洗濯物と青い空
今日は携帯のアラームより早く起きた。
すっと目覚めた朝は私は機嫌がいつも良い。
カーテンから柔らかな光がこぼれている。私はカーテンを開けて、窓を開けた。
今日は天気が良くなりそうだなぁ。
休みの日に天気が良いってどうしてこんなにも自由を感じるんだろう。
外に出かけようかなぁ。家でゆっくり好きな事でもしようかなぁと考えるだけで心の奥が弾んでくるのだ。
隣のベッドの抜け殻を見て、もう起きていたのか。
早いなぁ、何時に起きたんだろう…。
「早いね」私が夫に声をかけた。
私は「朝食、作るから待ってて」
と言って顔を洗い、軽く髪をとかして髪を一本で結び身支度を済ませた。
「卵は目玉焼きかスクランブルどっちがいい?」
夫は「スクランブル」と少し子供のような甘えた声で答えた。
そんな声が可笑しくて
「は〜い。スクランブル入りました!少々お待ち頂けますか?ご主人様」
と冗談まじりで私は夫に対応した。
「じゃあ作ってる間、洗濯機回してくれる?」
「む〜り〜できな〜い」
とまた甘えた声で夫が答えたが
今度は私があきれた声で
「も〜う!この間、洗濯機のやり方教えたでしょう!」
「だから!スイッチオン、標準でスタートでしょ!」
このやりとり何回目なんだろう。
まったく!
結婚して半年になるのにまだ洗濯機ひとつも回せないのか〜!あやつは!
と心の中で私はなげいた。
私がやった方がどうみても早く済むが夫を教育する為にはいた仕方ない。
結局、朝食作りは中断して夫につきそい
子供に教えるようにさとし、洗濯機の始まりのメロディを無事に聴く事ができた。
朝食作りは一時的に邪魔が入ったがテーブルに並び終えた。
夫とこうしてゆっくり朝食を食べれるのは特に用事のない土曜日だけだ。
テレビを普段、見ない私だが土曜日のテレビの中は
平和で私はぼ〜っと旅番組の綺麗な景色に見入ってしまう。
そして私は半熟のスクランブルエッグにマヨネーズをかけて口に運んだ。
カロリーは高いだろうが夫が私に教えてくれた人をダメにするが最高にもする食べ方だと思う。
私達は朝食を食べ終わって、夫が食器洗いをする。
その間に私が洗濯物を干すのが
我が家の暗黙のルールにいつの間にかなっていた。
洗濯機も回せない夫だが食器洗いは好きで率先して洗ってくれる。洗った食器に洗い残しがついている事があり爪が甘いなぁと思う所もあるが平日の仕事から帰って疲労した体に食器洗いだけでも手伝ってくれるのはとても助かっている。
もうちょっと、家事を覚えてやってもらいたいものだが教えこむにはまだまだ時間がかかりそうだ。
そして私はTシャツなどハンガーにかけれる物をまずハンガーにかけていき、バスタオルはベランダに布団干しの洗濯ばさみで直接はさんでいく。
残りの物、ズボンや靴下、下着などは洗濯物干しの角形ハンガーに挟んでいく。
洗濯物が傾かないように平行になるように気をつけながら挟んでいく。
夫から干し方のバランスが上手いと言われてから私はよりバランスを気にして洗濯物を干すようになってしまった。
さぁ、洗濯物が干し終わった。
今日は雲がない、スッキリした
青い空だ。
その青い空をバックに洗濯物が
風に吹かれ、ゆらゆら揺れている。
2人の洗濯物が隣りあって
触れあっている。
私達、一緒に生活しているんだなぁ。
と改めて感じる。
結婚し、一緒に暮らし始めた頃はまだ働いていなかったので1人暮らしも、した事が無かった私は平日の昼間、部屋に1人で居るとし〜んとした空間に心ぼそさをよく感じたものだった。
寂しさもありながら、他人と暮らす事はどんなに好きな人でもささいな事が気になったり、嫌だったり、自分のリズムで暮らせなかったりで
不協和音が鳴り響いた日が何日もあった。
洗濯物の干し方のバランスを取るように
私達もいつの間にか風に吹かれながらバランスが取れるようになってきているんだな。
私はベランダにもたれて
太陽の暖かさを腕に感じていた。
そして洗濯物を見つめて
なんだかいつまでも見ていたい光景だなぁと思った。
うしろを振り返ってレースのカーテンごしに部屋の中を見ると食器洗いを終えた、夫がソファーにごろ寝をして携帯を見ている。
テレビから誰かの話声が何を話しているか聞き取れないが私の耳に入ってくる。
部屋の中にはありきたりな休日が普通の顔してあふれていた。
私は部屋の中に入り
「今日、天気良いから
散歩に行こうか!」
と夫にかけよった。
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