土のフルコースを食べてきた@ヌキテパ
ヌキテパというお店で土のコース料理を食べてきた。
先月の治験で儲かって金はあったので、美味い料理が食べたいという話をシェアハウスの同居人としていた。そこで、普通の美味い飯よりも土が食える店があるという話題で盛り上がったので、同居人とその友人達と土のコース料理を食いに行くことになった。
土とはいえコース料理は初めてだったので、ドレスコードや雰囲気やらが非日常でワクワクと緊張が入り混じっていた。
当日、時間になり店に入り、4人だが個室に案内された。上着をクローゼットにかけて座る。4人座ったタイミングでコースの説明と飲み物の説明をされた。
スイカのシャンパンが有名らしいのでそれを頼んだ。
食前酒:スイカのシャンパン
スイカの香りが広がるシャンパン。ワイングラスが薄くて軽いのがよかった。味はスイカ風味のシャンパンで、市販のシャンパンの臭さは少なかったがシャンパンぽさを残したままスイカの風味がした。
シャンパンを飲みつつ話しているとアミューズが出てきた。
ホタルイカのボイルとトマトと白ワインで煮たオリーブのやつ
素材の味を味わえと言わんばかりのアミューズだった。トマトとオリーブはいつもカレー作るときに食ってるし、ホタルイカも先週寿司屋で食ったので驚きはなかった。ホタルイカとトマトは普通に美味い。オリーブはいつも食ってるオリーブより明らかに美味かったので参考になった。
土のゼリーとウニ
最初の土はゼリーだった。土ゼリーにうにとホイップにみじん切り玉ねぎが入っていた。ウニは絶品だった。ゼリーは味はなく土の風味がかすかにある。ウニの味が強くて9割ウニだった。土は園芸でよく使われる栃木の鹿沼の土らしい。しかし玉ねぎはいらないと思ってしまった。
土のスフレとルッコラと何かのサラダ
土のスフレは、土と水を泡立てて冷凍したやつで、霜柱を食ってるようだった。サラダは塩と油がかかっていて、触感も味もおいしかった。ただ、土とサラダが合うかどうかは微妙で、土付きの野菜は取れたて感があっておいしいというバイアスを高級飲食店なりにアレンジしたものだと解釈した。
途中で2種類のパンが出てきて、無限に食べれる。上の写真のバゲットのようなパンとドイツパンのようなパンの2種が食える。出来立てで外がサクサクでかなりおいしかった。
ハマグリを焼いたやつ
1番おいしかった。ハマグリの蓋を蝶番で固定して圧力をかけて焼いたものらしい。身もだしもうまみを感じれて最高だった。あと10個くらい食べたかった。
土でコーティングしたマッシュポテト
おそらくヌキテパの土料理で1番有名なのではないだろうか。黒いのは土のペーストで、マッシュポテトにトリュフを混ぜたものが内側に潜んでいる。下に敷いてあるのは炒めた玉ねぎで、皿の外側に散りばめられているのはポップコーンだ。正直味は普通で、全体的に脂っこかった。玉ねぎのバターと土に混ざった油にくどさを感じた。普通のマッシュポテトと玉ねぎという印象だった。
磯魚のスープ
これはかなり美味かった。運ばれてきた時点で魚の香りがすごかった。磯魚5種をスープにしたらしい。魚のみで濃厚魚介豚骨つけ麺並みの濃さを仕上げているのに驚いた。粘度はあまりなかった。魚のうま味と香りがひたすらに立ち込めていて、飲んでいて幸せだった。一緒に食べたやつがアラ汁みたいで普通だったと言っていたが、アラ汁作ったことないやつにこのスープの凄さはわからんだろう。
土のリゾットと金目鯛
金目鯛焼いたやつに土のリゾットとごぼうが乗っかっている。相変わらず海鮮はおいしい。ごぼうもおいしい。だが土のリゾットだけ謎だった。そもそも我々現代人は土を食べ慣れていないので、味の評価の比較対象がない。今食べている土が美味しいかどうかわからないので、ひたすら土を受け入れることしかできなかった。しいて言うなら、甘くない小豆の煮汁で米を炊いているような味だった。不快な感じはないが、ほとんど味がしない。
失ってから初めて重要さに気づく、土そのものを表しているような一皿だった。
土のシャーベット
デザート前の口直しで出てきたのは土のシャーベット。材料は水と土と砂糖のみらしく、ひたすらに甘い。かりんとうシャーベットと言われても納得できる、ガリガリ君リッチの新作を食べているようだった。
土のクレームブリュレ
最後の一皿のデザート。他はスイカのショートケーキかレモンのミルフィーユか選べたが、全員これを食べた。正直土はあってもなくてもよかった。
それより、クレームブリュレが薄すぎて5mmぐらいしかなかったのが食いごたえなくて悲しかった。他のデザートの注文をおすすめする。
シェフ自ら土の話をしてくれた
食後にシェフ自ら出向いて説明してくれた。土料理はもともと企業とのタイアップで試しに作ったものらしい。それが反響を呼んで、カンヌの広告祭ライオンズで賞を取ったのが続けるきっかけになったそうだ。
てっきり自ら土料理に行きついたのかと思っていたから、意外だった。だが、砂と砂利を取り除く大変さを語ってくれた表情は本物であった。無味無臭の土を作るだけで相当大変らしい。その土と得意の海鮮をを合わせて作る苦労を考えると、貴重な体験をしたと感じる。
このコース料理を食べたことで、料理に対して新しく土という概念が生まれた気がした。土に関しては「土の文明史」を読んでいたのでなんとなくわかっていたが、これで本の知識を生かした料理が作れるかもしれない、とワクワクしている。
みなさんもぜひ土に関して興味が出たら、ヌキテパに足を運んでみてください。
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