バラ風呂

連載『オスカルな女たち』

《 水曜日。家出。 》・・・13

「…明日香が今回の発起人だったみたいだけど…。
さっきも言ったけど、私たちが会ってることをどこかで聞いていたらしくて、本当に羨ましかったみたいなのよ。マコを引っ張り出せば、私が出てくると思ったみたいね…」
 発起人であるがゆえの理由は、あえてここでは話すこともないだろうと玲(あきら)は判断した。

 だが逆に、真実(まこと)がいても明日香は同じ話をしただろうか…とも考えた。
「ほら見ろ、やっぱり行かなくて正解だ。あたしはおまけだったんだよ…」
 皮肉る真実に、「そんなことはない…」と言いながらも、

「でも、いなくて正解だったかもね…」
と、小さく付け加えた。

「そんな居心地悪かった?」
 マンゴーをつまみながら、口元の果汁を手の甲で抑える真実。
「そうじゃないの…」
兄の浮気が事実でなかったとしても、これは「身内の恥」には変わりないと思うところもあった。あの場でそんな話を聞かされていたら、それこそ真実は居心地が悪かっただろうと。

「やっぱり…空気が違うじゃない…?」
 無理に合わせることはない。
「まぁね…。なにがどうってわけじゃないけど、あそこはあたしのいる場所ではないと思うよ」
 それは真実の正直な気持ちだ。
「環境が違えば、考え方も違うわね…」
 誰を指して言ったのかは解らないが、それはひとりごとのように流された。

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たゆ・たうひと
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです