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我が妻のさくら菓子戦線(購入編)

 我が妻のさくら菓子への執念はすごい。おおよそ1月初旬頃から情報収集という名のウォーミングアップを始め、1月中旬になると、お菓子を売っている店のお遍路参りが始まる。しかも前年に買ったものは買わないという念の入れよう。我が妻はさくら菓子を見ると一目散に駆け寄る。そして宝物庫から宝を取り出すかのごとく、恭しく手に取り眺め、気に入ればレジへ持っていく。それを買い物に行く度に繰り返すのだ。しかしそこに立ちはだかる壁が存在する。そう夫である僕だ。
 我が家にはさくら菓子協定がある。ある特定の紙袋に入るだけ、さくら菓子を買えるというものである。紙袋から溢れたお菓子はすぐに食べなければならない。新しく買おうとしているお菓子に溢れるか否かの判定をするのが僕だ。もっとも、判定と言っても紙袋の記憶を呼び起こすだけだが。
 
 さくら菓子戦線はまだまだ続く。今年はいつ終わるか、誰にもわからない。

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