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VRで遊べるTRPG「ハローバーチャル」制作秘話

こんにちは。VR-TRPGサークル「ぐだぐだぶとん」代表の逆凪と申します。
今回は私が作ったVR-エモクロアTRPG「ハローバーチャル」の裏話をしていこうと思います。TRPGに関する具体的な考察や身内的な情報は有料部分で説明します。

VR-TRPGとは?ぐだぐだぶとんとは?編

VR-TRPG(VRで遊ぶTRPG)については、こちらの記事を見て頂くと分かりやすいです。
TRPGをVRで遊ぶ事で高い没入感を得て楽しく遊べるんじゃないか、という試みですね。といってもスマホでもPCでも遊べるのである意味3D-TRPGかもしれないと思っています。

今までの制作履歴
弊サークルは4月に「全て忘れてしまえたなら」という別のVR-TRPGをclusterにて公開しています。
これはリアルで遊ぶ時と同じようにVR空間で机を囲んで物語を進めて行くTRPG寄り」のVR-TRPGでした。今回の「ハローバーチャル」は主人公の視点でダンジョンを探索して物語を進めていく「VR寄り」のVR-TRPGです。

「ハローバーチャル」とは
弊サークルが8/31に公開した第二のVR-TRPGです。スマホ・PC・VR機器で遊べるVR-TRPGでDL(進行役)1人・PL(主人公)1~2人で1時間強で遊べます。
詳細は弊サークルのホームページをご覧ください。
今回はネタバレ記事なので、まだ遊んでいない方は見るか一度検討した方が良いと思います。是非遊んでから見に来ましょう。

https://www.gudagudabuton.com/works/projects/emo_hellovirtual

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ワールド&シナリオ編

⓪共鳴
エモクロアTRPGの特殊システム「共鳴」をVRで再現。
4月の「地下壕の讃美歌VR」公開テストプレイや前作「全て忘れてしまえたなら」では、UIに画像を表示したり、ポスプロでノイズをかけたりしていましたが、別にVR-TRPGらしさは無いんですよね。3D-TRPGなら許される位。

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という事で今回は3Dモデルで部屋を作り、青いハートを押したら字幕が流れるようにしました。共鳴者が"REAL"と共鳴していた事が分かるように、流れてくる"REAL"の字幕はPLが読む事としました。初手からTRPGらしからぬ演出ですが、読むだけで良いのでRPシーン前の簡単な慣らしにもなっています。演技派のPLは実力を発揮できたことでしょう。

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①START
シンプルな方が良いと誰かに言われたので真っ白な空間に。謎の部屋探索系のシナリオはこういう真っ白な部屋から目覚める事が多いのでTRPG経験者はしっくり来たかもしれないですね。
DLの立ち位置とPLの立ち位置をはっきり分ける事で操作盤が扱いやすいようにしました。("REAL"のRPをするDLは黒い台座に立つ。)基本的にワープ地点から動いて所定の立ち位置に行くのはDLの方が良いです。シナリオを知らないPLはRP用の部屋(共鳴シーン・START・未来予測樹)では基本棒立ちしてくれます。(まあもう少し頑張ればDLとPLのワープ位置を分ける事もできたんですが)

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②BAR Angel Kiss(2021/仮想)
BAR Angel Kissイベント会場の再現部屋です。本家と違ってライトのベイクをしていないので質感が違いますね。
「メタバース初心者です」と選択すると追加探索できる部屋だったのですが、通過していない方がいるかもしれないので写真多めに貼っておきます。
カクテルやビリヤードのキューを持つとワールド上にチャットが表示されるギミックが存在します。シナリオの本筋にはそこまで関係無いものの、メタバースでどう過ごしているかを知る良いテキストだったと思います。

ロボが喋らない設定を逆手に取って、DLは割と自由にPLに話しかける事ができます。メモを見た後の雑談が捗ったのではないでしょうか。

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③幸甚亭(2021/仮想)
幸甚亭の再現部屋です。サイバーパンク風の広告を送ってもらって配置しました。普段雑談やカジノをやっている時はあまり注目していなかったですが、こうして探索してみると出てくるメモより謎部さんが作った広告の方が面白くて目を引きますね(笑)
(謎解き)
仮想は現実の■■■である。という問題で、選択肢はほ,う,と,ひ,か,ん。答えは「補完」でしたが、残りの3文字を組み合わせると「逃避」ができるんですね。逃避と入力したPLはDLからの心象が悪くなります(知らんけど)。
(途中でアバターが変わる)
幸甚亭に来てある程度探索が進んだ段階でロボットの姿が変化し、DLの好きなアバターに変更する事が可能になります。これは脚本協力のPEGAさんの「イベント時に皆が一斉にロボットアバターから自分のアバターに切り替わる演出が面白そう」という意見から出来上がりました。メタバースでは自分のアバターに愛着がある人が多いので、アバターに「うちの子」意識がある人がTRPGを楽しめる良い演出になったのではないでしょうか。

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[共鳴①]
博士とREALの会話シーンです。
性自認に従ったアバターを着て仮想で生活している人もいれば、バ美肉している人もいますね。「自分の理想の姿になる」は妥当な表現では無いと判断したのでこのようにしました。
自分の居場所と新たな自分については、メタバースで生活していると聞くとメタバース知らない人は、別に自分の居場所はあるしわざわざメタバースに行かなくてもいいな...と考えそうなので「新たな自分」を付け足しました。完全に別の自分という解釈でも良いですし自分の更新という解釈でも構いません。

共鳴テキストより一部抜粋
「私が思うに、人が仮想現実を求める理由は様々だ。ある者は外見と内面の一致を果たし、ある者は逆に乖離を果たす。ある者は自分の居場所を作り、ある者は新たな自分を求める。ここまで聞くと現実が欠陥のように思えるが、そうではない。現実と仮想が重なり合い、互いに補い合うからこそ多くの人々が救われるはずだ。分かってくれるかい、REAL。」

④仮想管理機構(2050/仮想)
会議室で中央のホログラムを定位置から俯瞰で見る状態とホログラムの中を動き回って主観で見る状態を自在に切り替える事ができるというコンセプトのギミックが存在します。
会議参加者が円の上に立っているのは仮想世界では立っていても疲れず、椅子が必要無いから。俯瞰の視点が存在するのは対面で話した方が会議がやりやすいからです。

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④+ホログラム(2050年/仮想)
ホログラムの中にある青いハートを押すと"REAL"のコアに侵入したテロリストとの共鳴が発生します。このテロリストは未完のVRステルスアクションRPG「グッバイリアル」に登場する人間で、"REAL"と同様に世界愛を持つ人間でもあります。詳細は「グッバイリアル」が完成したら書きます。

死にたくなかった。だからコアに辿り着いてすぐ、扉を閉めて立て籠もった。そうしたら彼女が僕に言ったんだ。「世界はどちらかが滅びなければならない」だけど、ふと見えた彼女の目は、そうは言っていなかった。彼女はどちらの世界も愛している。きっと彼女だけでは、何も壊せない。


⑤個室(2050年/仮想)
仮想の未来の個室ってどうなっているかなと思い、ローコストで作ってみました。未来っぽさのあるメタバースの写真や絵があれば良かったのですが、絵が描けないので断念。個室に置いても良いよ!というメタバースの写真・イラスト募集しています。(他プラットフォームはそこの規約が大丈夫なら是非)

汎用人工知能が子供の役割を果たしていましたね。基本的に労働が不要になった世界で創作や発想が人間のやる事になり、不老不死で年齢の上下関係が変わらないなら下に行くほど不利になる。では子供は不要なのでは?と考えました。そのため子供を持つ事が娯楽に変わります。
新規性の減少が好奇心の喪失に繋がり、集団安楽死という結末に至ったのかもしれません。



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[共鳴②]
博士の死後、"REAL"がスワンマンに相談する描写です。
国家よりも大きい箱としての「現実」「仮想」という話が出ます。これだけだと実感が湧かない人もいるかもしれません。しかし、個室では「仮想と現実を比較して勝敗をつけるような記事や、仮想は現実の模倣ではなく超越だと謳うような記事が目立つ。」という追加情報が出ます。強い言葉は大きい反響を呼ぶ為、簡単に使われます。そんな中で我々は本当に中立である事ができるのでしょうか?

共鳴テキストより一部抜粋
「世界は現実と仮想に分断されます。現実と仮想は人間にとって、国家よりも大きい箱でした。そして箱の内側で息苦しくなった人間が、別の箱の人間を時に羨み、時に貶める。箱を自分に都合の良いように解釈する悪性が、現実と仮想の共存を捨てたのです。」

⑥終点(2070年/仮想)
中央には赤いロボが立っており、触れるとノイズの演出が発生した後にRPが始まります。このノイズはVR-TRPG的な話をすると探索とRPの切り替えをPLに理解させる物になっています。
RPで問われるのは「欲しい物は見つかったか」で、最終選択において自分の望む世界の形を考えさせる事に繋がっていきます。

RPが後半にあるのはPLがシナリオの世界についてある程度知った状態で無いと単純な受け答えしかできないからです。
また、イベントでも紹介しましたが塔を上る事で2つの隠しテキストを見る事ができます。

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⑦リビングルーム(2030年/現実)
謎解きは「最初は好奇心を持つ者が新世界に入り、欲望を持つ者がそれに続く。しかし、を持つ者だけは新世界に入る事はできない。」が正解でしたね。今は少なくともメタバースで個人が稼ぐ事は難しいです。どこのメタバースも住民が十分いるとは言えないし、欲望を持つ物はごく少数。
ですが、今後は仮想の発展と共にに様々な思惑が絡んできます。心の準備をしておくと良いのではないでしょうか。
あとこの部屋は仮想に対して斜視的な意見が多く、的外れに思えるようなメモもあるので、作者の意見だと思われると困るゾーンですね。

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自分の立場とやりがい搾取
これはコラムに置かずにここで語らせて頂こうと思います。
メタバースは現実より個人の情報を伴いにくいです。(現実の情報をタブー視する人もいます。)その為、広く浅くでいると自分の立場・人間関係の鎖が自分を縛る事があります。私だと私より「ぐだぐだぶとん代表」のキャラの方が強くなり、結果的にその立場に縛られて無駄な使命感が付与されます。主催者的な立場にある方は何となく理解できるかもしれません。どこかに居場所を作った人も、その居場所に縛られる事があるかもしれません。(なので私はclusterのVR-TRPGコミュニティ・discord鯖は作りません。私はVR-TRPGを牽引する存在になる事を求めていません。)
ですが、死にそうになるまで今何かをやる必要はあるでしょうか。収益もまともに出ない状況で先行投資・やりがいの為に努力し続ける必要はあるでしょうか。今後は人が増えて様々な思惑が絡まり、もっと大変になります。
ですから、苦しそうな顔をしながら「楽しい」と言わないように気を付けて下さいね。我々は貴方の本当の顔を見る事ができないのです。

[共鳴③]
Virtual Realityは「仮想現実」より「現実と実質的に等価な物」の方が正確な日本語訳だというのはVR知識人の方なら知っているでしょうが、「もう一つの現実」として少し正確性を下げて分かりやすくしてみました。本作でVRを「仮想」としたのも文字数と分かりやすさの為に正確性を下げています。
仮想を拒む者については、リビングルームのメモにありましたね。いるのが普通だと思っています。

共鳴テキストより一部抜粋
「仮想現実は知っているだろう?コンピュータの中に作られた世界をさも現実のように体験させる技術。もう一つの現実。多くの人間がそれを夢見て非常に長い努力を積み重ねてきた。だが、仮想現実がどれほど素晴らしい物だとしても、それを拒む者だっている。」

⑧宇宙都市"No Name"(2050年/現実)
名前に特に意味はありません。入ってすぐ目の前にある記事ですが、AR風のかっこいい演出で最初に記事を出したいとサークル員に発注したがモチベが無いと言われ却下されました。いつか自分でやります。

奥の赤いエリアについて
エモクロアの技能の成否が情報の出現でなくVR空間上での動きに関与するような物を作りたいなと思って一番最初に思いついたのが<自我>と<根性>でした。そして、技能に成功する事で精神的重圧に耐えて奥に進む事ができるというギミックを思いつきました。
これの元ネタについて語りたいのですが、読者さんはハンター×ハンターを知っているでしょうか。知っていなかったらこの段落は飛ばして下さい。天空闘技場編でゴン達が200階に来た時、受付に行こうとしたらヒソカが現れて通路を念の壁(?)で塞ぎ「通さないよ♠ってか通れないだろ?」というシーンがありましたよね。やりたかったのはこれです。
結局2050年の仮想から2070年の仮想に行くギミックに<自我>or<根性>を使う事にして、こちらのギミックは<運動>or<耐久>を使う事になりましたが。

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(共鳴④)
最後の一文は判定に成功しないと見れないテキストです。【ED:Hello REAL】への伏線ですね。

共鳴テキストより一部抜粋
人類愛を持って最適な世界を描く。
博士が好んで使っていた言葉だった。
でも、未来は既に詰んでいた。22 世紀に至る前に人類は滅びる。
なら、私が未来を変えるしかない。
でも、一人は寂しいよ。人類の未来なんて背負えないよ。


⑨国際現実軍演習場(2070年/現実)
無理して背景を作る位なら黒い箱の中で探索を完結させた方がダークな雰囲気も壊さないしコストも低いという事でこのようになりました。
サイボーグのRPシーンで問われるのは「自分が正義と言えなくても、自分の世界を脅かす存在を殺せるか」。これも最終選択で、自分が生きる為に捨てる世界を考えさせる事に繋がっていきます。

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初回テストプレイ時はこんな感じの部屋(↓)で、国際現実軍拠点となっていました。部屋自体は出来が良かったのですがテキストと完全にはマッチしていなかったので、終点同様に一からやり直しました。

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⑩pre-decision
自分が獲得した全てのメモを確認できる部屋です。今からクライマックスに行くんだ、と実感できます。そして今が考察をする場だとPLに伝わります。
一番奥にはロボの最後のRPがあり、「答えが2つだけでない」事と「何となくで答えを出してはいけない」事を教えてくれます。ロボが過去に選んだのは現実なのですが、それについてはコラムで解説しましょう。

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⑪START(探索終了)
現実と仮想のどちらかを捨てれば人類は存続できると言われ、望む未来の形を問われるシーンでしたね。答えにかかる時間は人それぞれで、長いと10分かかります。納得のいく答えが出せるようスマホでも見ながら気長に待ってあげましょう。(VRなら現実でスマホ弄っててもばれないので雰囲気は壊れないです(笑))
現実を選ぶと仮想管理AIである"REAL"を破壊する、仮想を選ぶと現実側であるロボを破壊する事で自分の覚悟を示す事になります。
ここで登場する「未来選択」や「覚悟を示せ」等の文字をデカく表示した演出は、ローコストで雰囲気の共有ができるのでやらない手は無いでしょう。

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⑫未来予測樹
共鳴②でも訪れた場所で、共鳴者が現実と仮想の共存を望んだ場合にもう一度訪れる事ができます。ここらへんのED分岐についてはちょっと後で詳しく解説します。
そして、スワンマンの本体がここで遂に登場しましたね。やっと登場したかと思うと共に、スワンマン要らなかったんじゃないかと思うPLもいそうですが、これについてはコラムでシナリオ執筆の観点からスワンマンの必要性を説明します。

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⑬博士の部屋
ED「Hello REAL」に到達した時は博士の部屋に入る事ができ、"REAL"がモニターから博士の部屋を見ていた事が分かります。通過後にこの部屋に行きたい場合は「彼女の居場所-before Hello Virtual-」に行くと良いでしょう。

7月末の段階ではほぼ何も決まっていなかったのですが、「向日葵の咲く夜に」という8月のcluster公式お題企画に刺激を受けてこの部屋を思いつきました。制作中期の外部刺激は大事。
部屋の作りに関して追加で説明すると、【ED:Hello REAL】にて"REAL"と共鳴者が語り合う時、向日葵と同じ向き・窓の方を見る事になります。過去の話をする時は目を合わせずに、未来の話をする時には目を合わせて話すというのは、向きを指定できるVR-TRPGらしい演出ですね。

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⑭ED部屋
感想戦ができそうな部屋作りを意識して、ぐだぐだ書房から引っ張ってきました。掘りごたつに「埋まる」という机の作りのおかげで、背の低いアバターと背の高いアバターが目線を合わせて話す事ができます。

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ED

とりあえず全EDをリストアップしました。
「覚悟無きもの」:(現実/仮想)で生きる為に(ロボ/"REAL")を殺せなかった結果、REALに殺される。
「未来の贄」:一度(現実/仮想)で生きる為に(ロボ/"REAL")を撃ったが、二度目の襲撃でスワンシールドが貫かれた。
「Goodbye "REAL"」:一度(現実/仮想)で生きる為に(ロボ/"REAL")を撃ったが、二度目の襲撃で"REAL"を完全に破壊した。
「帰還」:現実と仮想の共存を望んだが、"REAL"の一部となる事を拒んだ。
「至上の幸福」:現実と仮想の共存を望み、"REAL"の一部となる事を受け入れた。
「Hello "REAL"」:現実と仮想の共存を望み、"REAL"と対等な存在として未来を描く事を望んだ。

順に作者の意図みたいなのを話していきます。
①「覚悟無きもの」・②「未来の贄」
"REAL"の暴走を身を以て味わうEDですね。
ドラマを生む可能性のあるEDでもありますが、想定EDではないです。

③「Goodbye REAL」
自分だったら多分現実を選択した後にこのED踏みます。
仮想を選択した場合も結局REALを撃ち殺す事になるの面白いですね。
描写に含まれる「全てを託すような目」は、導入と共鳴①で博士が"REAL"に向けていた物ですね。気づいたでしょうか。

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④「帰還」・⑤「至上の幸福」
現実と仮想の共存の為に"REAL"の一部となるかを問われますが、実はここの描写は一捻りしてます。(自分で言うもんじゃない)
「さすれば未来の不安など考えなくても良い、至上の幸福を与えましょう」という"REAL"のセリフ。新宗教を意識しました。トップの言う事は絶対的であり、トップに従っていれば至上の幸福を得る事ができる。盲目的になる事で、宗教に居場所を作る事で不安を自分で抱え込まなくて良くなる。あと終末論を見せられるのも新宗教らしさ。
改変前のテキストは「共存が成されれば、富も地位も名誉も貴方の望む物を与えましょう」でした。世界の半分をくれる魔王みたいですね。現代が舞台であるという事・彼女が未来予測AIである事を考えれば改変して正解でした。
また、ここでよくよく考えると少し面白い事があります。
これはAIが人類に最適な選択を提供する世界に誘われているシーンです。新宗教の事を考えずに選ぶと「至上の幸福」一択かもしれませんが、新宗教を意識すると「帰還」一択のように思えてきますね。これは"REAL"が新宗教と人間の考える完璧なAIの中間にいるからです。
"REAL"が完璧なAIだという根拠はありません。スワンチップから「このプログラムは暴走している」と教えられます。
しかし、我々は完璧なAIでなくとも上手く使ってあげる事もできます。将棋AIだって別に百戦百勝はしていませんよね。でも凄い面白いAIです。さて、共鳴者はどのEDを選択したのでしょうか...

⑥「Hello REAL」
シナリオを読むと一見TrueENDのように見えますが、別にTrueENDではありません。PLが自分で考えて辿り着いた結末がTrueENDです。
そして恐らく到達者が非常に少ないタイプのEDでしょうね。一人で未来を背負う事が重圧を隠していた"REAL"と対等な関係になり、一緒に未来を背負っていく事ができる人間なんているでしょうか。通過者がいたら教えて下さい。どんな人間か気になります。

プレイヤーの結末
全員分はっきり覚えている訳ではありませんが、名前は出さずに結果だけ記してみようと思います。その時にEDがちゃんと決まっていなかった物もあった(気がする)ので内容だけ書きます。テストプレイヤーも含まれています。(と言ってもだいぶ忘れてるな...)

・プレイヤー2人で現実と仮想の対立。片方がもう片方を射殺。
・共存を選択。REALを受け入れた。
・現実を選択。理由が「何となく」だったのが少し残念。
・現実を選択。深読みした結果自害。
・現実と仮想の相互不干渉という形での共存を選択。REALを受け入れた。
・仮想を選択。人一倍の好奇心。
・共存を選択。悩んだ末REALと対等に(少しDLの誘導があった)
・滅亡を受け入れる選択をして帰還。
といった感じ。それなりにばらけましたね。


彼女の隠し事

ここが本題かもしれませんね。現実と仮想の共存の為に彼女が解決しようとした問題は三段階に分けられるのですが、シナリオ本にもはっきりとは書かれていないのでここに書いておこうと思います。
最初は私欲。これは"REAL"が仮想管理AIとなる事で、仮想の運営に絡む私欲をある程度排除しています。作中の世界では既に解決していた問題なので、詳しく語られる事はありませんでした。
次に箱の比較。これは共鳴②でスワンマンと話していました。愛を世界に向けてやる象徴的存在としてスワンマンが"REAL”の計画に加わります。しかし、ここで問題が解決したように見えるのに何故"REAL"は暴走したのでしょうか?
最後が怠惰。考える必要のある事に「何となく」で結論を出してしまったり、共存が良いと考えてもそれに向けて動かず箱の比較へと戻ってしまう。これは作中では基本的にPLに教えない内容です。自分で望み、選んだ結果の為に必要とされる行動をするという呪いをPLにかける必要があったので。

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完走した感想

短時間で初心者向きでエモくてPLの自由度があってテキストチャット勢でもできるシナリオなんて書ける訳ねえだろ(怒)(一応書けた)!!!
はい。毎回台本に弱音や愚痴を書きながら本番前に消しているような人間なので、今回も自信満々でこれが最強の作品です!!とは言い難いのですが、それなりに良いVR-TRPGになったと思います(今回のnoteもかなり消した)。
VR-TRPGに対して、「何か思ってたのと違うわ」と言って捨てたくなる時もあると思います。ですが、VR-TRPGは、そして弊サークルは一歩一歩前進していきます。VR-TRPGは最高の冒険になれると信じています。
次作「地下壕の讃美歌」では戦闘へのチャレンジを宣言しましたが、一歩一歩進んでいくぐだぐだぶとんをこれからも応援して頂ければと思います。皆様の応援が励みになっております。ありがとうございます。

noteでのキャンペーンについて

この記事の公開と同時に、「ハローバーチャル」の体験レポートのマガジンを設立しました。#ハローバーチャルのタグをつけてnoteに「ハローバーチャル」の感想を投稿して頂ければと思います。投稿されたら読ませて頂くと共に、マガジンに追加させて頂きます。
投稿者には何か贈れる物がないか検討しています。(noteの規約確認と贈る物の制作ができればやります。)

(何故noteにしたのか)
一般ユーザーが手を出しやすい
記事を投稿する人が増えれば「盛り上がっている感」が他の人に伝わる
ツイートの140字で感想を書くのは難しそう
ふせったーのエゴサより見やすい物が好ましい
あまりネタバレを気にせずにエンドコンテンツとして感想の執筆を楽しめる

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制作過程編(実質コラム)

裏話っぽい裏話。実質コラムみたいなもんなので後半に置きました。
「全て忘れてしまえたなら」を公開した時は「ハローバーチャル」は原案すら無い状態でした。既にシナリオ制作済の「地下壕の讃美歌」というシナリオをVR化しようとしていましたが、「ハローバーチャル」に切り替えたのはいくつか理由があります。

まずは「VR寄り」のVR-TRPGを作る事。
「VR寄り」のVR-TRPGとは、実際にプレイヤーが演じるキャラクターの視点をVRで獲得し、ダンジョンを探索しながら物語を進めて行くタイプのものです。VR-TRPGがまだ全く流行っていない現状で、両方のタイプを作って見せる事は必要でした。
と言っても「地下壕の讃美歌」も「VR寄り」のVR-TRPGです。制作物変更の理由はこれではありませんが、重要な要素なので説明しました。

次に短時間で遊べるVR-TRPGを作る事。
TRPGはプレイに4時間以上かかる物が多く、VRでやるとなるとHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が重くて大変です。
更にVR-TRPGはTRPG愛好家よりVR愛好家に広まりやすい傾向にあり、TRPG初心者でも楽しめる短時間シナリオ(長くて2時間)の方が需要があります。

最後に認知してくれる人数を増やす事。
現状TRPG愛好家もVR愛好家もまだまだ少ないですが、TRPG人口やメタバース人口はこれからどんどん増えていきます。であればTRPGの、そしてメタバースの入口となるような作品は効果的です。
弊サークルが利用している国産メタバース「cluster」は当時、オンボーディングをこれから充実させていくと宣言していたので、丁度噛み合うかもしれないと思っていました。結果的に「ハローバーチャル」はプレイを通してメタバースについて少し知れるようになりました。

以上の事を考えながらTwitterを流し見してた時(2021/5/20)、思いついたのが「白鳥男(スワンマン)は誰だ?」というタイトルでした。元ネタは「クトゥルフ神話TRPG」で有名なシナリオ「沼男(スワンプマン)は誰だ?」と、cluster社の社員で面白担当(?)のスワンマンという白鳥頭のアバターを使う男性です。

その日に「沼男は誰だ?」を遊んだというツイートをした人が「ハローバーチャル」のきっかけでした。誰なんでしょうね(調べる気は無い)。

スワンマンとは何か?からシナリオを考える
メタバースに関するシナリオを、仮題にもなっているスワンマンから考える事にしました。興味が無い人は飛ばして下さい。あとスワンプマンに関する微ネタバレもあります。
元ネタの「沼男(スワンプマン)は誰だ?」は、過去だけが違い、肉体の組成も行動も全く同じな自分が本当に自分なのかを問うスワンプマンという思考実験を元にしたシナリオです。
「白鳥男(スワンマン)は誰だ?」を考えるならまずスワンマンとは何かを考える必要があります。スワンマンのツイートを遡ったりしましたが、スワンマンと言えばですぐに思いつくのはこれでした。clusterヘビーユーザーだったスワンマンがアバターのインパクトを通してclusterに入社する事になったという記事です。

もっと細かい所までスワンマンを掘り下げても良かったのですが、そうすると一般人に伝わらなくなりますし、アバター以外にもスワンマンに良い所があるのはわざわざ書く必要もないでしょう。スワンマンを推せ(謎)。

このスワンマンの記事を頑張って解釈して何かの象徴にしようとした結果、スワンマンは「現実と仮想の相互作用の象徴」となりました。仮想の出来事をきっかけに現実でcluster社に入社し、現実(cluster社)から仮想を作っているという解釈です。だいぶ無茶だなぁと自分でも思いました。

作中ではリビングルームにこの情報が配置されていましたね。「アバターで一芸採用された」という文章は正確性に欠けるので(諸説あり)と付け足すか迷いましたが、スワンマン本人がアバターで一芸採用されたと言っているのでやめました。まあとにかくスワンマンを推せ(謎)。

これにより本作のテーマが「現実と仮想の相互作用」に決まりました。仮想は現実からの逃避でなく、現実の代替でも無く、現実と足りない所を補い合う補完である事をメタバース初心者に伝えようと思いました。
そして、「沼男は誰だ?」のように最後は平等な二択・倫理的選択をPLに迫る物にしようと思い、最後にPLが現実で生きるか仮想で生きるかを選択するという方針が立ち、シナリオ概要が決定しました。
シナリオ概要
プレイヤーは謎の部屋を探索しながら、「仮想のみで生きる人類の未来」と「現実のみで生きる人類の未来」を目撃し、最後にどちらの世界で生きていくかを問われる。第3の選択として、「現実と仮想の共存を目指して生きる」という選択肢が隠されており、この選択をした際に、スワンマンが登場する。

平等な二択については本記事最後にコラムとして纏めてあります。
これが決まった段階でスワンマンに企画書を送りつけました。快諾して頂きありがとうございました。

資料集め
多く語っても仕方ないので、参考にした作品をいくつか並べておきます。
アルトデウス:BC
→VRインタラクティブストーリーアクションゲーム。物語×VRの先駆者。全人類やろう。

マトリックス
レディ・プレイヤー・ワン
→SF元々興味無かったので王道な映画から
VIVY
→AI歌姫のアニメ。AIの「使命」を押し出してて参考になった。
不可視都市
→アルトデウス:BCのシナリオライターの一人が書いた小説。
自在化身体論
→稲見教授らが書いた本。この教授のnの講義録画を見てVRちょっと分かる民になりました。これも全人類読もう。

それ以外にもnoteでVRについて語っている人の記事読み漁りました。

このあたりで制作過程編は終わりです。本当はもっと長いのですが、特に面白くは無いのでカットします。

コラム

読んだら面白いかもね位の内容です。
全員に読ませる物ではないのでここに置いておきます。

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選択が変わるかもしれない別作品
他の作品やメタバースを知ることで自身の世界観が補強されて「今なら別の選択をするだろう」と思う事があるでしょう。
私が見た中でそういう選択の変化を起こしそうな別作品を書いておきます。たまに更新します。
・DEATH STRANDING(ゲーム)
・楽園追放(映画)

仮想のみで生きる
制作当時、バーチャルが何をする場所かと言えば生活をする場所だ。という解釈を目にしました。その生活には創作活動も含まれていた為、確かに正しいと思いましたが、自分が生活している感じはありませんでした。
自分の年齢性別所属や声とかを明かした方がある程度楽に生きられるし、相手の表情をそれなりに気にするので、現実のノイズ的な情報が伴いにくい今のバーチャルSNSがあまり性に合っていなかったように感じます。(他のサークル員は逆のタイプなのでそれに合わせているというのもありますが。)
と言ってもメタバースはまだ始まったばかり。クソ忙しい制作期間も終わったことですし徐々に慣らしていこうと思います。

仮想の住民が飽きたのは何故?
一般人でも現実では不可能な大舞台を用意できるような仮想において、想像力が加速し飽きる事なく発展を続けていくように思える"Hello Virtual"ですが、何故住民は時間の経過につれて好奇心を失ったのか。
制作初期の解釈を思い出したので書いておきます。
初期の仮想住民は容易に夢が叶う仮想に置いて想像力を加速させ、創作を楽しみます。しかし、不老不死(現実に置いてきた脳が破壊されない限り死なない)という前提があり、仮想住民は創作の手を止めた隙間に「自分の生きる意味」を考えてしまいます。無駄だと分かっていても、自己承認欲求も自己発言欲求も満たされていたとしても、本当に自分に生きる意味があるのか?創作という時間を浪費するような行動ではなく、何も考えないで他人の創作物を享受する方が幸せなんじゃないか?という思考が頭に残り続けるのです。人間の想像力が加速しても創作にかかる時間がゼロになる事は無く、その疑念が不安となって好奇心と並んできた時にその不安を消すものとして台頭したのが集団安楽死を求める宗教でした。

ロボットの喋らない設定
「毒入りスープ」や「死にたがり電車」等、短時間シナリオには喋らない(喋れない)NPCが存在します。これは短時間シナリオだと設定が深くまで作り込めず、PLがNPCに問いかけても十分な情報が返せない事が多いからですね。8/24位までは完全に喋らない設定を貫き通していましたが、それだとRPパートが少ないので特定のシーンだけ喋るように変更しました。

量子コンピュータが書かれない理由
作中ではみんな大好きなSF用語「量子コンピュータ」については一切触れられていません。
第一の理由は、短時間シナリオである以上「活躍する技術が何か」を伝えるより「生活がどう変わったか」を伝えた方が分かりやすいと思ったからです。(SFの一般人が分からない単語をアホみたいに使ってごり押してくる感じが読む分には良いが作る分には好きじゃない)
第二の理由は私が専門外かつ興味無かったからですね。私は直接的に人間ができる事を増やす技術に興味があります。(教養課程の学生の分際で偉そうですが)ドローンが空飛ぶより自分が空飛んだ方が面白いとか思ってる人です。なので自在化身体論は面白かったですね。全人類読みましょう。
という事で別に量子コンピュータが全く存在していない訳ではありません。
アンドロイドが書かれなかったのも第二の理由が主だったり...

終点の修正の多さ
終点に使われていたモデルは、テストプレイ以前は2050年の仮想で、仮想世界のスカイツリー的な観光スポット(REALのコアが頂上にある)という想定で作成しました。しかし、宗教チックな建造物だった事や生活空間としての仮想空間を十分に表現する実力と時間が無かったので断念。2021年の仮想に移植され、clusterの公式番組「ハロークラスター」を模した部屋として構築。この部屋では「みんなの告知コーナー」をやってみる事ができました。(仮想現実で自分が主体的に動くようなギミックを用意しようと考えていた時期)しかし、TRPGとしてつまらなかったので改変を検討(公募テストプレイ初回)。その時2070年の仮想は"REAL"のコアが担当していたものの、テキストとワールドがマッチしていなかったので2070年の仮想に組み込む事にしました。そして異動になった"REAL"のコアはホログラムとして再利用されました。

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センスが小学生(↑)。また、2070年仮想に配置されていた時の"REAL"のコアはこんな感じ(↓)

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現実と仮想の部屋を作る上での意識
最初は現実は世界が連続的に繋がっているのだから外の様子が見れると良いと思っていたのですが、コストの都合上やめました。
現実は同じ居住空間に全く関係性の無い人間がいるのを表現しようと思い、宇宙都市"No Name"では明らかに無関係の2人が配置されています。リビングルームはそれをやろうとして中途半端になり、シェアハウスという事にして収めた感じですね。

作者と宗教
弊サークルは宗教に関する要素がどのシナリオでも登場します。シナリオライターである私はキリスト教幼児洗礼の無神論者です。宗教勧誘は全く受けませんが、サークル員の一人がよく勧誘されるタイプの人間なので嘲笑っています。ぐだぐだぶとんは変な名前の団体ではありますが変な団体ではないので悪しからず。

何故ロボは現実を選んでいたのか
共鳴者が仮想で生きる事を望んだ場合、ロボが現実で生きる事を望んだ者として再び現れて、共鳴者はロボを撃ち殺すように指示されます。しかし、幸甚亭で自分のアバターを手に入れたロボが何故現実を望んだのか不思議に思う方もいるでしょう。それは終点でのロボの台詞から読み取れます。
「お前も、終わりを求めて来たのか?」
下に転がっている死体を含めて「お前も」と言われていると考えられますが、それだけではロボが終点にいる理由に説明がつきません。
はっきりと語られてはいませんが、仮想√ではロボは自殺をする事になります。一方で2070年現実のロボは嘆きながらも自殺を仄めかす描写はありません。ロボはPre-decisionでは自分は「何となく」の選択をしてしまったと言います。うまく言語化出来なかったものの自分の未来を理解していたのでしょう。
(同じ世界に2人ロボがいる事になりますが、これはロボが"Hello Virtual"通過者であった為と大して世界に影響を与える人間で無かった為です。)

スワンマンは何故登場したのか-イレギュラーの話
他のNPCよりは出番の少ないスワンマンですが、彼がいないとこのシナリオは成り立たなかったでしょう。
シナリオ内ではスワンチップが"Hello Virtual"として用意された物ではないというテキストや"REAL"の暴走を教えるテキストが存在します。これは"REAL"にとってスワンマンの行動がイレギュラーであった事を指します。
もしスワンマンが登場しなかったらシナリオの終盤まで共鳴者が"REAL"の思い通りに動いている事になります。PLが"REAL"の思い通りに動いている事を自覚すると、PLの緊張感が失われます。"REAL"の思い通りに動いているならそれに従うだけで良く、自分で何か考える必要は無いと思考を放棄してしまうのです。これでは探索が未知を探す物では無く予想した物を回収しにいく行為になってしまいますし、終盤も"REAL"の思い通りになるか主人公力によって"REAL"を破壊するような謎のシーンが出来上がります。
「待っていたぞ勇者、お前の行動は見させてもらった。」という魔王が普通に戦って勇者に負けるのはおかしいですよね。魔王の家臣が裏切ったなら勝機が見えてきます。
という事で、どのNPCにも思い通りにならない展開を作り上げる為にはスワンマンは必要な存在でした。

「もう一つの現実」
完成後に観たのですが、「竜とそばかすの姫」も同じ表現していましたね。ただ、それ以外については本作とは異なります。
特に"さあ、世界を変えよう。"は現在のメタバースにクリエイターが集まっている事や、主人公が仮想で歌手になる事を踏まえると「竜とそばかすの姫」の世界では正しい表現ですが、今のメタバースはクリエイターじゃない人も増えてきてますしどうなんだろう...とは思っています。全員が主体的に世界を変えようと動ける訳ではないと考えています。人間は怠惰。
まあ「竜とそばかすの姫」はメタバースをメインテーマに据えた作品では無いでしょうし、やっている事は有名な物に言及するクソムーブなのですが。

原画置き場
元々のREALのキャラデザ。背面図とかは無いです。
適当サークルぐだぐだぶとん。
アバターも頑張って忠実に再現したかったのですが、やはりまだ実力不足です...まあでも動いているREAL見ると可愛いのでOKです。

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追記:終点の集団安楽死は「悪」なのか
プレイヤーと話をしていると、終点の集団安楽死は素晴らしい。仮想に(戦争以外)問題は無いという話になる事がある。確かに「自殺させない事は悪である」という主張が存在するのだが、本作では終点を善として扱っていない。わざわざこの作品を通してこの記事で語る事でも無いと思うのだが、こんな話になった時の「返し」として書き残しておこうと思う。
人間関係や生活環境に悩み思考が固まって「死にたい」と思うような人間に対してかけるべき言葉は「安楽死できるから死んで来いよ」では無いだろう。(倫理的な話なので反論可)
正常な思考力のもと自分で十分考えた上で自殺を選ぶのなら許そう。ただ、終点で起こっているのは「宗教による集団安楽死」だ。他人による干渉を受けて思考と未来の可能性を放棄した自殺が正当化されるのは間違っているというのが本作の主張だ。

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「ハローバーチャル」制作時の分担
これ要る...?と思いながら書くので最後です。敬称略です。
逆凪:下記以外全部
PEGA:脚本協力(BAR Angel Kissのテキスト全部)
謎部えむ:脚本協力(幸甚亭のハートとPCから出てくるテキスト)・素材提供(幸甚亭の広告画像等)
朝月葵:脚本協力(2050年/2070年の現実/仮想に出てくる記事のブラッシュアップ)
k山:脚本協力(技能に関する相談)
草羽エル:素材提供(BAR Angel Kiss)
スワンマン:制作許可
Flor:ブロックノイズ・テンプレキャラシギミック実装・表紙・タイトルロゴデザイン・BAR Angel Kissのギミック実装・最適化調整
癒月:未来予測樹・仮想管理機構ロゴデザイン
br:シナリオPDF最終調整・クイズのギミック実装
とくロ:VRHMDの3Dモデリング・表示切替のパーティクル実装
Na:キャラクターデザイン(REAL)
(REALのキャラクターデザインはもう1名関わっていますが、匿名という事でスタッフロールには載せておりません。)
ミヤタをスキーにつれてって:スワンマン立ち絵

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