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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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#ユダヤ

ユダヤの風土:ユダヤを知るための二つの映画

ユダヤを知るには、さまざまな方法があると思いますが、ここでは二つの映画を紹介します。一つは、元々はミュージカル作品の「屋根の上のバイオリン弾き」、もう一つは「シンドラーのリスト」。 ⒈屋根の上のバイオリン弾き1971年に日本公開されたこの映画の舞台は「アナテフカ」というロシアの仮想のユダヤ人集落。一般にシュテーテルと呼ばれたもので、アナテフカを、ユダヤ人の典型的なシュテーテルとして想定。 時代は19世紀末なので、日本が明治時代に入ろうという時期。 当時のロシアは、188

ユダヤの風土:今に生きるユダヤ人を知る

引き続き社会言語学者の鴨志田暁子先生の講義をベースに以下紹介します。 個人的にユダヤ人で尊敬する人は、哲学者のエトムント・フッサールと、進化心理学者スティーブン・ピンカーですが、ご存知のようにユダヤ人は、数多くの学者・実業家・芸術家を輩出しています。 ⒈ユダヤの有名人⑴学者 多すぎるので、人間社会に大きな影響を与えた人物のみを何人かリストアップ。結果的に啓蒙主義を促進した人ばかり=同時代人ばかりになってしまいました。 *化学肥料の発明:フリッツ・ハーバー(1868ー1

ユダヤの風土:イスラエルとは、どんな国なのか?

ユダヤのアシュケナジ系言語イディッシュ語を研究している社会言語学者、鴨志田聡子先生の「現代イスラエルとユダヤ人」に関する講義を受けたので、まとめがわりにここで整理。 なお、イスラエルは1948年建国時、そうはさせまいと近隣のアラブ諸国がよってたかってなきものにしようと戦争仕掛けられましたが、イスラエルも負けじとエジプトのシナイ半島を一時占領するなど、生きるか死ぬかの領土争いが今現在も継続している地域。 そしてイスラエルによるパレスチナへの入植は、国際法的には明らかに違法で

ユダヤ社会とはどんな社会なのか?『ユダヤ人とユダヤ教』市川裕著 読了

<概要>ユダヤ人とユダヤ教について「歴史」「信仰」「学問」「社会」の四つの切り口からその概要を紹介したユダヤ思想の専門家による新書。 <コメント>本書を読むと、ユダヤに関する基礎知識が網羅的に把握できるので、ユダヤ入門としては中々の好著ではないかと思います。 歴史に関しては、以前ここで紹介した『物語ユダヤ人の歴史』とほぼ相違なかったので、ある程度、ユダヤ人の歴史は、専門家に共有されているように思います。 以下、いつも通り印象的内容を整理。 ⒈生活と密接不可分のユダヤ教

天国と地獄を味わった「近代のユダヤ人」

『物語ユダヤ人の歴史』より、今回で最終です。 「近代」という時代は、ユダヤ人にとっては天国と地獄をジェットコースターのように通り過ぎた時代です(そして現代はユダヤ人にとって歴史上初めて訪れた「天国」が続く時代)。 特に欧米では、ゲットーなどの隔離政策もなくなり、歴史上初めてユダヤ人が「ヒト」として扱われた時代ですが、一方で反ユダヤ主義の台頭でポグロムやホロコーストなど、歴史上稀にみる惨劇に遭うのです。 ⒈近代のユダヤ人とアメリカ移住(19世紀〜)⑴ロシアにおけるユダヤ人

近世ヨーロッパとユダヤ人

『物語ユダヤ人の歴史』より、今回は15世紀から18世紀までの「近世」のヨーロッパにおけるユダヤ人(とその社会)について。 カトリックが支配した中世のヨーロッパ社会は、十字軍を契機にしたイスラーム世界との出会い、黒死病流行による人口激減などを経て農民の力も増幅し、さらに大航海時代と宗教改革によって崩壊(一方で東欧の一部ははイスラームの強大な軍事国家オスマン帝国が支配)。 そしてヨーロッパは近代に向けた新しい時代「近世」を迎えます。近世は商業主義と資本主義が拡大すると同時に啓

中世ヨーロッパとユダヤ人

『物語ユダヤ人の歴史』より、中世ヨーロッパのキリスト教世界(9世紀→16世紀)における、ユダヤ人(とその社会)について紹介したいと思います。 ⒈アシュケナジムの起源一般に今に生きるユダヤ人は、ドイツ・東欧系の「アシュケナジム」とスペイン系の「セファルディム」に大きく分かれると言われます。 この2系統のうち、アシュケナジムの起源については、地中海世界各地に自主的ディアスポラしていたユダヤ人のうち、当時ビザンチン帝国領のシチリアと南イタリアに移住したユダヤ人が起源。 彼らは

古代ローマ帝国とユダヤ人

古代ローマ帝国時代に関しては、宗教的にはキリスト教国教化を境界線として整理する必要があるように感じますが、ここでは、キリスト教国教化以前、特にカエサル(BC100ー44)の時代から主にユダヤ人の強制的な「ディアスポラ」となったハドリアヌス(AD76ー138)までのユダヤ人社会を対象にします。 ⒈唯一ローマ人に抗った民族=ユダヤ人古代ローマ帝国の征服民に対するスタンスは寛容な同化政策であって戦前の大日本帝国が日本語を強制したような中国人や韓国・朝鮮人に対しておこなった完全な同

ユダヤ人とユダヤ教の関係とは?

以下著作『物語ユダヤ人の歴史』のほか、 『ユダヤ人の起源(シュロモー・サンド著)』『ローマ人の物語(塩野七生著』も読むと「ユダヤ人=ユダヤ教ではない」ということがどんどん明らかになってきます(そうは言っても、もちろんユダヤ教徒の大半はユダヤ人ですが、ユダヤ教徒でないユダヤ人は多数)。 それでは「ユダヤ人とは誰か」と問えば『物語ユダヤ人の物語』著者レイモンド・シェイドリンによれば、それは厳密に規定できるはずもなく「ユダヤの歴史を共有する人たち」という程度でいいのではないか、

イスラーム世界のユダヤ教『物語ユダヤ人の歴史』より

引き続き『物語 ユダヤ人の歴史』より、7世紀のムハンマドを始祖とするイスラーム教の拡散から20世紀のオスマン帝国滅亡までのイスラーム世界における、ユダヤ教の状況について紹介。 ⒈イスラーム世界では、ユダヤ教は同じ一神教の仲間イスラーム教は、ユダヤ教→キリスト教→イスラーム教の順序で、一神教がバージョンアップしてきた最新の一神教、というように自分たちを位置付けていたので、ユダヤ教・キリスト教に対しては、同じ神の啓示を受けた聖典をもつ一神教の仲間として敬意を払っていました(「ア

ユダヤ人の起源とディアスポラ『物語 ユダヤ人の歴史』より

<概要>ユダヤ人の歴史について、発祥から各地域におけるユダヤ人社会の状況とその地における同地人との関係性、そして現代に至るユダヤ社会の状況について概観するにはちょうど良いボリュームの著作。 <コメント>アフリカに引き続き、今年(2024年)の私の勉強テーマは、ユダヤ教&ユダヤ人なので、まずはユダヤ人の歴史をコンパクトにまとめた2003年出版(原書出版1998年)の本書を手に取ってみました。 一神教に関しては、2年前にイスラームから勉強を始めたこともあって、ユダヤ人の苦難の