おこさまセットのおもちゃは+α
いつものモスバーガーで、いつものジンジャーエールを飲みながら、いつものとおり本を読んでいると、机をひとつ挟んで子供連れが隣に座った。
父親はそのままトイレに向かい、席には男の子がひとりちょこんと座る。
店員がやってきた。
「こちらから ひとつ選んでください」
どうやら、おこさまセットを頼んでいたようで、店員さんはお子さんの目線の高さに合わせてかがみ、おもちゃが入ったバスケットから男の子に好きなものを選ばせていた。
ほほえましい光景。
しかし、ふと思ってしまった。
Q.店員は、どのタイミングでおこさまセットのおもちゃを渡すのが、最適な選択なのだろうか?
悪い癖である。
多分、一生ついてまわる思考の癖。
何を目的関数としよう?変数は?
男の子の満足度、父親の満足度、店員のオペレーションコスト、店のホスピタリティ。
提供するタイミングというのもそうだが、同じ予算で何のおもちゃを提供するか?
これも、僕が大好きなソフト面からの問題解決アプローチだ。
既存の物事を増減によってではなく「やりかたを変えることで問題解決をはかる」手法。手続きの科学の範疇だ。
「おこさまセットのおもちゃ」の最適なラインナップは何だろう?最適化するってのはなかなか難しい。
「おこさまセットのおもちゃの渡しかた」
簡単そうに見えて、深い問題なのではないか?
・セグメントはどうわけうる?性別、嗜好、家庭環境など。
・選択の幅はどうもたせる?選択肢の数は満足度に影響する。
・提示の仕方は?
おもちゃにも人気のふけさめがあるのだろうか?お子様セット用おもちゃ卸市場があるのだろうか?色々と気になり始める。
もう少し考え続けると『おこさまセット』というフレームワークを取り出せそうなので、もう少し深めよう。うん。
どう切り取ろう?
「何か買うと、おまけで何かついてくる。」だろうか?
いや、違和感。これだと、おまけ付き食玩も該当することになるんだけど、それとおこさまランチのおもちゃとは何かが違う。どこが違うのだろうか?
食玩は明らかに、値段におもちゃが入っている。あれは、おもちゃつきお菓子ではなく、お菓子つきおもちゃだ。
マクドナルドのハッピーセットもこちらに近い。
遠足に持っていくお菓子300円で食玩を買う悲劇。食玩とは、そんな事案を引き起こしうる、悪魔的存在である。
話が反れた。
おこさまランチはあくまで「食事」がメイン。そこにふっとさりげなく、おもちゃがついてくる。
おもちゃを得るのは、見返り無しの完全に+αのものである。
そして、単なる+αではなく、何か偶然性というか、知らない新しい世界との出会いをプレゼントしてくれているような、そんな気風が、おこさまランチのおもちゃにはある。
ふつう、おこさまランチについてくるおもちゃは自分では買わないので、おこさまランチを頼まないと出会うことはない。
「ボンベをにぎるとカエルがピョコピョコするおもちゃこうてーな。」とか「あの竹トンボこうてーな。」などとは、親に絶対に言わない。
サンタさんには、ポケモン金(弟者は銀)をお願いし、誕生日にはドンキーコング(GB)(弟者はドンキーコングのスーファミROM)をお願いする。
「買ってまでは欲しくないんだけど、遊んでみるとちょこっと面白いもの。」
9マスパズルとか、ミニ知恵の輪とか。そういう類いのもの。
それが「おこさまランチについてくるおもちゃらしさ」の本質なのではないだろうか。
◇ ◇ ◇
さて、無事にフレームワークを取り出せたので、応用してみる。
ふむ。例えば、誰かにプチプレゼントをするとき、+αのサービスというものを考えるとき、この視点が、ヒントになるのではないか?
他の能力と組み合わせると具体例が見えてきそう。「お菓子をいつでも出せる程度の能力」に組み合わせてみる。
何かおかしちょーだーい。と言われて、ゴディバやモロゾフの高級チョコレートを渡すのもいいが、お?これ、どこで売ってるの?的な面白いおかしを用意しておく。とか。
人にものを提供するという観点にずらしてみると、「会合の余興で景品を何にするか?」という悩みにも、一役買えるかもしれない。
あとは、「マーケティング」に組み合わせたらどうだろう。
日常的に買うものには値引きが効果的。毎日買っている昼飯の弁当がクーポンで200円引きだと、かなり嬉しい。
一方、頻度が少ないものに値引きをしても、あまり嬉しくない。
旅行、観光なんかはそうで、200円値引きするよりも、同じ200円で地元のお土産お菓子を渡してもらったほうが嬉しい。
その方が経済がまわるし、工夫の余地、創造性がある。
よく町おこしとか村おこしの地域振興策としてクーポン券を配るとか、利用料金を少し下げるなどをしているが、これは、いってしまうと 誰でも考えつくアイディア、頭を使わなくて済む施策だろう。
脳みそに汗をかいて出したものは熱がこもる。
それは、住む地域への愛につながり、その熱が触れた人に伝われば、その地域のファンになるのではないか。+α。ここに来ると何か面白いなぁと。こんな取組を考える人がいる、ここはちゃんとしてるなぁ、という信頼感へとつながるのではないか。
そういうことなんじゃないかなあ。(終)
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