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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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#コートジボワール

「アフリカの風土」西アフリカにおける南北問題とは?

西アフリカの悲劇は、文化圏の違う北の内陸部(イスラーム圏)と南の沿岸部(キリスト教圏)を分断するように、欧州列強の植民地化によって国境が恣意的に区切られてしまったことです。 西アフリカの北部=内陸部はニジェール川流域で、16世紀にヨーロッパがサハラ以南に進出するずっと前の、7世紀後半からイスラーム文化が西アフリカ北部(=サハラ砂漠の南端=サヘル地域)に浸透していました。 一方でヨーロッパが進出した西アフリカ南部=沿岸部は、数百年続く奴隷貿易の舞台となりつつ、19世紀に始ま

「アフリカの風土」なぜアフリカはアジアより発展が遅れているのか?「その3」

これまで(サハラ砂漠以南の)アフリカはなぜ、アジアよりも発展が遅れているのか」について、 第一の仮説:建国がアジアよりもおおよそ15年ほど遅かったから 第二の仮説:アフリカには、もともと国家的政治体制の伝統がなかった、あったとしても脆弱だったから ということでしたが、最後の仮説=第三の仮説について、以下書籍を参照しつつ、アフリカはなぜアジアより発展が遅れているのか、考えてみました。 著者の武内進一によれば、南アフリカ・ナミビア&小国家除くサハラ以南のアフリカ諸国(以下ア

「アフリカの風土」なぜアフリカはアジアより発展が遅れているのか?「その2」

「仮説その1」では単純にアジアに比して国の歴史が新しいから、ということでしたが「第二の仮説」として考えられるのは、歴史上、特にサハラ以南のアフリカ大陸には、もともと国家的政治体制の伝統がなかった、あったとしても脆弱だったから、ではないかということ。 このために植民地主義から脱却して独立しても、国家的な統治機構の経験が既存の文明としてほとんど持ち合わせていないために、国家的な統治機能がなかなか発揮できない。 つまり「人的資本の最大化」としての適材適所や優秀なエリートによる近

「アフリカの風土」意外に物価が高い西アフリカ:コートジボワール

世界の中でも、最も経済力が低い大陸がアフリカなので「物価が安いのでは」と思うのですが、決してそうではないところが興味深い。 今回、西アフリカのコートジボワールに旅行して驚いたのは、その「物価の高さ」。 コートジボワールの貧困度は下から数えたほうがはやい貧困国にもかかわらず、アビジャンという最大都市でも、ヤムスクロという地方都市でも、街中のスーパーに行くと意外にも物価が高いのです。 その他ファーストフードや外食なども利用しましたが総じて日本の物価とあまり変わりません。今の

「アフリカの風土」サッカーとアフリカ『サッカーと独裁者』 読了

<概要> 原書タイトル「アフリカ連合―サッカーでアフリカを読み解く」との通り、アストン・ヴィラ(イングランド・プレミアリーグ)の熱狂的サポーターにして英国新聞「インディペンデント」の特派記者が、紛争地帯含むアフリカ各地の政治情勢をサッカーをキーワードに紹介した2011年出版の著作。 <コメント> 本日2024年2月12日、見事にホスト国のコートジボワールが、アフリカ・ネーションズ・カップ(AFCON)で優勝。 私は一昨日(2024年2月10日)、コートジボワールから帰国し

今アフリカはどうなっているのか?『超加速経済アフリカ』椿進著 読了

<概要> もはや「後進国」ではなく、文字通りの「発展途上国」となったアフリカ諸国の経済が、これまでの西欧や中国などとは異なった特徴ある経済成長を加速させている、とのアフリカ向け投資&コンサルタント会社の経営者の著作。 サッカーの世界では、今月から始まるカタールでのアジアカップがアジアの頂点を決める大会である一方、アフリカでは、コートジボワール(コートダジュールではない)にてアフリカの頂点を決める大会「アフリカネーションズカップ」が開催されます。 縁あって、私もアフリカネー