トレーニングとデザイン思考
完走、自己ベスト更新、上位入賞、優勝などそれぞれの目標達成のためには、計画を練り、調整しながらトレーニングを進めていく必要があります。
建築家が建物や椅子をデザインする時には、利用者に注意を向けるところから始めるといいます。いい建築家であるほど、デザインを作って押し売りするようなことはせずに、住む対象となる人を研究して、何が必要とされているのかを見つけることから始めるそうです。
建築だけでなく、物作りも製品をデザインする上では、それぞれがある特定の利用者に向けてデザインされている必要があります。誰かにとっては良いデザインも、他の誰かにとってはそれほどではないというケースは色んな分野で見られることだと思います。
デザインの良し悪しを議論するにはまずは対象者を特定しないことには始まりません。
これはランニングの練習も同様です。
トレーニングはそれを行うランナーに向けてデザインされる必要があり、誰かにとっては良い練習も誰かにとっては悪い練習となってしまいます。
デザインは新しくある必要はないが、良くなる必要があるといいます。
ここで言う、「良くなる」とはランナーのニーズを満たし、現状から目標へ近づいているかどうかです。ニーズを満たすとは相手が走る理由を考慮する必要があり、目標を達成したから大丈夫というわけではありません。誰にでも走る以外の生活があり、心身の健康状態を保つことが大切です。
そのためには対象となるランナーに注意を向け、相手の情報を得て、状態を把握し、必要となるトレーニングの負荷を考えなければいけません。結果としてトレーニングのデザインを行うことは、日常の生活スタイルも同時にデザインしていくことに繋がります。
プロや実業団の選手で走ることが生活のメインとなる人々も、トレーニングメインの生活スタイルをデザインしていると思います。
このように自分の生活からデザインしていくことがトレーニングを行う面白さでもあり、自分のデザインを良くするという探究心を持ち続けることが、長期で目標に向かって走り続ける原動力となるのではないでしょうか。