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ポルシェへの道その4『ポルシェ太郎』羽田圭介著 読了
せっかくポルシェ718ボクスターGTS4.0を発注したので、納車されるまでポルシェワールドに浸るべく、芥川賞作家羽田圭介の小説『ポルシェ太郎』を読んでみました。
私のようなスーパーカー世代にとって、バブル時代当時、魅力的な車は魅力的な女性を引き寄せるツールとしても語られていましたが、今ではそんな特別な車の持つ魔力もすっかり消え失せました。
10年ほど前にV8のフェラーリを保有していた会社の先輩の賜った言葉が印象的。
フェラーリ乗っても振り返るのは、おじさんだけなんだよね(女性を振り向かせるにはまったく効果なし、ということ)
スーパーカーに興味のあるのは、大半は私のような中高年オヤジだけになって久しいわけです。
でもこの小説の主人公は、私たちとは一世代も二世代も若い35歳の設定なのが意外。
この世代でもポルシェのオーラは輝いているのか、と。
それでも読み進めれば、主人公(大照太郎)以外の同世代には、すっかりポルシェのオーラも消え失せ、ただの面倒くさい車、ということが判明します。
つまり主人公の「ポルシェ太郎」は同世代以下にとってはまったくの「勘違い野郎」なんですね。
それでもイベント屋を経営する太郎は、背伸びして買ったポルシェに乗るたびにその魔力にハマっていく。
リアエンジン・リア駆動独特の、アクセルを踏むと身体が後ろに引っ張られ尻を前に押されるあの加速感が、好きだ。あれを感じている時間は、女性だとか金なんかどうでもよく思えたりした。
RR(リアエンジン・リアドライブ)は、数あるポルシェの中でもブランドのルーツともいうべき911だけですから、私のボクスターはじめ、パナメーラやマカン、カイエンでは味わえない魅力ですね。ましてはBEVのタイカンも。。。
ポルシェには二つの時間が流れる。乗っていないときに思うポルシェと、乗っているときのポルシェは違う。どちらのポルシェも太郎は好きだ。シルバーのカエルくんと、離れたくない。終わってしまうのは嫌だ。自分でも驚くことに太郎は涙ぐんでいた。
時代を超越したピュアな工業製品としての魅力が、ポルシェにはきっと詰まっているのでしょう(私もはやく味わいたい)。
ポルシェを発注してびっくりしたのは、妻含むあまり車に興味のない私以上の世代にチラッと私がポルシェを買った話をすると、その反応が特別なこと。
これまで保有したアウディやBMWなどの他のドイツ高級車とはまったく違う反応なんですね。
ポルシェは、若い世代にとっては、ただの面倒くさくてバカ高い車ですが、世代によっては未だオーラは消えていない特別なブランドなんですね(私はポルシェと言ってもボクスターですが。。。)