連載『オスカルな女たち』
《 いちばんいい? 》・・・17
「そんで?」
「あ?」
「今日はなにしに来た…?」
背もたれにけだるそうに体を預け、佑介の待ち伏せの理由を尋ねる。
「昨日『貸しだ』っていったろ?」
「だから無視せず来てやった。さっさと要件を言え」
「あ、あぁ…」
惚れた弱みか単なる癖か、拒絶されると必死に食らいつくわりに、こちらが受け身になると途端に逃げ腰になる。
「なぁ真実(まこと)。結婚しようぜ」
突飛なセリフに、ゆっくりと瞬きをし「寝ぼけてんのか?」と返す。
「いや、起きてる」
「そうじゃなくて…」
「な、結婚しよう」
「ふざけるな」
「やっぱり、好きなやつがいるのか~」
腕を組んで考え込む。
先日真実の義妹の〈麻琴(まこと)〉に吹き込まれたという理由からか、気がかりなのはなんとなく理解できる。だが、そもそもなぜ「拒まれているのか」という根本的なところが佑介の頭の中から省略されている。
「いるよ」
根が単純な佑介を相手にまどろっこしいやり取りは「無駄」だと知っている真実は、場を濁すよりも直球を投げた方が話が早く済むと判断した。
「そうか…。え!?」
「なんだよ、いちゃおかしいか」
「え~?」
「声がデカいよ」
「いや。…いやいやいや。えぇ!?」
「うるせーなー」
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