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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2023年9月の記事一覧

「京都の風土」智積院・東福寺に権力の痕跡をみる

京都の歴史や今に残る京都の神社仏閣を追っていくと、必ずなんらかの権力にぶち当たります。有名な神社仏閣は、ほとんどがそのときの支配者と密接に結びついているからです。 というのも、近代以前においては「権力を持つことイコールお金を持つこと」だったので、その財力にまかせて自分の権力を都にて権威付けすべく、京都にその痕跡を残そうとしたからです。 そういう意味では、京都という街の文化遺産は、日本の中でも唯一、過去の数多ある権力が、神社仏閣等の形で犬のようにマーキングしたその痕跡ともい

「京都の風土」平安京をつくった和気清麻呂

来月10月から京都をフィールドワークするにあたって、哲学者 梅原猛の『京都発見』全9巻を通読中。 これが実に面白いので今後、それぞれのテーマごとに紹介したいと思いますが、まずは和気清麻呂について。 ⒈京都遷都の立役者実は京都がなぜ都になったかというと、和気清麻呂が桓武天皇にこの地(当時は葛野の地)をすすめたから。 『日本後期』によれば、長岡京新都が10年たっても、まだ建設に至らず、費用だけが莫大になってしまいました。 清麻呂は、桓武天皇を遊猟にお誘いし、葛野の地にお連

現代の古典『昨日までの世界』ジャレド・ダイアモンド著

<概要>ニューギニア、アマゾン、イヌイット、アフリカのハザ、北アメリカインディアン等の「昨日までの世界」と現代社会を比較しながら、人間社会の事象の本質を明確にしていく現代の古典ともいうべき名著。 <コメント>個人的には10年前に読み終わってからこの間、ずっと私自身のメートル原器の一つともなっていた著。 25年前に著者ジャレド・アイアモンドの『銃・病原菌・社会(1997年)』で感銘を受けた私は、19年前に次著『文明崩壊(2004年)』で若干の失望を感じ、更に『昨日までの世