【Interview】And Protector 『三島という街で鳴らし繋げる音のストーリー』
L→R ツトム(ba.vo), ジェイミー(gt), オザワ(gt.cho), 村岡(dr)
[ introduction ]
2022年10月22日、夕陽が沈む少し前、僕は東京から静岡県にある三島という場所に向かった。今回の”ONE ON ONE”のゲスト、And Protectorにインタビューを行うためだ。今年の5月地元三島に呼んでくれた時からAnd Protectorとハモったら"ONE ON ONE"に呼ぼうと決めていた。そんな念願が叶った友達に会いに行く足取りは軽やかだ。都内から電車を乗り継ぎ、小田原、熱海を経由し、熱海から2駅行ったところに三島駅がある。都内から2時間ちょっと。小田原から熱海までの電車の景色は太平洋を望む広い海。ほんの束の間、携帯電話の存在を忘れてその景色に僕は夢中になっていた。
三島に着くと日は落ち、夜空には遮るものがなくとても広い。そして、秋の匂いが風に乗っていた。古びた商店街を通り抜けAnd Protectorが練習するスタジオ、ゴリラハウスに向かった。スタジオといってもそこはプレミアム会員だけが使えるライブハウスだ。三島で生活をし音楽をしている人たちに愛され続けている場所。
階段を昇り3Fに向かうと彼らの笑い声が漏れて来た。再会して談笑を済まし、彼らはまた練習のモードに入る。身体を揺らしながら僕だけが味わえる贅沢なバンド時間。練習が終わり、片付けの時ギターのオザワ君からAnd Protector卒業が告げられた。初耳の僕は考えていたインタビューの内容はどこかに遥か遠くに飛んで行ってしまい、頭は真っ白。心臓の音が大きくなるのがわかった。その後、機材を搬出し、ツトムさんの車でツトムさんと奥さんが営むSLEEPYYに向かう。その車内ではオザワ君と村岡君が楽しそうに後部座席で話している。きっといつものツアーもそうなんだろう。
そして、ピザと彼らが好きなお酒を囲みながらこのインタビューは行われた。
僕はこの場所、このタイミングに居合わせた運命を噛み締めながら、And Protectorの今までと、今と、そして今からを記録した。たまたまこの日はオリオン座流星群、インタビュー終わりの帰り道、僕は流れ星を見た。
インタビュー・編集 Captain Ryosuke(THE GUAYS)
インタビュー収録日 2022年10月22日(sat) 21:49~ at SLEEPYY
「And Protector結成」
captain : 軽くバンド結成の経緯などを教えて下さい。
ツトム(And Protector vo.ba) : 2011年その当時暇してたじゃがいも(元gt)とねこ(元Dr)って奴がいて、俺が新しいバンドを始めるぞってなって、その時にやってくれると言ってくれたのがこの2人。学校とかの友達ではなくて、ライブハウスで出会った年齢バラバラの友達。それで近所の大学に通ってたマグマ谷口(元gt)って奴がいて(笑)、そいつもライブハウスで会ったやつで。その頃はアジカン(Asian Kung-fu Generation)と海外のパンクを混ぜたことがやりたくて、彼もそういう音楽が好きで誘ったら入ってくれたんだけど、2013年に地元の鳥取に就職が決まって抜けちゃった。その後に入ったのがジェイミー(現And Protector gt)。
captain : ジェイミー君とツトムさんはどういう出会いだったの?
ツトム : 高校の軽音楽部の先輩後輩。ジェイミーって名前を出会ってすぐにつけた。
ジェイミー(And Protector gt) : 名付け親です。
captain : 高校の時からギターをやってたの?
ジェイミー: そうですね。
ツトム : ジェイミーは色んなバンドやっててメインバンドみたいなのが無かった。
ジェイミー : なんかフラフラ渡り歩いてましたね。
ツトム : その時はなんもやってなくて、かっこいいリードギター弾けるのはジェイミーだろってなって九龍城(三島にある台湾料理店)に呼び出してAnd Protectorでギター弾いてくれよって。でもその時ジェイミーは「俺は俺でやりたいことがあるから、サポートならいいぞ。」って。だからその時はメンバーじゃないんですよ。その時はサポート。それが2014年とかだったかな。
captain : じゃあ現メンバーではジェイミーくんが一番長いんですね。
ジェイミー : そうですね。
ツトム : 一番付き合いが長いね。高校の時から知ってたけど、そんなにべったり仲が良いとかでは無かった。ライブハウスで会って、声かけるぐらい。
ジェイミー : そうですね。And Protectorの前にやってたツトムさんのバンドを見に行ったりとかぐらいですね。
ツトム : それでマグマ谷口が抜けた時に浮かんだのがジェイミー。ちなみにジェイミーはじゃがいもと別のバンドをやっていて、その繋がりもあるかな。じゃがいものプッシュもあったかもね。
ジェイミー : 近い関係のところにいたんで、それもありますね。
ツトム : 懐かしいね。
ジェイミー : そうですね。2014年の春くらい。
ツトム : それでジェイミーがサポートで入った後、じゃがいもが抜けるってなったんだよね。
村岡(And Protector dr) : Lime Green(2014年発売のEPのタイトル)あたりですか?
ツトム : そうだ。ジェイミーがサポートで入った2週間後にはLime Greenのレコーディングをしてた。それでリリースの時に(じゃがいもが)抜けるって言い始めて。それでじゃがいもが抜けるから、どうしようってなってた。その時オザワ(現And Protector gt)がAnvisってバンドやってたっけ?
オザワ(And Protector gt) : ちょうど止まってた時期でした。
ツトム : オザワはベースだったんだけど、And Protectorのギター簡単だからやってくんない?って。声かけて(笑)
オザワ : 前身バンドではベースだったんですけどAnd Protectorにはギターで入りました。
ツトム: オザワはすぐに入るって言ってくれたんだよね。
captain : 元々顔見知りだったの?
ツトム : そう。皆地元の友達。
オザワ : 元々ジェイミーとも別でバンドやってたりしてた。
ツトム : え!そうなの??
村岡 : 知らなかった!
オザワ : And Protectorの前、Anvisをやり始めたころジェイミーともバンドやってた。一瞬で終わっちゃったけど。その後も関わりはずっとあって、ジェイミーと俺は同年代で周りもバンドやってる奴が多くてAnd Protectorの話は良く聞いてた。じゃがいもも後輩で、話は聞いてた。とにかく俺はずっとバンドやりたかったからAnd Protector入りたいってなって。
ツトム : 俺が誘ってその時はちょっと考えさせてって言われたんだけど、次に会った時にはすぐやりますって言ってくれた。多分、沼津WAVEの階段のとこだった。絶対やんないと思ってたから、びっくりしたね。
ジェイミー : 2014年の1年間でギターが二人変わった。
ツトム : ジェイミーが先に入ったけどサポートだったから、オザワの方が先に正式メンバーになってるっていう。だけど、2016年に”Cold”っていう1st Albumを出した時にジェイミー正式メンバーでいいんじゃないって思って、勝手になんも言わずにクレジットを変えた気がする。
ジェイミー : もうメンバーだったよね。曲作りもやってたし。
captain : メンバーとかサポートとかそんな線はどうでもいいぐらいの関係だったんだね。
ツトム・ジェイミー : そうそう。
ジェイミー : こっそりメンバーになっちゃいましたね。だけど、正式メンバーとしてはオザちゃんのあとでですね。
一同 : 笑
ツトム: それでcoldのアルバムツアー中にドラムが抜けるか抜けないかの話になってて、そいつとメンバーの関係も難しくて。
村岡 : その辺りから、遠征は確かサポートでやってましたよね?
ツトム : そうだね。一緒に遠征に行くのもきつくて、色んな人にサポートやってもらってた。その中で村岡の名前が出てきた。
村岡: 確かオザワさんが名前出してくれたんですよね。
ツトム : ジェイミー、オザワ、村岡は元々仲良かった。その繋がりで俺も村岡と友達になったんだけど、ドラマーってこと知らなくて。それであいつドラマーらしいぞって(笑)。俺もメンバーと仲が悪いまま、バンドやるのがつまらなくて次やるなら、仲が良い奴とやりたかった。
オザワ: 確かツトムさん、村岡のドラムのプレーも見たことなかった状態でしたもんね。
ツトム: そうそう。村岡だったら良い雰囲気になりそうだなって思って。別に下手でもいいから、入って欲しくて誘った。でも村岡は自分のバンドやってたから、ちょっと考えさせてくれと言われて、結構しっかり考えてくれて。そのバンドを辞めてAnd Protectorに入るっていう決断をしてくれた。
村岡 : ちょうど就職したタイミングでバンドを続けるか続けないかの悩みもあったし、前身バンドのメンバーにAnd Protectorから誘われてるっていう相談をしたら、「(前身バンドを)辞めちまえ、And Protectorやればいいだろ」って言われて(笑)。楽しく両方やれればいいんじゃないって提案したんだけど、そういうのじゃないって言われて、そういうのじゃないんだって(笑)。And Protectorは土日でしか活動しないし、売れる売れないとかじゃないから、(前の)バンドをやめてAnd Protectorに入りました。
ツトム : それ覚えてるわ。川崎クラブチッタの横の細い所で、ライブやるとき村岡がヘラヘラしながら来て、話がありますみたいな感じで。絶対断られるわと思ったら、最後にやります!って。マジでみたいな!
村岡 : 結構悩みましたね。
ツトム : 村岡は悩む時間が長かったねー。
村岡 : (前ドラムが在籍中も)サポートしてた期間もあったし。岡山、名古屋、渋谷Gameで Citizenっていう来日アーティストともやりましたね。今まで、ノルマがあるライブにしか出たことがなかったのに、いきなり来日アーティストとの共演だったので、めっちゃ緊張しましたね!
オザワ : すごい覚えてる。めっちゃ緊張してたよね。そのせいで何故かすげー俺も緊張した(笑)
captain : 村岡君が入ったのは何年だったの?
村岡 : 2016の後半か2017あたりですね。
ツトム : 2016年の後半に前のドラマーがやめる最後の企画があって、それがすごい苦い思い出で。最後のライブの出番になっても来なかった。その時のライブに村岡が居たから、叩いてもらおうと思って声掛けてたんだけど、、、
村岡 : 僕はやれるけど待ちましょうって言ってました。すごい空気だったので。。
ツトム : いざ村岡がセッティングし始めるとお客さんとかも、なんで村岡が?誰?みたいな。これなんのための企画だったのって戸惑っていて。
村岡 : 僕もその時あまり三島に浸透してなかったんで、意味が誰もわかってなかった(笑)。決まってはいたんだけど、正式メンバーになることも発表していなかったので。
ツトム : もう村岡でライブやろうとしたら、最終的には前のドラマーがギリギリに来てライブしたけど、本当にキツかった。終わってから、村岡とやって行くことを周りに伝えると、反対されたりしたけど、俺らはこいつとやっていくって言いましたね。
オザワ : 俺はこのイベントどうなるんだろうって、ドキドキ感があって上がってたけどね(笑)
ツトム : 来ても来なくても村岡がいるから、ライブはできるって気持ちもあったしね。何本かサポートもしてもらった後だったし。
「4人が揃い、始まりの”twilight”」
ツトム : それで村岡が正式メンバーになって、仲良くこのメンバーでやってく時にできた曲が”twilight”
captain : 感動
ツトム: 楽しい雰囲気でMVも撮りたいなって、ローカルの仲間たちで集まってやってんだっていうのを見せたくて、それでPennackyに頼んで。
captain : 最高のMVですよね。僕も実はそのMVを見てAnd Protectorを初めて知った。こんなに良い曲なんで、尚更このエピソードはグッとくるし、すごく歌詞が腑に落ちる。パンチラインの応酬で。このメンバーが揃って出来た初めての曲ってのが最高過ぎる。
ジェイミー : 村ちゃんが入ってないと出来てない曲ですよね。
村岡 : 歌詞も見事で、、これ俺が言うのもなんですけど、、、
ジェイミー : いいじゃん!
村岡 : やっぱ恥ずかしい、、、
オザワ : 今言おうとしたじゃん!言いなよ!
村岡 : 、、、自分が前やってたバンドがクリック(一定の速さをメトロノームのように刻み、それをイヤホンに流す)を聞きながら演奏するバンドだったんですよ。ドラムってそういう習慣でクリックがないと練習出来ないと思ってた。でもAnd Protectorの最初の練習でツトムさんに「やめろもう。(クリックを)二度と聞くな。」って言われて(笑)。この練習方法しか知らなかったから、どうしよって思ったんだけど、、、でもそしたら”twilight”にメトロノームって歌詞が入ってて。後”すき間を埋める会話なんて必要ないよ”って歌詞の部分も、僕すごく喋るのが好きで、会話の間を埋めたくなるんですよ。ツアー中とかも車内が静かだったら、なんか喋った方がいいのかなって思って喋ると、「うるせー!」って言われて(笑)。でもそっからはずっと大喜利やってて、大喜利ならいいんだみたいな。
captain : “twilight”はツトムさんもメンバーに向けて意識してかいた曲?
ツトム : そうかな。結構思ってることがあって。村岡が入ったタイミングで環境もバンドの中の空気も変わるから、その中で感じたことだったりをかいたのかなと思う。だから結構日記みたいな歌詞でその時はそう思ったんだろうなって言う感じ。
村岡 : 俺もあれが最初で嬉しかった。
オザワ : 村岡が入った時、色々大変そうだったもんな(笑)。一番初めのツアーの時、機材車でジェイミーにすげー話しかけてたら、ジェイミーがボソッと「俺後輩嫌いなんだよねー。」って言って(笑)
ツトム : それは(メンバーに)入る前だね(笑)
村岡 : そうだ、入る前に静岡から福岡に車で行くからお手伝いで来て欲しいって言われて、行きますって、付いて行った。朝集まって、初対面ではなかったんだけど(ジェイミーに)挨拶したら、「よろしく。俺後輩あんま好きじゃないけどね。」って言われて、これから24時間車で移動しなきゃなんないのにこの人とこれから何を喋っていいのか、、、(笑)
一同 : 笑
ジェイミー : ごめんね(笑)
村岡 : 結果めっちゃ仲良しですけど。
ジェイミー : 7年間謝り続けてる(笑)
captain : 2017年に今のメンバーが揃い、”twilight”からまた始まると。ちなみにPennackyとはどういう繋がりがあったんですか?
ツトム : 高校が確か三島の方でちょくちょくライブに来てたらしくて、And Protectorを見てたらしい。それで確か東京のライブの時に話しかけてくれて「僕、あそこの高校行ってました。ライブを良く見てました。」って。そこで知り合って、映像撮ってるんだって知ってPennackyの映像見たらすごくよかった。それで初めて撮ってもらったMVが”flashback”で、すげー良くて、”twilight”撮る時も静岡で撮りたかったんで、土地勘もあるしPennackyが良いなって思って撮ってもらいましたね。撮影も本当に楽しくて、2日間メンバーと遊んでただけ。
captain : 新しいメンバーが入った時ってそういう遊びは重要ですよね。
オザワ : “twilight”はSpeak EZ(沼津のLive Bar)のライブ映像もあるもんね。
ジェイミー : 実際のライブだもんね。撮影のためのライブじゃなくて。その前後とかも遊んだりしながら撮影して。
ツトム : 今はPennackyすごい有名だもんね。でも今でも過去作を紹介するとき”twilight”を流してくれてるみたい。
captain : 僕たちもそのMVを見て、Pennackyに撮って欲しくてダメ元でメール送ったら「やります。」って返って来て撮ったのが”Stupid days”。ユウシがメンバーになって初めて作ったAlbumのMVだった。
ツトム : 嬉しいよなーそこで”twilight”と繋がってるの。
captain : そうですよねー。2017年からAnd Protectorを知ってて、どこかで繋がるかなと思ってたのが今年2022年でしたね。面白いよね、実はMVでPennackyで繋がりがはじまってたのが。”twilight”の良いエピソードをありがとうございました。
「コロナ禍での活動とそれぞれの生活」
captain : そこからこのメンバーで活動を続けて、コロナ期間中はどういう動きをしていたの?
村岡 : ギリギリ最後ワンマンやったんですよね。
オザワ : ギリギリというかもう結構はじまってたかも。
ツトム : そうね。”ORANGE JUICE”(2nd Album)のツアーファイナルが2020年3月22日のShelterでワンマン。で次の週には緊急事態宣言みたいな感じで、ツアー全体もコロナやばいっぽいっていうなんか変な空気感というか。
captain : あのわからない感じの変な空気感あったよね。
ツトム : そうですね。だから俺らはワンマンが終わって状況がわからなさすぎて、俺が結構病んでしまって。それでもライブには誘われるし、その度に苦しくなってしまって。とりあえず今年はライブやりませんということにした。そこからずっとメンバーにも会えてなくて。
村岡 : そう。だからスタジオも入ってないし、遊べてないから、僕はみんなに会いたくて2020年年末に忘年会をしようと思って一人一人に連絡をしたんですよ。そしたら東京(村岡くんは仕事の都合で東京暮らし)が緊急事態宣言になっちゃって、行けなくなった。そしたら皆はオザワさんの家に集まっていて、俺が集めたのにー、、って(笑)
ツトム : でもその後すぐに村岡入れて集まったよね?
村岡 : そうですね。俺の(会いたい)フラストレーションがすごくて正月に集まった(笑)
ジェイミー : そうだね。本当に1年ぶりぐらいに会った。2021年の正月。
ツトム : そこで皆何を思ってる、今バンドをやることをどう思ってる、とかを話し合って、それでバンドはやっていこうとなった。その年の夏ぐらいからスタジオにまた入り始めて、スタジオライブをやってみたりして。
オザワ : 地元にスカムパーティっていうジャンルレスのごちゃ混ぜのイベントがあって、面白そうだなと思って良く遊びに行ってた。その日に自分と地元の友達がやってるイベントを当てたいと思って、同じ日にいくつか会場を借りてスカムパーティに乗っかる形でやったのが、ワンマン(2020年3月22日のShelter)以来のライブでしたね。
ツトム : それが2021年の9月とかですげー久しぶりのライブ。
captain : 丸々一年以上ライブも活動もしなかったわけだ。
ツトム : そうですね。2021年は9月の三島スタジオライブをして年末は神戸でbachoと2マンぐらい。
captain : やってない期間皆はどんな生活をしていたの?
オザワ: 俺は相変わらず遊べる時は遊んでた(笑)
ツトム : ちょうどお店(SLEEPYY)をオープンしたタイミングで忙しくて。
村岡 : 俺は社会人だからそんなに日常生活は変わらなかった。
オザワ : 仕事面ではコロナにはめちゃくちゃ振り回された。元々、東京で会社員してて、三島支社に行くはずだったんだけどめちゃくちゃになって、それも無くなって、結局、独立して三島に帰って来た。
captain : じゃあ一時期は、オザワくんと村岡くんが東京暮らし?
村岡 : そうですね。同じ会社でした。
オザワ : 俺が(会社に)入れって言って。
村岡 : オザワさんのおいでよに僕はついて行ってましたね。
オザワ : 村岡とは前のバンドからずっと遊んでた。元々地元のバンドマンが何人かで上京するってなった時に前のバンドメンバーと1軒家を借りてそこでみんなで2年間ぐらい住んでて、And Protectorがツアーの時もそこを宿にしていて。三島のバンドマンの溜まり場みたいになってたんだよね。
ツトム : 俺も東京に行った時そこに泊まって、そこで村岡とは会ったんだよね。ただのめっちゃ面白い遊び友達みたいな。
ジェイミー : 元々住んでた場所は半々でしたね。
ツトム : 東京ライブ前は東京に行ったり、時々三島に来てもらったり。
村岡 : その時、フットワークはお互い軽かったですよね。でもツトムさんはコロナ禍で結婚したり、お店を始めたりしてすごいですよね。
ツトム : どちらかというとローカルに生活の根を生やすことを考えてた。だから久しぶりのバンド会議の時も(2021年お正月)、東京に行くより2人に三島に来てもらう感じにしたかった。だから、バンドの活動を再開した時には、三島を楽しい場所にしたいよねっていう活動にシフトした感じはありますね。
captain :オザワくんはそのタイミングで三島に戻って来たの?
オザワ : いやその時は静岡なんだけど隣町にいて、その後、三島に引っ越して来ましたね。会社もコロナで給料が下がったり、とにかくかなり振り回されましたね。それでその流れで会社と上手く行かずに辞めました。でも結果、一人で自由に働けるし、三島に帰って来れたので良かったですね。
captain : 本当にコロナでメンバーの人数分、一人一人の生活が変わっちゃうもんね。
ツトム : そうですね。改めて自分を見つめ直して、考え直すきっかけにはなりました。
captain : ジェイミー君はどうだった?
ジェイミー : 、、、、、俺はなんも考えてなかったっすね。。
一同 : 大爆笑
ツトム : 最高だよ。ジェイミーはブレないんだよ。
captain : 必要だよね、そういうメンバー。
ジェイミー : 心配は沢山ありましたよ。人やライブハウスのことは。
村岡 : アユム(横浜B.B street店長・hollow suns gt)がボロボロになって三島に来た時とか、すごい心配してましたもんね。
ジェイミー : すごい心配してましたね。
ツトム : でもあれはコロナ関係ないんじゃないの?
ジェイミー : イベントが入らなかったりで、色んなことが重なったみたいで。
ツトム : みんなそういう時三島に来てくれて嬉しいよね。
captain : 都内からも近いしね。ジェイミー君は仕事とかは大丈夫だったの?
ジェイミー : 仕事も影響なくて、生活の違いもなくて、バンドが動くのも一人でも嫌な奴がいたらしゃあねぇなって。すごい切り替えてましたね。出来ないなら別のことやろうって。
ツトム : ジェイミーは百姓一揆ってバンドもやってたりするもんね。
ジェイミー : そうですね。ちょこちょこ友達のバンドとか、地元のフォークシンガーの人の後ろでギター弾かせてもらったりだとか。
ツトム : ジェイミーは昔からそうだよな。
村岡 : 風天の、、、
ツトム : 風天のJ、、、(笑)
ジェイミー : 出来ないなら出来ない!じゃあ別のことをやる。And Protectorをやるなら全力でやる!
村岡 : 確かにジェイミーさんがライブに出れないとか聞いたことないですね。
ツトム : いつでもオッケーでれます。だもんね。
ジェイミー : 他のバンドのライブと被らなければ。
captain : すごい馬鹿みたいな質問だけど、やっぱめっちゃギター好きなんだね。
ジェイミー : (笑)好きっすよ。
captain : 他に映画とかさ、趣味的なのとかって?
ツトム : ジェイミーからギター取り上げたら、もう”ジェ”しか残んないかもしんないね(笑)
一同 : 笑
ジェイミー : 別に普通のつもりだよ(笑)
村岡 : 凝り性なんですかねジェイミーさんは。
ツトム : でも無意識に職人みたいなギター弾いてくれてるっすね。音色変えて雰囲気変えたりだとか、フレーズやニュアンスのこだわりとか、そこはジェイミーの才能だと思いますね。
ジェイミー : でも詳しくもないし。
ツトム : 若い子たちに質問されても答えられないもんね。ジェイミーは本能でギターを弾いてくれる。
オザワ : カッケーからなー
村岡 : 素晴らしい。
captain : ジェイミー君は一番生活が想像できなくて、だからメンバーから見るジェイミー、ジェイミー君自身からの話も聞けて良かったよ。
オザワ: 一人暮らしの時は酒飲んでるだけだったけどな(笑)
ジェイミー : 一人暮らしの時は酒を呑みギター弾いて映画見て、レコード聞いて。
オザワ : 換気扇の下でタバコを吸いながらそれをして一日を終える。
村岡 : ロックスターすぎません(笑)
captain : 色んな切り替えが上手なんやね。
ジェイミー : 落ち込んだりはないですね。落ちる友達の心配だけです。
ツトム : 確かに落ちてるの見たことないわ。
captain : ツトムさんとオザワ君はありそうだね。
オザワ : 意外と浮き沈みはありますね。
ツトム : 俺はネガティブ思考からの曲を歌詞に書き狂ってるからね。でもそのネガティブパワーでAnd Protectorをずっとやってきた。
captain : 実はそこ聞きたくて、ツトムさんの歌詞ってすごく内に向く内向的な歌詞が多く感じる。And Protector EP(2013年 1st EP)、そこからLime Green EP(2014年 2nd EP)、Cold(2016年 1st Album)、CUT(2017年 single)がリリースされて、それで2017年のCUTあたりで、メンバーが固まって曲の雰囲気や歌詞の内容が少し開いていってる気がしたんですが、その辺りはみんなどう感じてますか?
一同 : 確かに。
captain : And Protector EPはサウンドの作り方も所謂、叙情系エモという感じがしたんだけど、変わって行くのは全然いいことで開いていってる感じがしたから。
オザワ : 初めはツトムさん怖くてピリピリしてたけど、シンプルにマイルドになったというか。
ツトム : そうなのかな、、そうなのかも。
オザワ : 初めは冷たかったというか、、
ツトム: coldな感じだったね(笑)。
一同 : 笑
オザワ : でも村岡が入ってこのメンバーになって、ツアーとかに行き始めて、どんどん変わっていった。普通にすごく楽しくて、ずっと遊んでる感じだったから。
ツトム : ツアーってこんな楽しいんだみたいな。
オザワ : すごくバンドがやりやすくなった。すげー本当楽しかった。
ツトム : その感情でバンドや曲も変わっていったんだろうね。
オザワ : その辺から変わっていったイメージはありますね。演奏も村岡に変わってサウンドもかなり変わったしね。
captain : リスナーとして2017年あたりからバンドの雰囲気が変わった気がしたから、何があったんだろうっていうのが、僕のシンプルな質問だったんだけど、今話の流れでそれがすごくわかった。内にヒリヒリと迫ってくるのもすごく好きだけど、その部分を残したままで良い意味のポップさというか、普遍的な部分というか。”twilight”は曲も歌詞も本当に今日のインタビューも含めてまた思い入れが出来てしまいましたね。
ツトム : 全く意識してなくて、たまたま出てきた言葉だったから。
captain : その勝手にハモっている状態がバンドの状態の良さと良い雰囲気を表してたんだと思います。
村岡: ツトムさんが新曲持って来る時、歌詞の説明とか全くしないのが僕は実は好きで、こう思うんですよっていう意見を言った時に「確かに!」みたいな感じで受け入れてくれて、自分の解釈でいいよって言ってくれるからそれはすごく好きですね。
captain : 歌詞についてみんなで話したりするの?
村岡 : それはあまりしないですね。
オザワ : 聞いたら答えてくれるけどね。
ツトム : 恥ずかしくないですか?メンバーに歌詞のこととか言うの。メンバーに新曲聞いてもらう時が実は一番恥ずかしい。
captain : わかる。僕もだわ。
ツトム : いつまで経っても慣れない。反応なかったら嫌だからずっと目つぶってる(笑)
ジェイミー : たまにいきなりバンドのグループラインに投げ捨てみたいなタイミングで歌詞送って来る時あるじゃないですか(笑)。あれはビックリする。
ツトム : スタジオ入って新曲聞かせて、良いって褒められたら、送っちゃお!みたいになる。
ジェイミー : (スタジオの)休憩中とかにいきなりですもんね(笑)
captain : 曲作りはツトムさんが大体持って行って作ってる感じ?
ツトム : 曲の大まかな基本は持って行って、あとはみんなに揉んでもらう感じかな。各々にやってもらってここはこっちの方が面白いなとかで作っていく。でも毎回、違う気もする。コロコロと作り方も変わるのかも。
オザワ : 既存の曲も常に変わって行ってますもんね。
ツトム : 勝手にメンバーがフレーズ変えてても俺は気づくから、良かったら良いって言うし、違う時は違うって言うし。
オザワ : ジェイミーと俺とかは演奏中のツトムさんの反応見ながらフレーズとか決めてる感じはあるよね。
ジェイミー : そうだね。
オザワ : フレーズは色んなフレーズに常に変わっていくよね。
ジェイミー : 大事なとこ以外は(フレーズ)固めないね.。
captain : 曲のなかでジェイミーとオザワくんのギターの掛け合いって絶妙ですごいな!ってシンプルに思うんだけど、それはある程度話し合ったりするの?
ジェイミー : あんま話し合ってないですね。でもどちらかが決まったフレーズがあれば、そこは避けて弾かなかったり、合わせたりって感じ。
オザワ : 言語で会話って感じではなく、なんとなくジェイミーが弾きたいところはわかるから、そこは足したり引いたりして縫っていってますね。
captain : 素晴らしい。
ジェイミー : でも割と自分はサボりぐせが強いんで、大体はオザちゃんが弾いてくれてる。
村岡 : 実は 一番オザワさんが忙しそう。
ジェイミー : 俺はちょい出しちょい出しで(笑)
オザワ : ギター始まりの曲がめっちゃ多いからそう感じるかもね。
村岡 : ライブ中も自分始まりがあまりないので、曲順に関してはあまりプレッシャーないですね(笑)
ツトム : ギターで曲を作って持って行くから、自然とそうなるよね。
オザワ : 逆に俺も自分始まりだから、自分のテンポ感でライブを出来るようになって来た。
captain : お互いが話すとかじゃなくて、音楽の中でそのピースがはまって行くってのは積み重ねて来たものがあるよね。それがメンバー全員にも派生して行くと言うか。良いバンドだな!
「グアイズとの出会い」
captain : 少し話しは戻るのですが、コロナのこともあり、2021年9月から動き始めたAnd Protectorなんですが、一番始めにグアイズと出会ったのはツトムさんのソロですよね。
ツトム : そう。2021年11月にジュウってバンドの企画で新代田FEVERで初めてグアイズと対バンした。
村岡 : グアイズは間に合わなかったけど僕も行きました。
ツトム : そこで初めて混ざったんですよ。
captain : 何度もジュウが企画に誘ってくれたんだけど、中々タイミング合わずに出れなくて、出れるってなった日にたまたまツトムさんがいたっていう。しかもタカナミ君(ジュウ vo.gt)会ったことなかったのに、いきなり毎回誘ってくれてたんよ。本当タカナミ君には感謝だね。
ツトム : その日のイベントはジュウのタカナミが好きな音楽の色んなジャンルのかっこいい人たちを呼んだ。初絡みで全然面識のない人ばかりだし、すごいよねその行動力。本当はAnd Protectorで誘われてたんだけど、三島でまずはやってみたかったし、(コロナからの)まだ動き始めで、もうちょっと時間が欲しかった。だから、弾き語りで良ければって提案して、そのまま出演した感じ。
村岡 : ツトムさんの弾き語りすげー良いからなぁ。
captain : そうね。すごい僕らも良かったなって話してて。
ツトム : でもグアイズFEVER来たときめっちゃ怖かった(笑)。ギターアンプをスケボーで運んでて、ライダース着てて、すっげー怖ぇーって思ったら、ユウシが(SLEEPYYの出店に置いてあったものを見て)「これ何やったっけ?おじゃる丸かー!」ってそれで良い空気作ってくれて、挨拶したら”twilight”のMVの話しとかになって。リハ見たらかっこよすぎるってなって。
captain : ありがとうございます。その流れでみんなが僕たちのことを初めて見た時の印象はどうだった?ライブでも良いし、ゴリラハウス(三島にあるライブハウス)で話した感じでも、何かあれば。
オザワ : skinsが来たなと思った(笑)
村岡 : ちょっと最初怖かった。
ツトム : 緊張感もあったしね。
captain : 意外。。そうなんやね。
村岡 : MVとかも事前に見てたんで、気持ちで負けちゃうとライブの日はダメなんすよ。だから気持ちは張ってましたね。
ジェイミー : ライブの佇まいが、劇画タッチのアニメのキャラクターみたいな
一同 : わかるわかる!
ジェイミー : めっちゃ好きなんすよ。カッケーみたいな。
ツトム : 佇まいが好きだよね。
ジェイミー : バンドを見る時、まず佇まいがかっこいいかどうかが結構重要で。
ツトム : グアイズは華がある。
ジェイミー : メンバーが4人並んだ時、かっけーみたいな。
ツトム : あとチンピラ感ね。人を知れば大丈夫だけど、ちょっと怖いかもみたいな。
ジェイミー : とにかくステージに立った姿がかっこよかったですね。
村岡 : 俺らヘラヘラしちゃう時あるもんなー。
captain : 自分たちで聞いといてなんか照れるね。ありがとう。
「And Protectorのこれから」
captain : コロナで活動ができない状況になって話し合いで、地元を大切にやって行こうっていうイベントでうちらを三島に呼んでくれたってのがあるんだけど、それまでは地元に対してどんな感覚だったの?
ツトム : どっちかというと県外に沢山出てて、1本も地元でやんない年とかもあった。全然地元に還元してなかったというか。
captain : そっから昨年が一つの転機?
ツトム : そう。メンバーもこっちに移って来たし。
captain : なんか地元で出来るんじゃないかと。ツトムさんはSLEEPYYも作ったし。
ツトム : 県外も行きづらいし、地元でしっかりやったらいいじゃん、呑んですぐ帰れるとか最高だし。
オザワ : とりあえずローカル盛り上げたい感じはあった。
captain : 行動としてアルパカ甲子園(And Protector主催で2022年10月2日 三島市立公園 楽寿園で行った野外の投げ銭イベント)も起こしてるし、出てるバンドも地元や同世代が多かったもんね。The Restaurantとは同世代?
ツトム : 同世代ですね。
captain : 地元の先輩とかとはそこまでやってないの?
オザワ : 先輩を見てそこで良く遊ばせてもらいましたね。GOOFY’S HOLIDAY、THE TRUST BLAST、SCREW WALKER、EVILS OF WARとかですね。
ツトム : その先輩が呼んだゲストバンドと僕らが対バンさせてもらったりしてましたね。
captain : その先輩たちは今は活動してる?
ツトム : 動いてるバンドもいますね。でもみんな生活がありますしね。逆に下の世代で地元で動いて面白いなって思うバンドはまだ出て来ていないかも。
オザワ: 出て来て欲しい。
captain : And Protectorが動いていれば、下の世代を作る影響力があるバンドだと思う。そういう意味では同世代にThe Restaurantもいるし、それが三島で良いグルーヴになればと願っているんですが、今後三島でやって行きたいこととかありますか?
村岡 : オザワさんはこれからもイベントやったりしたいんですか?
オザワ : していきたいですね。
captain : オザワ君は個人のイベントみたいなのをやってたの?
オザワ : 前のバンドではイベントやっていたんだけど、今はそこまでやっていなくて。それこそコロナの時、クラブカルチャーを見てその空間づくりがとても面白かった。一体感を作るための場所作りみたいなのを個人的に面白いなと思って、イベントじゃなくても別の形でそういう場所を作れたら、自分も周りも楽しいだろうと思うから漠然とはしてるけど、やってみたいなと思った。だからその辺りから、良い空間作りを意識し始めた。THIRD EYE(And Protector主催のイベント 2022年5月15日)とかはまさにそれを意識してた。
ツトム : そうだね。事前にライブハウスに行って打ち合わせをしてやりたいことを伝えて。横浜のB.B StreerでやったHEAVEN’S CAMP(2022年8月27日)とかも。
オザワ : THIRD EYEとHEAVEN’S CAMP、アルパカ甲子園はそういう空間を意識してやりました。
ツトム : 今まではライブ決まって、場所に行って演奏して終わり。そういうのだけじゃなくて、毎回スペシャルなものを作りたい。
captain : ライブに来た人の、あのバンドまじで良かった!ってのももちろん最高なことだけど、雰囲気として今日一日良い日だったなってのがこのコロナの中でより大切になってきたことかなと思っていて。それをやっていこうって動きがAnd Protectorには見えるから、三島って場所でそれが起こっていったらすごい面白い。アルパカ甲子園も何かの始まりの感じがあったし。
オザワ : ありがとうございます。アルパカ甲子園は前日まで二度とやりたくなかったけどやって良かった。
captain : 空間作りってのは今後すごい大切になってくるよね。人が多すぎる場所に対して少しずつ慣らしていきたいというか。
オザワ : そうっすよね。個人的に逃げ場がないような場所だと、ツトムさんとも良く話すんだけど疲れて楽しくなくなっちゃう。休んだり息抜きできる場所があったらなんか一日通して楽しめるし。
captain : 再入場とかも色んな問題があってできないのもあるけど、持ち込みとかしないから一瞬外の空気吸わしてくれみたいな。人やバンド数が多いイベントなら尚更。
ツトム : 窮屈ですよね。自分が思ったことを選択できない環境になっちゃってるというか、逃げ出したいのに逃げれない。
captain : 次のバンドが楽しみで来たから、(ライブハウスを)出れなかったりだとか。
ツトム : それで疲れて見たかったバンドが100%楽しめなくなっちゃったり。
captain : わかるなぁ。こんなご時世だからこそね。
ツトム : そう。余白が大事。
オザワ : それぞれが自由に楽しめるような場所が出来たら理想的ですね。
captain : 三島でそういう場所を作ってくれるのを楽しみにしてます。僕らも来やすくなるし。でも、みんな同じようなことを考えてて良かった。沢山のアーティストが出るイベントも楽しみだけど、今話したような、それに伴った空間作りが大切だと思う。それか少ないアーティスト数で潔くやるか。
今後、And Protectorはこういう場所作りも含めてどういう活動をしていきたい、どういうバンドになっていきたいかってのはある?(この質問を用意していたのだけれど、インタビュー前のスタジオでgtのオザワ君が卒業することを伝えていた。ジェイミー、村岡君、僕はもちろん初耳で正直とてつもない動揺をしながら、全員がこのインタビューに応じてくれたと思う。自分自身も戸惑いながら、迷っている今の状況もバンドの一つの通過点だと思い、このタイミングに立ち合った記録としてこの質問をぶつけた。それを踏まえてこの先のインタビューを読んでもらえたら幸いだ。)
オザワ : 僕And Protector抜けるんですけどね。。
captain : 本当にビックリしたよ。
ツトム : 俺が今はビジョンが無さすぎて、ただ友達と音を鳴らして楽しいねぐらいの感じだったから、なんも見えてないんだよな。ライフワークになってるバンドが。(バンドを)やめることはないと思うんだけど。売れたいとかもないし。でも地元で面白い場所ほしいよねって時にツールとしてAnd Protectorに声を掛けてくれたら嬉しいぐらい。
村岡 : これどこまで踏み込んでいいんですか?そもそもオザワさんが辞める経緯をもう少し詳しく聞きたいです。手放しで、辞めるんだ。わかりましたって言えないんで俺。
オザワ : 色んな理由があるんだけど、アルパカ甲子園で結構踏ん切りがついた。うーん、、、自分で曲を作っていて、自分のバンドをやりたい気持ちもあって、後、子どもが生まれること、仕事のこともある。自分のやりたいこと、事務所を作ってレコード屋さんをやりたいなとか。なんていうんだろう、バンドに拘らずもっと多角的に音楽を軸に関わっていきたい。そう考えていると、自分のやりたいことが沢山見えて来た。アルパカは楽しんでくれたけど、もっと自分の中でやれたんじゃないかとか、思ったよりも違った方向に流れちゃったなと思っている部分があって。それは自分自身でアウトプットをしていないから、やりたいことが上手く伝わってない気がした。良くも悪くも自分がやりたいことがちゃんと表現できていないから、そうなったのかなと思った。それだったら、どんな形であれ、自分自身で作っていって表現していったらもっと面白くなるんじゃないかなというのがある。And Protectorを辞めたいというよりは、色んなことに挑戦したいから、キャパがオーバーしちゃう。キャパが少ないから、、
村岡 : 一旦整頓すると。
オザワ : そうそう。
村岡 : なるほど。。
オザワ: シンプルに俺が抜けてもAnd Protectorは続けて欲しいし、自分でもめっちゃ複雑で(And Protector)やりたいけど、色んなことが中途半端になっちゃう。今色んなことをやろうと動き始めてて、実際、中途半端になっているのがフラストレーションで、だったら自分がやるべきことに集中する。ヴィジョンがあるからそれをやってみるべきなのかなという挑戦。一旦地下に潜るというか、曲を作ってバンドをやるかやんないかわからないけど、理想としてはそうやってイベントもやったりしながらアウトプットしていきたい。(三島のシーンを)底上げできたら。あまり上手く言えないけど、理由をつけるとしたらそんな感じ。
ツトム : And Protector卒業って感じですかね。
captain : 二人(ジェイミー、村岡)は初めて聞いたんだ?
ジェイミー : でも、、はい。俺からしたらもっと早く辞めると思ってた。
ツトム : 俺もコロナ前からちょっと感じてた。
ジェイミー : 長くやってくれたなって思う。
ツトム : 延長してくれてるのかなって。
ジェイミー : 先延ばしにしてくれてんだなって。
オザワ : そうなんだ。
captain : それはオザワ君がやりたいことに気付いてたの?
ジェイミー : たまに話してて、コロナの時には明確に話してた。曲作ったりしてることも。その前からも自分で何かやったらいい人だなって印象だった。
オザワ : ありがとう。
ジェイミー : And Protectorは絶対的なリーダーがいて、オザちゃんなんか自分でやればいいのにって思ってたから。
オザワ : 思ってたんだ。
ジェイミー : そう。それでやりだしたから。
オザワ : ジェイミー的には良かったんだ。
ジェイミー : そう。あー見つかったんだって。
オザワ : そう思ってくれて嬉しいよ。
ジェイミー : 窮屈そうに見えた訳ではないけど、自分発信でやればいいのにって思ってたから。
オザワ : 友達の方がわかってくれてるっすね。
ジェイミー : 誰かの下につくやつじゃないんすよ。
村岡 : うーーーん。俺は納得いってないですけど、何にも納得いってないですけど、、キャパシティを超えることをやるべきではないと思います。それはなんの意味もないと思いますから。ただ納得はいってない。でもわかりました。
オザワ : 難しい。すごいフラストレーションがあって、And Protectorやりたいけど、ライブある度にこの時間で何か出来たんじゃないかとかずっと考えちゃってて、それってメンバーにも良くないんじゃないかなって、失礼だと思って。
ツトム : 失礼だね。
オザワ : それが積み重なって、辞めようってなりましたね。本当にここ1、2年の話で。
村岡 : わかりますよ、わかりますけど、それをNOとは言わないですけど、反対意見をいうのは一番違うと思いますけど。。
captain : 村岡君の反応は素直だと思うよ。シンプルに寂しいしね。
村岡 : 僕は、、、、
ツトム : 村岡、オザワ大好きだしな。シンプルにこの4人で演奏したのが楽しかったのは事実なんで。そりゃ寂しいけど。。
村岡 : はぁ、、、
ツトム : オザワが続けて欲しいっていってくれてるし、俺も続ける気ではいるけど。何かしらでね。
オザワ : やって欲しいですね。ツトムさんには歌い続けて欲しいですね。これでAnd Protectorを(客として)観れる。
ジェイミー・村岡 : いいなぁ〜
captain : 昔のインタビューでもそう言ってたもんね。
オザワ : And Protectorを(昔)観てたから、And Protector観たい!And Protectorが一番かっこいいから!
ジェイミー : 観てて入ったもんね。
オザワ : そう。観ててかっこよかったから、じゃがいも抜けて続かないんだったら、絶対俺やるし、絶対続けて欲しいと思ってたから入ったんで。でもそれよりも今回は自分にフォーカスを当てたっていうターンですね。
captain : 考えるよね。この期間は自分がやりたいこととかも。
オザワ : 子どもが出来たのもでかくて、奥さんのお腹が大きくなるのを見てたら自分の人生全うしないとな。って上手く言えないけど、それだったらヴィジョンがあることに挑戦しないとなとダメだなって感じ。
村岡 : うぅ・・・
captain : 寂しいよな。わかるよ。バンドって何年も一緒にいて、一緒に音だして、オザワくんとジェイミーの掛け合いのギターの話みたいに、言葉より速い速度で伝わっているから。いっせいのーでで出す音が一番速かったりするから、それを繰り返して積み上げてきたものが今のAnd Protectorだと思うし。これからどうしていくという質問が悪かったかもなんだけど、
村岡 : それなんですよ!
ツトム : 今後のことは3人でまた呑みにでも行って話し合います。
captain : これからみんながスタートだもんね。
ツトム : オザワがそういう活動することによって、より地元が面白い場所になるなら、英断かなって。
ジェイミー : 結局一緒に遊べるんだからね。
ツトム : オザワが別に沖縄とか遠くに行っちゃう訳じゃないんだから!
村岡 : そうっすね。。どこかに行くのかと勘ぐりましたよ。
オザワ : とにかく結構ポジティブで周り盛り上げたいみたいな、それができて周りも喜ぶことが自分の糧になるんならめっちゃ嬉しいし。
ツトム : 対バンもあるかもだしね。
オザワ : させてください!
captain : 出ます。
ツトム : やりましょやりましょ。
オザワ : まず修行するんで。
ジェイミー : ここからの修行はすごいね。
captain : 何歳なってもできるからね。
オザワ : 今周りの友達とスタジオ入ったりもしてやってるんで、その延長でできたらいいなっていう。
captain : そこまでちゃんとヴィジョンが見えてAnd Protector卒業するなら、何かを形にして欲しいし、僕は第三者だから応援できるけど、寂しいね村岡君。
村岡 : うん。ごめんなさい。
ツトム : いいよ。俺たちなんてひどいよ、冷静で(笑)
captain : みんなすごい素直な反応だよ。バンドを卒業する話の瞬間に立ち会うことになるなんて1ミリも想像してなかったから。
ツトム : 貴重ですね。中々ないですよそんなこと(笑)
captain : 貴重というかないでしょこんなこと(笑)、スタジオでオザワ君なに意味わかんないこと言ってんのと思って。段々と心臓の音が大きくなっていった。
オザワ : 言うタイミングをツトムさんと話してて、
ツトム : インタビュー終わってからにしようかって言ってたんだけど、
オザワ : あんまりズルズルいってもだし。
ツトム : 今日のバンド練の前にオザワが個人練入ってて、そこに遊びにいって、やっぱインタビュー前に言った方がいいんじゃないって提案して、そしたらオザワの今後やって行きたいことも発信できるし、良い機会じゃないって。そっちの方が俺らも周り周って嬉しいし。
captain : 愛ですね。インタビューの全編を通してメンバー全員が地元三島をまた愛し始めた気がして。
一同 : そうだね。
オザワ : 今いる周りが好きなんで、それを維持させて盛り上げるにはどうしたらいいかなみたいな。
captain : 自分の表現をして、横の繋がりも年下の世代にも伝わる動きをして、その輪が濃く、大きくなっていったらいいよね。
オザワ : そうなったらいいな。バンドするかはまだわかんないけど。。
captain : ではそろそろ締めますね。”ONE ON ONE”に向けて何かあれば。
オザワ : 頑張ります!!
村岡 : 最高の1日にします!爆発だぁ!
ジェイミー : 楽しみます!!
ツトム : 僕個人的にはグアイズのリハ見て、すごいビビっときて、喋ったら超仲良くなれて、この歳になってこんな普通に友達になれる感覚、仲良くなれるバンドいるんだって。音楽性もはまってて、スタイルも合ってて、去年の11月会うべくして会ったタイミングだった。今年5月の三島でも初めて色々考えた企画のゲストとして出てもらって、良いライブしてくれて、俺は月1とかでマジで遊んでて、ただただ友達と遊んだ感じなんだけど、グアイズの年末の大切な企画ONE ON ONEに出れるのが光栄だし、素直にすごく嬉しいです。良い一日にしたいです。
[編集後記]
このインタビューを編集し、何度も読み直して、僕は本当にAnd Protectorというバンドが愛おしくなった。メンバーそれぞれの個性もそうだし、やっぱりドラマがあるバンドだと思う。このタイミングで僕がいたことも普通にありえないことだと思うし。でも、その中を生きている彼ら自身が一番ドラマチックだろう。このインタビューで彼らが大切にしていること、”友達” “遊び” “地元三島” "音楽"これがすごく僕には伝わって来た。これから三島が彼らとその仲間の遊びの延長で面白い街になっていくことを願って。
この先も彼らと、僕らは音楽で友達で繋がっていたいと思う。彼ら一人一人の新しいスタートを。そして出会い続けていきたい。
THE GUAYS Captain Ryosuke
THE GUAYS presents
"ONE ON ONE"
2022年12月4日(sun)
at 下北沢Basementbar
THE GUAYS
And Protector
open 18:30 / start 19:00
前売¥2000 当日¥2500 (共に+1d)
teenager drink代のみ
*来場者特典ZINE有
flyer design : Hiroshi(THE GUAYS)
saki presents
"Eastern General Meeting"
2022年12月10日(sat)
at 沼津speakEZ
open16:00 / start16:30
ticket ¥2,000(drink込)
TENDER ABUSE
AND PROTECTOR
Esto
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