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「ゴルギアス」プラトン著 書評


<概要>
ソフィスト(ゴルギアス&ポロス)とアテネの政治家(カルリクレス)とソクラテスの対話を通じ、「善」を目的とした生き方であってこその人生であり、「善」を押し進めることによってこその政治であるとのプラトンの理想を伝えた対話編。

<コメント>
プラトンの創作ではあるものの、ソクラテスがソフィストの大家と言われたゴルギアスやその弟子のポロスを追い詰めていく姿は見事。

◼️善く生きる
結局、プラトンがソクラテスを通じて言いたかったことは、何においても「善く生きる」ことが前提になっていなければ、幸福は訪れない、ということ。

これを言いたいがために、長々と対話を通じて、相手の主張を主語にしながら自分の考えに相手を引き込んでいきます。

それでは「善く生きる」とは何だろう。文中では

「健康」  「知恵」  「富」

となっています。そしてプラトンの他著作でもしばしば登場するアレテー(卓越性)、規律と秩序、調和という概念。

一方で「悪」は「不健康(虚弱・病気・醜さ)」「不正」「貧乏」

◼️理想の政治
「良い政治家とは市民たちをより優れた人間にする人」というのですから、今にも通じる考え方。

*国民をより健康にする
*国民をより賢くし、秩序と節度を持った人にする
*国民をより豊かにする

◼️️快と善の関係
ソクラテス曰く「快と善は一致しない。快楽だけを求めるのは迎合」であるとしていますが、より正確には「快と善は一致しない場合がある。善のない快楽は回避すべき」ということではないかと思います。

例えば「健康」に関して、本書では、料理と医術・運動の比較が出ていて、健康という善の基準においては、料理は美味だけを求めているので迎合であり避けるべき。医術や運動こそが「善」である、と紹介しています。

最近、健康診断でLHL(悪玉コレステロール)値が高いということで、食事制限あはまり効果はないというものの、卵関連は食事で避けましょうと医者に言われたとします(というか自分のこと)。

辛子明太子なんかが好物だったとしても、辛子明太子は美味で快楽をもたらしてくれますが、健康上はよくない。つまりソクラテス(プラトン)的には「迎合」。善を伴わない快ということで辛子明太子という美味なる料理?は、回避すべきなんです。

プラトン的には、脂ギッシュなラーメンやジャンクフードなんかも、不健康そうなんで迎合です。

*写真:2019年 京都 修学院離宮

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