連載『オスカルな女たち』
《 最初で最後の晩餐 》・・・4
「向こうもいろいろと入用だから、家具もそのまま使うって言うし、弟たちの部屋のものはそのまま置いて行くし、食器とかは揃ってないものを持ちだして、古い物は捨ててって感じで、あたしのやることは少なくて済むから」
「なんだか追い出されるみたいだな…」
相変わらず真実(まこと)の歯に衣着せぬ物言いに、
「でも、こういうことは勢いも大事だから。ねっ」
と、織瀬(おりせ)が擁護する。
「まぁねぇ…タイミングってあるよね」
つかさはそう言いながら、ワインボトルをテーブルに置いて玲(あきら)の隣の席に着いた。
「あたしも、住むところ決まったらさ、いろいろと欲が出て…」
と付け足し鍋の蓋を開けた。
「時期的には早いかなと思ったんだけど、これが一番食器が少なくて済むから…」
仕事のあとということもあり、準備が少なくてすむ「鍋」に言い訳するようにして3人に目で訴えるつかさ。
「わぁお。充分、充分、さっさとやっつけよう」
箸を持ったままの真実に、
「さ、乾杯しましょう」
玲がグラスを持ち上げた。
「なにに?」
待ちきれない真実もグラスを手にした。
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