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街猫街犬パラダイス、トルコ 4

ちょっと不思議なパムッカレ温泉

 トルコ国内交通は張り巡らされたバス路線が担っている。しかも安い。半日乗っても2000円程度。フリーWi-Fiや電源を備えた独り席もあって、若いバックパッカーらは夜行便でホテル代を浮かせ長距離を移動していた。
 ヨシオの場合、いくら快適とはいえ夜行で回るだけの体力はない。となれば昼便で移動、ホテル着、翌日観光、同じホテル連泊、昼便移動というパターンとなる。
 長距離バスでは飲み物やお菓子のサービスはあるものの、昼食休憩はなく果物やパンを持ち込まないと、食いっぱぐれることになる。ほぼ2時間ごとにオトガルという空港並みのバスステーションに停車する。ヨシオはその度に翻訳アプリで「停車時間は何分ですか」と車掌に聞いてトイレに走った。
 バス会社にもよるが、発車前に乗客数を確認する車掌もいれば、即出発というのもあり、広大なオトガルでトイレを探し、もたもたしていると置いてきぼりもあり得る。

西部アイドゥンのオトガル。どのオトガルもとにかく広い。多くのバス会社がカウンターを出していた。そして人の集まるところには必ず「街犬」「街猫」が待っている

 さてヨシオは、カッパドキアからコンヤを経てパムッカレ温泉があるデニズリへ。古代遺跡や真っ白な石灰棚を見るためにデニズリから少し北のカラハユットという街で連泊した。さすがに温泉の街。ホテルの部屋には馬でも洗えそうな巨大な大理石の浴槽があり、栓をひねれば勢いよくお湯が飛び出した。 

カラハユットの街にはモスクの前に、小山ほどある温泉モニュメントがドーンと構えていた。てっぺんから湯が流れ、地元の女性達は温泉で顔を湿らせる姿も見られた。そして「街犬」もうつらうつら

 カラハユットは温泉保養地という少し取り澄ましたような印象をヨシオは持ったが、食堂を探して街歩きをすると、庶民の商店街が数百メートル続いていた。
 この季節、トルコではザクロのジュースがヨシオの喉を潤した。ザクロは店頭に山積みされていて、注文するとおやじが4個ほどをナイフで割って、目の前で手動の絞り器からコップに注いでくれる。
 甘酸っぱいビタミンたっぷりのジュースは、ヨシオの旅に欠かせなかった。

食堂や土産物店が並ぶカラハユットの通りを歩く

 それにしてもパムッカレは不思議な所だ。
 野外円形劇場は、古代遺跡とは思えないほど整った状態で、ヨシオは試しに手を打つとビーンと生々しく響くほどだ。それだけなら地中海のギリシャ・ローマ時代の遺跡にも見られるだろうが、温泉に加え、スキー場に見まがうばかりの真っ白な石灰棚が広がる。世界の奇観だ。
 温泉プール前のレストハウスでは、観光客が行き交う中ベンチで街猫がたたずんでいた(冒頭写真)。

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アキボー@時代遅れのジャーナリスト
シニアの旅に挑戦しながら、旅行記や短編小説を書きます。写真も好きで、歴史へのこだわりも。新聞社時代の裏話もたまに登場します。「面白そう」と思われたら、ご支援を!