連載『オスカルな女たち』
《 最初で最後の晩餐 》・・・6
「女将は休みなんだ…。あちっ」
せっかちに箸を動かしながら皮肉を忘れない真実(まこと)。
「…じゃぁ、子どもだけなんだ…まだ続いてんの? 夫婦喧嘩」
このワイン美味しいね…と、真実と玲(あきら)のグラスにスパークリングワインを注ぎ足しながらつかさが続いた。
「しかしよくやるね。わざわざ玲のマンションから通ってんだろ? 毎日」
「そうよ、毎日4時半起きで。おかげさまで毎朝旅館のような朝食が食卓を飾ってるけど…朝からあんなに食べきれないわ。喜んでいるのはうちの主人と子どもたち」
「大変だね、玲も」
取り皿を玲に渡す織瀬(おりせ)。
「ありがとう。…どうもね、『オスカル』が絡んでるらしいのよ」
「オスカル?」
取り皿を受け取りながらつかさが言った。
「そう。…『小悪魔オスカル』よ」
「小悪魔? まさか、子リスちゃんか…!」
真実には思い当たる人物がいるのか、再び空になった皿を織瀬に差しながら鼻で笑った。
「子リス?」
それを受け不思議顔のつかさ。
「そう。その子リスちゃんよ」
玲はつかさのグラスにスパークリングワインを注いで、わずかに残った分を自分のグラスに注ぎ足した。
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