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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2023年10月の記事一覧

「京都の風土」西芳寺(苔寺)の二面性とは

▪️はじめにこの数ヶ月京都の風土を勉強してきましたが、そんな中で知ったのが夢窓疎石(夢窓国師)といいう鎌倉から室町時代にかけて活躍したお坊さん。 すでに夢窓に関する紹介もしましたが、 以下実際に夢窓が作庭したという庭園をみるべく、事前予約して西芳寺へお伺いしたのですが、結局その庭はみることはできませんでした。 実は西芳寺には、これまで私が勉強した「夢窓疎石の私寺」としての側面を持つ一方、「苔寺と呼ばれる観光寺」としての側面もある、というわけです。 もちろんお寺側には

「京都の風土」金戒光明寺にて「会津」の悲哀を想う

今でも会津の人たちは、長州藩に対して特別な想いをもっていると言います。 今回、金戒光明寺をお参りし、会津藩墓地を訪れてみて、思わず涙が溢れてしまうのを止められませんでした。 世の中の善悪は、立場によって変わるとはいえ、頑なに忠義を守った松平容保と、容保に従った会津の人たちの悲劇に、感情がこんなに揺らいでしまう自分に戸惑うばかりでした。 だからと言って、日本の近代化によって多くの人たちの幸福をもたらした薩長閥に対して批判的にはなれません。ただ、その時代の変革の中で起きた会

「京都の風土」天龍寺・苔寺の禅僧:夢窓疎石の思想

夢窓疎石著『夢中問答』の解説本『夢中問答入門』を手掛かりに夢窓疎石の思想を探ります。 <『夢中問答入門』の概要>京都の天龍寺や西芳寺(苔寺)などの庭を作庭した禅の名僧「夢窓疎石(1275-1351)」の『夢中問答』の神髄について、分かりやすく解説した臨済宗の住職にして宗教学者「西村恵信」の講演録。 <コメント>『夢中問答』とは、京都嵐山にある臨済宗の禅寺「天龍寺」にて臨済宗の禅僧、夢想疎石(以下、著者表現の夢窓国師)が、室町幕府の初代将軍足利尊氏(1305-1358)の弟

「京都の風土」 自然編

京都の自然風土は、気候でその特徴が大きく分かれます。すなわち舞鶴・丹後の「日本海側気候」とそれ以外の「盆地気候」。 *各種数値は気象庁の「平年値」を引用 ■典型的な日本海側気候の「舞鶴・丹後」山陰地方や北陸地方の気候と同じで、大都市圏の東京・大阪などとは全く異なる気候。つまり年間通して晴天が少なく雨雪が多い。気温も夏暑く冬寒い、という人間にとって厳しい気候。 特に日本海側気候の冬は世界的にも特殊な気候で、大陸からの乾いた冷たい空気が、日本海を北上する暖流「対馬海流」の湿