連載『オスカルな女たち』
《 男ともだち 》・・・8
「いいじゃないですか、ふたり。なんか、隠語で会話してるようで、お互いのことよく解ってるって感じしますけど?」
隠語で会話。面白い言い方をする。真田とはまた違ったタイプの、客を失望させない言い回し。
「なんだよ、隠語って」
少し酔っているのか、それとも彼の前ではいつもこうなのか、普段見せない圭慈の態度が「かわいい」と思えるつかさだった。
「お似合いってことです」
そう言って京谷は、バーボンとチェイサーを差し出す。
(なんでもわかってるんだなぁ…。もしかして、恋人!?)
少し目を見開いて彼を見る。と、
「違いますよ」
こちらの心が読めているかのような返答にドキリとする。
「え、心の声漏れてた?」
「そうじゃありませんが、そうかな、と思って…」
そう言って「ふふふ…」と笑う、そんな姿も美しい。
「なんだよ、おまえら。そっちの方が隠語じゃん」
カウンターに突っ伏して、ますますグズグズと、まるで駄々っ子のようだ。
「圭ちゃん、本性だだ漏れなんだけど」
そう言って笑う京谷が、性別を超えた関係をのぞかせる。
「もういいよ、つかさは。俺、やっぱ勝てねぇや」
そう言って顔をそむけた。
「まぁまぁ、」
ぽんぽんと肩を叩き、だが、このやり取りが楽しいと思うつかさだった。
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