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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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#地球科学

「兵庫の風土」地震メカニズム解明のきっかけとなった世界的な場所「玄武洞」

今回の兵庫県フィールドワークの目玉とも言える場所が、兵庫県豊岡市にある「玄武洞」です。 玄武洞は、玄武岩の名前の由来ともなった場所ですが、何よりも玄武洞は、地震発生のメカニズムを解明するきっかけとなった記念碑的場所で、世界的にも非常に重要な場所。 でも一般には、このことはあまり知られていないのが非常に残念です。 ⒈松本基範による地磁気逆転の世界的発見とは?山口大学初代学長の松本基範(1884−1958)が、1926年に世界で初めて地磁気の逆転現象をここ玄武洞の地質によ

「日本列島100万年史」 近畿・中国・四国編

「日本列島100万年史」、遅ればせながら近畿・中国・四国地方の形成史を整理しました。ポイントはフィリピン海プレートの斜め沈み込みです。 近畿・中国・四国地方は、フィリピン海プレートが西北西に向かって斜めに沈み込むことで、太平洋側が西に移動し、日本海側が東に移動して、①右横ずれが起きて中央構造線が形成され、中央構造線につられて雁行状にシワが寄り、②近畿地方に山地&湖盆、中国・四国に瀬戸内海が作られ、③太平洋側に岬(潮岬・室戸岬・足摺岬)が形成されました。 ①中央構造線 四国

日本列島100万年史 「中部編」

■富士山はどうして美しいのか? 富士山は、紐や鎖などの両端を持って垂らした時にできる「カテナリー曲線」と呼ばれる曲線状の斜面を持った成層火山 だから。 火山はマグマの噴出によって形成されますが、マグマはシリカ(二酸化珪素)の成分(※)の割合によってその性格が決まります。 富士山はシリカが少ないために粘り気がない「玄武岩質マグマ」となり、噴火のたびに緩やかに流れて、ちょうど溶かしたチョコレートを山の上から何重にも垂らしてかけたようになるので、美しい「カテナリー曲線」とな

日本列島百万年史 「関東編」

◼️関東平野はなぜ日本最大の平野なのか 徳川家康が秀吉の命令で江戸に来るまで、関東平野、特に江戸の辺りは大湿地帯で洪水も多く、人の住めるような環境ではありませんでした。街道も、相模国(神奈川県)から東京湾を渡って上総に入るルートが昔のルートで、だから今の千葉県も上総→下総という順に日本の中心だった関西からみれば、このような順番になっていたのです。 ところが家康がこの広大な大湿地帯の開拓に成功して以降、日本の第二の中心となり、明治時代以降は、日本の首都となって、今は日本の人口

日本列島100万年史 東北編

◼️南北に沿った山地と平野の形成 東北地方は、プレートに対して並行に列島が位置しているため、列島中部以南のような雁行配列のような斜めに並んだ山地&平地形成ではなく、プレートとパラレルに山地&平地が形成されました。 東側の盛り上がった部分が北上山地などの山地(専門用語で外弧隆起帯という)、窪んだ部分が中央低地(山形の盆地や横田盆地、さらに奥の盛り上がり部分が奥羽山脈で(同じく火山フロントと内弧リッジ)。 火山帯は海洋プレートが大陸プレートに沈み込んでプレート上面の深さがおお

「日本列島100万年史」 北海道編

◼️かつて石狩川は(日本海ではなく)太平洋に流れ込んでいた 北海道の地形史において興味深かったのは石狩川。 【上流域】 上流域においては大雪山を源流としていますが、神居古潭が流れの行く手を阻んだ結果、旭川(上川盆地)に土砂が堆積し、神居古潭の先には扇状地が発生しませんでした。 【中流域】 神居古潭を過ぎてからは、標高差の乏しい石狩平野を、ゆったりとした流れとなって蛇行。その後の河川改修によって、川の蛇行は人工的に抑えられ、石狩平野に多くの三日月湖を生む結果となりましたが、

「日本列島100万年史」書評ー列島編

<概要> 最初にプレートテクトニクスから入って全体の説明をした後、日本列島を「北海道」「東北」「関東」「近畿」「中国・ 四国」「九州」の5つのエリアに分けて、エリアごとの地球科学的な地形の成立にまつわるエピソードを紹介したブルーバックスシリーズ。 <コメント> 地形学は地理学なのか地球科学なのか微妙なところですが、地理学自体はサイエンスとカルチャーをクロスオーバーした最も興味深い学問の一つであることには間違いありません。 まず地形そして文化、という順番で人間社会を俯瞰す

地中海はかつて盆地で、水はなかったらしい

地中海をよく見ると外洋とつながっているのはジブラルタル海峡だけで、ここが閉じてしまえば途端に閉じられた海になります。 超大陸パンゲアが1.5億年前に分裂して以降、アフリカ大陸とユーラシア大陸に挟まれたテージス海は、アフリカプレートの移動によってどんどん小さくなり、ツール・ド・フランスで劇的な舞台となったアルプスやピレネーを形成し地中海になったのですが、さらに縮小してジブラルタル海峡の部分がくっつき、大西洋から切り離されてしまいました。 地中海は、アフリカのサハラ砂漠につな

中国大陸は、小さい大陸の集合体

中国大陸はよくみると実に複雑な地形をしています。果てさてその原因はなぜか?というと 「中国大陸は、かつての超大陸が分裂してできた大陸ではなく、テーチス海に浮かぶ小大陸が集まってできた大陸だから」 というのが答え。 2.5億年前、パンゲア大陸という超大陸が分裂して現在の大陸が形成されたというのがウェゲナーによる一般的な説。 一方で1984年にアメリカ地質学会のクライン教授(George.D.Klein)が発表した新しい説は、ウェゲナー説の応用編で、ウェゲナーが唱えたパン

ダイヤモンドの謎

ダイヤモンドは、炭素の結晶だということは誰でも知っていると思います。でも炭素でできているのであれば、もっとたくさん存在しても良さそうなのものですが、地球の過去の歴史上、あらゆる偶然が重なって極々微量が地表に現れたらしい。 今の5大陸は、2億5千年前に超大陸パンゲアが分裂して形成されましたが、そもそもマントル対流が盛んになってホットプルームが地表に向かってたくさん上昇したことによってパンゲアが分裂します。 この後、磁気が長期間反転しなかった白亜紀のスーパークロンの時期(1.

温暖化の原因である二酸化炭素とは?

二酸化炭素が人工的な要因で増加しているというのは、ここ数年のIPCCという団体の報告により、ほぼ定説になったらしい。 ただし、実際には二酸化炭素の増による温暖化が水分を気化させて、大気の湿度が上がることによって温暖化を倍増させる。二酸化炭素によって温暖化がスタートし、水によってその効果が倍増するということだ。 だから二酸化炭素は大気中に0.036%しか含まれていないのに、こんなに騒がれているんですね。ところが驚くことに実は地球誕生時の空気はほとんどが二酸化炭素だったそう。