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連載『オスカルな女たち』

《 騒がしいやつら 》・・・6

「いいですか?」
「なにが?」
「行きますね…」
 そう言ってポケットに突っこんだままの手を動かす。すると真実(まこと)の掌の上のファーがブブ…っと震え、
「うわっ…」
 当然ながら真実は手を引っ込める。
「なんなんだよ、これは…」
 床に落ちたファーを見つめながら、震えでむずがゆくなった掌を激しくもう片方の爪先でかきむしった。
「なにって、一緒に入ってたローターです」
 言いながら、真実の掌から落ちたファーを拾い上げると、コードの部分を持ちするりとファーを外して見せた。
「ろーたー? あ? 一緒に入ってた?」
「はい。開けて見なかったんですか?」
 楓の指先には、親指より少し大きい程度の卵型でピンク色の器具があった。
「開けないよ~、そんなの。確認する必要もない…」
(おまけがついてるのか…。それとも最初からセット…?)
 そんなことはどうでもいい。
「最初から金太郎くんでは、無理があると思ったんじゃないですか?」
 携帯の充電器でも持つようにくるくると指先のそれを回転させ、真実の顔の前で振って見せる。
「そんなの知らないよ~」
 今度は真実がフラワーロックのような動きで肩を落とす。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです