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そこには棚田と空と、人の温かさがあった
少し前、長野の姨捨というところに行った。
リゾート地でも観光地でもない、この場所にわたしはずっと行きたかった。
2年前の夏、まだかつての日常があった頃。2歳下の妹と、18きっぷの旅をした。(ちなみに普段はめちゃくちゃ不仲)
長野、そして松本、ここを行き来するために乗った電車で、もうそれはびっくりなくらいの絶景を見た。
この景色がどうしても頭を離れなくて、どうしても行きたくて、
そんなわけで姨捨を訪れることになった。
わたしはこう見えても(どう見えてる?)、新宿生まれ、横浜育ち。ばっりばりの都会人だと思う。その反動からか、「空が広いところにいきたい!!」と常々叫んでいる。姨捨の景色を好きになったのも、それが要因だろう。
ちなみに空が好きすぎるので、空だけを撮ったInstagramのアカウントがある。
こんな感じ。いいよね。自己満。
それはいいとして、そんなわけで姨捨に行ったのです。
姨捨に行くと決めてから、まず難点は宿だった。
宿がない。隣の駅ならかろうじてあるのだけど、姨捨に宿がない。
調べて調べて調べて、やっと唯一出てきたのがゲストハウスだった。
ちなみに徒歩圏内にコンビニもない。というか、棚田しかない。
大丈夫かなぁと思いつつ、景色を見たかったわたしは宿をそこに決めて、はたまた18きっぷでのんびり移動することにした。
免許も持っていなかったので、とりあえず30分歩けばご飯にたどり着けるらしいという情報を手に入れた我々は、まあ歩こうということで宿に向かった。
お風呂どうしようご飯どうしよう、そんな不安を抱えつつ、ゲストハウスに入ると、迎えてくれた人はなんと!!
オーナー!!
ではなかった。
「オーナーが今いないので、代わりに留守番しています。こういうものです。」と名刺を頂いて、戸惑い、名刺を見て、戸惑い、そんな感じだった。
みゅーじしゃん、、?884ではやし、、、?
迎えてくれた彼はミュージシャンだった。「もともと東京に居たけれど、今はここに拠点を置いていて、、、」みたいな説明をしてくれたけど、トイレに行きたすぎてあんまり聞いてなかった。本当にごめんなさい。
そして無言の空間に耐えられなくなった我々は「景色見てきます!」なんて言って、飛び出して、景色を見た。帰ってきたら、クマみたいな(自称?だっけ?)オーナーさんが「おかえり」と迎えてくれた。
わたし、とっても緊張していたんだけど、その一言ですごく心が軽くなった。
「おかえり」
これって、ここにいていいですよって言ってくれる魔法の言葉みたい。
気を遣いすぎなくても、たぶんふらっと出ていって帰ってきても、おかえりって言ってくれるんだろうなと思って安心した。安心しきった。
それから、仲良くなるのに時間は全然必要なかった。
お風呂どうしよう30分歩くかぁと思っていたら、884のはやしさんが車を出そうかと言ってくれた。普段ならお断りしそうなところだけど、温泉に入りたかったので、お言葉に甘えてしまった。
884さんオススメの温泉に連れて行ってもらったのだけど、硫黄の温泉で、お肌はつるつるだし、安いし、風情があるし、お風呂上がりにコーヒー牛乳も飲めたし、もう連れて行って頂いてほんとどうもありがとうございますすぎる。
たまにはお言葉に甘えるということも必要かもしれない。
(温泉の外観をフィルムカメラで撮ったんだけど、うまく写らなくて、軽く心霊スポットみたいに。)
お風呂から帰ってきて、そしたら、焼き鳥をしようってクマみたいな(おそらく自称)オーナーさんが言ってくれて、
極寒の山の中、庭で、火をつけて、BBQみたいな、そんなことをした。星と月がきれいだった。
884のはやしさんも、オーナーさんのお友達の大阪感バリバリのイカ焼きを売っているこやまんさんも、チャキチャキしたかっこいいのりさんも、もちろんオーナーさんもそれはそれは優しくて、
みんな大学に行っていないからと、大学の話をすごく聞いてくれたり、将来の話とか、どうしてここに来たのかとか、恋愛の話とか、向こうは電車に乗ることが少ないらしくて、18きっぷにすごく目を輝かせてくれたりとか、
こちらの話も優しく聞いてくれたし、みなさんの話もまた普通に東京に居たらもちろん聞けない話で、「一期一会ってこういうところから生まれるのかなぁ」なんて思ってしまった。
深夜1時、もうわたしがうとうとし始めたころ、884のはやしさんが歌を歌ってくれた。誰かの歌をこんなに真剣に聞くことなんてないと思うくらい引き込まれて、歌にもきっとはやしさんの優しさとかが滲み出てて、
深夜2時、もうわたしが半分寝ていた頃、一緒に行った友人と、884のはやしさんと、オーナーさんのお友達さんがジョイマンを急にやり始めて、
ななななー、ななななー、なななななんこつ!はい!
ななななー、ななななー、ナスカの地上絵!はい!
3人ともステップがうますぎる。どう考えたって、元ジョイマンでしょと心の中でツッコミをいれながら、初めて会ったとは思えなくて、まだここにいたくて仕方なくなった。
その日はゆっくり寝て、起きたらもう884のはやしさんしかいなくて、みんなに会えなくて悲しかったけれど、またここに来ようと強く思ったし、友達ともまたここに来ようって約束した。
なんなら今から行きたい。
望んでいた広い空と、棚田と、予想もしていなかった人の温かさ
また行かせてください。その時はジョイマンできるように練習しなきゃな。あとたぶん、クマみたいな、は884のはやしさんが言っていた気がするから他称だ。