とにかくやる時と注意深く進める時
何か新しく物事を始める時、主に2つの考え方があると思います。「まずはやってみな」とアドバイスを受けることもあれば、「慎重に進めなさい」と言われることもあるでしょう。
これらの考え方はどちらが正しいということはなく、有効に働く時とそうでない時がどちらにもあるということです。
明確なプロセスの答えがない場合、そして容易に変更が可能という時には、とにかくやってみる考え方が、注意深く進めるよりも有効に働くと思います。
例えばレポートであれ、エッセイであれ、文章を書くことはスタート前にあれこれ考えるよりも、まずは書いてみて随時学びながら修正していくことの方が重要だと思います。
一方でそこに規則性があり、明確な手順がある場合には注意深く全体の要素を理解して進めることが必要だと思います。主に失敗すると変更するのに手間がかかる場合は尚更です。
新しくデスクを購入した時、簡易ながらも自身で部品を組み合わせて作る必要がありました。この場合は説明書が用意され、どの部品とどの部品を繋げるのかが記載されています。正しく組み立てるためには完成図、自分が正しい部品を用いているのかを確認しながら、ある程度慎重に進めなければいけません。しかし「とりあえずこれとこれだろ」の流れで進めていき、それなりに形になってきた頃、まさに完成の最終局面に差し掛かったところで、通すべきネジの穴が見つかりませんでした。最初の段階で机の足となる部品を左右逆に取り付けたことが原因でした。
こうなるとチグハグの完成体にするのか、大きなやり直しを行うのかどちらかです。
簡易デスクだったためやり直しと言ってもものの10分もかかりませんが、当然面倒です。
これが家の建築だったり、都市の構築だったりすれば面倒では済みません。
このようなケースでは念入りな準備と計画が重要でとりあえずやってみるは取り返しのつかない事態となります。
ランニングの練習を計画する上では、この二つの考え方をうまく用いる必要があります。
基本的に走り始めたばかりの人は最初に練習の構成を考えすぎるよりも、まずは走ってみて何キロまでなら余裕があり、何キロ超えたらダメージが大きくなるかを理解していく必要があります。
30分走ってみて思った以上に疲れが大きいなら次は20分にしてもいいでしょう。この場合は変更は容易のため細かい計画よりも、まずはやってみて理解するの方が有効です。
しかし練習を積み重ね、次第にとにかく走れば記録が伸びる段階でなくなった時には練習の計画は大事になります。特に伸び代が少なくなってくるエリートレベルになれば、少しの練習の強弱が結果を左右したり、故障に繋がったりします。
エリートのレベルでも立ち上げの段階や現在の実力を測るために、とにかくレースを走ってみるなどの考えも時には用いることも有効だと思います。
つまり、同じ目標に向かう取り組みの中でも自分の状況に応じてとにかくやってみると注意深く進めるを組み合わせてやっていく必要があると思います。