マガジンのカバー画像

地理・歴史学

176
人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
運営しているクリエイター

2024年10月の記事一覧

「栃木の風土」修験の山としての「日光」改訂版

宗教民俗学者、五来重著「修験道入門」によれば、日光も日本各地の霊山の一つとして取り上げられています。 日光といえば「東照宮があって江戸幕府の創始者徳川家康=東照大権現を祀る土地」という印象ですが、江戸幕府がやってくる前の日光は、山伏の跋扈する修験信仰の山=霊山だったのです。 著者は、 とし、宗教は政治や経済などの俗に染まると、宗教本来の価値が失われてしまうとの考え。政治とは権力であり、経済とは金儲け。 したがって神道のように国教化されたり、勧進やお布施によって宗教法人

「栃木の風土」食文化編

海なし県の栃木県ですが、実は意外にも豊潤な食文化を持つ地域。それも地方ごとに様々な名産がある、というのも面白い。ということで主に『大学的栃木ガイド』に基づき以下紹介。 ⒈市職員の気づきから生まれたご当地グルメ「宇都宮餃子」宇都宮市が、宇都宮市に抱くイメージを全国調査したところ、圧倒的だったのが「餃子のまち」だということ。 宇都宮という街は、戊辰戦争・太平洋戦争の大空襲、と2度に渡り、街が全焼する悲劇を味わった街で歴史的建造物などはほとんど残っていない新しい街(篠原家旧宅と

「栃木の風土」概要編:栃木県は斜めにくだる

⒈栃木県は「下野軸」と二つの水系で形成栃木県を周遊すると、実感するのが「西北から東南に斜めに下る軸」です。下の図的には、左(西)から右(東)に向かって標高が下がっていく地形。ここではわかりやすくこの軸を「下野軸」と呼んでみます。 更に宇都宮を中心とする南部(下毛野=利根川水系)と、那須を中心とする北部(那須=那珂川水系)に自然環境的にも文化圏的にも大きく分かれているのが特徴。 下野軸は、日光や白根山山系から斜めに西に向かって標高が下がっていく地形なので、各種河川もすべて南

「栃木の風土」首都直下型地震の疎開先は栃木県

首都直下型地震の際の疎開候補先として私は栃木県に注目しています。そこで、ここ1ヶ月で複数回栃木県にお邪魔し、那須から小山まで、各地の栃木県を自転車等で実際に周遊してみました(残すは栃木市と佐野市のみ)。 栃木県は、津波の恐れのない「海なし県」でありプレートからも距離のあるエリア(=地震の揺れが小さい)で、首都圏の近隣に中では自然災害が圧倒的に少ないエリアなのです。 ⒈恐ろしい首都直下型地震のリスク私たち首都圏に住む住民(3,500万人)にとって最も大きなリスクは今後30年