「魏志倭人伝の謎を解く」渡邉義浩著 書評
<概要>三国志の専門家の立場から、歴史学の手法で魏志倭人伝の理念(フィクション)と事実(史実)を分類し、その事実に基づいて「邪馬台国は、九州説よりも大和説に、より説得力がある」と推論した著作。
<コメント>近代以前の歴史書は、すべからく史実の記録を目的とする「事実の歴史書」ではなく、その時代の対象(主に権力者)の正当性を裏付ける「価値の歴史書」なので、人文科学としての事実の歴史=歴史学の記録としては扱えません。したがって「歴史家は、価値の歴史書の中からどうやって事実を拾い出