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ランニングの練習と物語の構成
ストーリーを語る時に、映像、文章、話、いずれでも基準となるのは登場人物です。
登場人物はいくつかの出来事に直面し、それにより自分の弱みを晒され、今までの考え、行動が通用しないことを突きつけられます。それらにより葛藤を抱き、どのように変化していくのか、そこに人は引き込まれていくといいます。
よく新人の書き手などが犯す間違いに話の中にこのような出来事を組み込めば面白くなるだろうと考えることだそうです。しかし面白くない話というのは登場人物と物語上で起こる出来事に関連性がない場合、つまり何かのイベントが発生したが特に主要となる人物に対して何も変化を求めるようにはつながらないケースです。
出来事だけが一人歩きしてしまうといってもいいでしょうか。
このように考えるとランニングの練習も同じところがあります。
練習を行うランナーが主人公であり、練習、レースといったものが物語上の出来事です。それらに対しランナーが肉体的、精神的葛藤の末にどのようにそれらを乗り越え、成長、変化していくのか、これがやる本人も指導やサポートする人々を引き込んでいきます。
現在では雑誌やインターネット上にはこういった練習をやった方がいいなどの具体例が出ていますが、これはストーリーでいうなら、このような出来事をストーリー上に組み込んだら面白くなるよと言っているよなもので、登場人物が誰なのかが全く考慮されていない、先にも述べた、出来事だけが一人歩きしているケースです。
例えば1000mのインターバル走がいい、長めのペースがいいなどの話が出ても、「結局誰がやるの?」となってはそれらの練習に良いも悪いもありません。
具体的な練習メニューばかり話の中に出てきても、それを行う具体的な人物を語れないなら、それはただ練習を並べて話しているだけのように思います。
登場人物がいて、ストーリーの舞台があり、その中で人物が様々な出来事に直面する。ランナーがいて、その人を取り囲む環境が舞台となり、例えば部活動、働きながらマラソン完走など、そしてそこに練習などの出来事を組み込んで、人物の変化に合わせてまた出来事を付け加えていく、そうやって魅力的なストーリーは出来上がります。
選手自身もストーリーに夢中にさせる、そんな練習プログラムを構成していくには、指導する側はしっかり相手のことを理解して練習をぶつけていかなくてはいけません。
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