は、次の〈赤い部屋〉への原動力に繋がる。このイライラは鞭を振るうにはいい材料になると、玲は秘かに思うのだった。
「はぁ…」
大げさに落ち込んで見せる秋山。
「どうしたんですかー?」
お茶を運んできた綾香が、いつになく神妙な面持ちの秋山の様子にあからさまに興味を示し目をきょろきょろさせる。
「ちょっと、気合を入れてあげたのよ」
そういう玲の言葉に、お茶を差し出しながら、
「そうなんですか? 秋山さん、仕事でも玲さんに愛想つかされちゃったんですか~」
そう言ってからかう綾香。
「仕事もっていうなよ! 仕事も、って…」
ムキになって答える秋山。
「じゃ、な~に? 仕事は愛想つかされてないとでも?」
「そういう、わけじゃないけど。…いや。最近、生意気だぞ…!」
「やだ。そういうこと言うんですかぁ、往生際が悪~い」
「う、うるさい」
勝手が解らない綾香の言葉はますます秋山を落ち込ませるだけだった。
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