連載『オスカルな女たち』
《 母か、女か、》・・・4
「しかも、とった方がいいって。子宮…」
それは同時に、織瀬(おりせ)に「子どもはあきらめろ」という宣告と同じだった。
「そんな…」
思わず口を押えるつかさ。
「病院で言われてきたのか?」
「生理の時の、大量出血は筋腫のせいだって言われて…ピルで閉経を待つか、子宮全摘手術をするか。…どっちにしても、子どもは望めないって」
「そう、言われたのか…」
真実(まこと)の言葉に、織瀬は黙ってうなづいた。
聞けば織瀬の筋腫は既に6センチ以上にも育っていて、子宮が圧迫されているどころか変形している状態にあるという。
どのみち妊娠を望んだとしても着床しにくい状態であったと言える。
そんな状態ではもうずいぶんと前から「体になんらかの症状や不自由が出ていたのではないか」という医師の指摘であったが、織瀬は普段から夫婦の営みがなかったためか「痛みを感じる」という自覚症状もないままやり過ごしてしまったということだろう。
「それって、もし夜の生活があったらもう少し早く解ったってこと?」
つかさが静かに問う。
「そんなこと、今さらだろ」
悔しそうに真実が遮る。
「どうなんだろ…」
(でも…)
織瀬は少し考え込むようなしぐさを見せた。なにか言いたげな様子ではあったが、それ以上言及することはなかった。
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