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《避難所》女性たちの避難が始まりました。

皆様、こんにちは。代表の宮村です。
4月にソーシャルワーカー1名の雇用についてご報告した後、その後の進捗報告に時間がかかってしまったことを心よりお詫び申し上げます。


1. セネガル渡航報告

6月には私自身もセネガルに渡航し、22日間を過ごしました。ダカールでは販売する商品の仕入れや日本への発送を、ティエスでは避難所の様子を視察することに主な時間を使いました。

ティエスでしたことは主に以下です。

①雇用されたソーシャルワーカー・ジュフさんと話し、避難所を運営するために必要な経費について再確認

施設には20名が寝泊まりできる部屋が用意されていますが、我々の人的キャパを考えて最初は10名の女性の受け入れを目標としたいとジュフさんは話しました。そのために、最も重要なのは最低6名のスタッフの雇用(特に避難女性と一緒に寝泊まりできる女性ソーシャルワーカー2名の雇用が最優先)と避難者の食事です。スタッフの雇用が月21万円、10名+スタッフの食費が月37万円とかなりの費用がかかります。その他に、スタッフのパソコンと印刷用カートリッジの購入、wifiの月契約、女性たちの医療費、生活するために必要な日用品の購入などの経費が必要です。

②子どもの保護に関する会合に参加

ティエス、ンブール、ティバワンヌの3つの州で子どもの保護に関わっている団体がティエスに集まり、朝から夕方までの会合が3日間続きました。ウォロフ語の会話をジュフさんが私のためにフランス語に通訳し、さらにそれをアプリで日本語に翻訳して聞くという作業を繰り返す、気の遠くなるような時間でしたが、参加者の熱量を強く感じ、同業者間の強いネットワークができたように感じました。

③村の女性たちへの性暴力に関する啓蒙ワークショップに参加

現地NPOラ・パワーブルのスタッフであるファティマタさんが主体となって、避難所の周りに住む村の女性たちを避難所のダイニングルームに招待し、性暴力に関する啓蒙を行いました。女性の権利について話し合ったり、レイプ被害にあった際に助けを求められる政府関係の電話番号が共有されたりなど有意義な時間でした。

④WIFI機器を買いに行く

避難所にはwifiが通っておらず、ジュフさんも、フランスからのインターン生のラファエルさんも、仕事上大変困っていました。街に出ないとネットにつながらず、メールすら受送信できないのは致命的です。
そこで、4月にゲヌが出店したセネガルフェスで様々なブランドさんからいただいた寄付金14,500円をwifi機器の購入に充てさせていただくことにしました。

ご寄付いただきましたブランド様は以下のとおりです。
ご協力いただき本当にありがとうございました。

MARIAMさん  (https://www.instagram.com/mariam.sow0414/)
BISSAP de Senegalさん  (https://www.instagram.com/bissap_de_senegal/)
Le Reveさん  (https://www.instagram.com/le_reve_tokitoki/)
KAORIさん 
 (https://www.instagram.com/mama.serigne.khady/)
Naeさん (https://www.instagram.com/nae.coco/)

wifi機器をOrangeショップ(日本でいうソフトバンクショップのようなところ)に買いに行きましたが、機器が欠品中で9月現在も納品待ちの状態です。10月に再度Orangeショップにファティマタさんが行ってくださることになっています。

⑤日本人の皆さんに避難所をご案内

ありがたいことに、セネガルにいらっしゃる日本人の方々から「避難所を訪問したい」というご連絡を多数いただき、避難所ツアーを行いました。ダカールや他の地域からお越しいただいた方もいらっしゃり、ジュフさんが案内してくださいました。

⑥避難所に宿泊

私自身も避難所に2泊しました。避難所での過ごしやすさを知りたかったためです。シーツは綺麗に用意されており、十分な数がありました。これは現地NPOラ・パラーブルの代表ハディさんがご購入されたものでした。

ファンが設置されていないので、部屋の中は暑かったです。窓を開けると蚊が入ってきます…。セネガルで買った100円の蚊取り線香を炊きながら就寝しました。

建物の外は過ごしやすく、夜みんなで温かい紅茶を飲みながら話す時間にとても癒されました。そして、テラスから見える景色と風当りがいいです。心に傷をおった女性たちが過ごすにはとてもいい場所です。

問題は水道水がかなり出づらいことで、今はタンクに水を貯めて、トイレやシャワーなどに使っています。発電用の太陽光パネルの数が十分とはいえないので、2階に水をあげるポンプが動かず、女性たちがいる2階の部屋に水を運ぶのも一苦労です。

2. 女性たちの避難開始

6月末に日本に帰国した後、7月初旬にジュフさんから連絡が入りました。なんと、2人の被害女性を受け入れたというのです。レイプを受け妊娠した29歳の女性、家族とうまくいかず実家を飛び出し、ダカールからティエスに逃げてきた17歳の少女とのこと。少女は飛び降り自殺を図り、大怪我を負って脊髄の手術を行い入院中だということでした。さらにその1週間後には、警察からの要請で、1歳半と3歳の子どもを連れたマリ出身の30歳の女性を受け入れたと連絡がありました。

「スタッフも食費も準備されていないのに、受け入れが始まったの!?」
驚き私が質問すると、ジュフさんの答えはこうでした。

「目の前の困っている人を助けないのは、私の良心が許しません。」

医療費や食事はどうしてるの?と聞くと、

「私とラパラーブルのメンバーが自腹で出しています。目の前にお腹を空かせている人がいるなら、私は自分のお金で食事を買って与えるでしょう。」


これには考えさせられてしまいました。日本にいる私が、「お金が集まってないのになぜ?」と言うことは簡単だけれど、目の前にお腹を空かせた女性(しかも妊娠中)がいるのに、食事をあげないなんて、部屋を与えてあげないなんて、できるわけがないのです。

ジュフさんも、「とはいえ5人でいっぱいいっぱいです。その後も受け入れの要請が続いていますが、限界なので断っています」とのことでした。

私は何をするべきか…。そう思いながら、この緊急事態に何もせずにはいられず、私も自分の財布から3万円を女性たちの食費として送りました。

プライバシー保護のため、女性の写真は控えさせていただきます。

3. 子どもを置いて避難所から女性が脱走

8月初旬に、問題が起こりました。1歳半と3歳の子どもを連れていたマリ出身の女性が、3歳の子ども1人を避難所において、1歳半の子どもと2人で逃げ出したのです。行方は分かっていません。

女性が避難所に来た理由は、幼い子ども2人と道で物乞いをし、子どもに食事を与えているところを警察に保護されたからでした。彼女はウォロフ語もフランス語も話すことができず(プラール語とソニンケ語を話しました)、さらには個人情報を明かしたがらないので、ジュフさんとのコミュニケーションも困難を極めました。マリのカイエ(Kayes)という地域から来たことが分かり、警察がカイエの家族の捜索を始めたことを知った彼女は、朝4時半頃、雨の中を1歳半の子どもを連れて逃げ出したということです。カイエに戻されると思ったのでしょう。

女性は3歳の子どもをおいていきました。彼女は3歳の子どもに非常にきつくあたり暴力をふるっており、子どもは怪我をしていました。その子が彼女の本当の子どもだったかも分かりません。女性は物乞いで得た50万フラン(約12万円)のお金を持っていました。セネガルでは大きなお金です。避難所にいるより、物乞いをした方が暮らしが楽だと考えたのだと想像されます。

ダカールにある避難施設Maison Rose(メゾンローズ)のオーナーであるモナさんに1年前に言われた言葉を思い出ししました。

「あなたたたちがティエスの避難所を始めたら、必ず逃げ出す女性たちが出てくるでしょう。」

その時、私はなぜなのか分かりませんでした。避難所は、被害を受けた女性が助けを求めて自ら来る場所であり、安全な場所で食事と医療を与えてもらえることは喜ばれることだと思っていたからです。そんなに簡単なことではないのだと今回の件で知りました。

彼女は「被害女性」ではないのかもしれません。路上生活になってしまった原因は分かりません。でも、1歳半と3歳の子どもが路上で暮らしていいはずがありません。しかも、暴力をふるわれながら…。避難所は女性と子どもを保護する場所であり、その意味で今回の保護は正しかったと思います。しかし、結果的に3歳の子どもは1人になってしまった。これは非常に悲しいことです。保護の仕方には工夫がいりそうです。

(右)Maison Rose代表のモナさん

4. ラ・パラーブルに事実上管理者がいない問題


現地NPOのLa Palabre(ラ・パラーブル)には、管理者がいません。これが、私の中で最大の悩みとなっており、今回の報告が遅くなってしまった理由でもあります。皆様にどうお伝えすべきか分からずにいました。応援してくださる方々を不安にさせてしまうかもしれない、と思ったり。ポジティブで明るい目標にこそパワーがありますが、今回はなかなかポジティブな答えが出せずにいて。

不安にさせてしまうかもしれませんが、今日はそれらをありのままに報告したいと思います。

ラ・パラーブル代表のハディさんはフランスにおり、セネガルにいません。ファティマタさんは現場の動きはできますが、マネジメントができるわけではありません。現状は、ジュフさんが1人で避難所をまわしている状態です。

もともとゲヌは、避難所の運営を夢見るハディさんを応援したいという想いから立ち上げられました。避難所の存在意義をずっと感じていたし、ハディさんがそれをやろうとしているなら、資金集めを手伝おう、という気持ちでいました。でも、いざ関わってみると、ハディさんはほとんどNPOの活動に関与しておらず、誰が管理しているの?の状態。先月の報告書はまだ?とジュフさんに聞くと、ジュフさんはずっと前にハディさんに送ったと言う。ハディさんから私には届いておらず、最終的に私がジュフさんに直接報告書を依頼する流れに。ジュフさんは求めた書類をすべて提出してくれました。ときには、朝4時までかけて女性の保護リスト資料を作ったんだと話してくれるほど、仕事に情熱的でした。でも、ジュフさんがいくら報告をあげても、運営上の問題点をいくらあげても、ラ・パラーブル内にはそれを拾う人がいない。ラ・パラーブルのミーティングはすべて私がセッティングし、いつの間にか私は資金パートナーではなく避難所の管理者になることを求められていると感じるようになりました。でも、ハディさんやファティマタさんにとって、私はあくまで『資金パートナー』であるらしい。ならば、誰が管理をしているのか…?

そして、もし仮に、『管理者になってください』と言われたら、私にできるのだろうか…?私は日本にいて、日本以外のお金の集め方を知らず、言語も分からない。裏では私にも3歳の息子がいて、家族は私がこれ以上忙しくなることを望んでいない。予算も決まったしあとはお金を集めるだけ!と意気込んでいたのに、お恥ずかしながら自分がすべての管理者になる覚悟まではできていなかったようです。
現地NPOにとっても、将来的に自立した運営を目指していくならば、セネガルに住んでいるセネガル人のマネジメント能力のある人が管理者になる方が適任なのでは…?と思いました。思い当たる人物が1人いて、相談をしました。でも、彼はコンサルタントで、コンサル料は1か月100万円でした。それだけ大きなプロジェクトを動かしてきた人物で、普段は大企業と仕事をしている方なので、それがぼったくりだとは思いませんでした。ただ、それは私に払える金額では到底ありません。

これまで相談してきた人たちから、「ラ・パラーブルの支援をやめたらどうか」という意見を沢山もらいました。避難所という大きすぎる目標を諦めて、性暴力を受けた女性1人をまずは支援するとか、そういったことも頭をよぎりました。

日本大使館から大事なお金をいただいて建設したのに?ジュフさんという超優秀でやる気のあるソーシャルワーカーが現場にいるのに?沢山の日本人の方々が、信頼し応援してくださっているのに?そして何より、セネガルのティエス州という大きな州にたった1つの、女性たちが待ち望んでいる避難所なのに…?

もったいなすぎる。『なんだかんだ、お金集めればいいだけやん。やるって決めたらきっとできるよ。』そんなふうに思う(思いたい)自分もどこかにいます。

5. 今後のこと

「女性たちの受け入れが始まった」というタイトルに、避難所がうまく開始されたのだと思った方も多いかもしれません。期待に沿えず申し訳ありません…。

女性たちの避難が始まって、より一層、避難所の重要性および緊急性を感じる一方で、管理者の問題など課題は山積みです。私はといえば、毎月のジュフさんのお給料(およそ7万5000円)を送るのもぎりぎりで、支援を続けるためにはアパレル以外にお金を集める方法が必要だとも感じています。

今日はハディさんと避難所の管理について話す予定です。クラウドファンディングの際に記載したように、日本でのNPO法人の立ち上げも動き出しています。半年後には、きっとポジティブな答えが見えているだろう、そんな風に思っています。

引き続き、ゲヌの売上の10%は、ジュフさんの雇用費とさせていただきます。ジュフさんは今日も現場で走り回っています。(ちょうど3歳の男の子の保護先が決まり、児童養護施設に移せたようです)

今週末はポップアップ。一歩ずつ。

引き続き、見守っていただけたら嬉しいです。

ゲヌ代表 宮村暢子

9月15日・16日は代々木上原で出店いたします。

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