蜜月の刻（とき）

やっぱり「初体験」の話なんて、みんな言いたくないよね。だって、カッコ悪い思い出しかない。それはわたしだけじゃなかった。
それまでの彼との過程がどうとかいうことより、別な感情が優先されているような気がするから・・・・

編集者：匿名希望

学生時代にありがちな、グループ交際や友だちの友だち…なんていう括りの中には友情も信頼もない。未熟な心では未熟な関係しか築けないのだと、身をもって体験することになった。

「ちょっとしたことで、ムカついたことがあった。彼女との付き合いは、修学旅行の班が一緒だったってだけ。だから、相手を思いやるとか『倫理』とか『理性』とか、そういう気遣いはいらないと思った」

「つまり？」

「ムカついたから、出し抜いた」

「へぇ…やるねぇ」

「彼女が彼とｋｉｓｓする前に、彼とｋｉｓｓした。それ以上のことも」

「とったんだ…？」

「そう。とった。でも…」

「でも…？」

「でも…はなくて。とって、そして後悔した」

そう、心のままに動いたら失敗した。
突然に気が変わったり、わけも解らずムカついたり、理由はあるけどたどり着けない、思春期にはありがちだけど、腹いせにするには、自分の犠牲が大きすぎた。それに気づいた時にはもう、わたしは・・・・

今なら解る。つまらない感情からは、素敵なことは生まれない。