【レビュー】First Listen 6:aiko『残心残暑』(2024)・スキマスイッチ『A museMentally』(2024)・リーガルリリー『kirin』(2024)
今週は邦楽をよく聴きました。ベタベタに売れっ子ばかりなのはお許しを。知らない人たちをディグるのがかなりきつい時期なんです。自分で調べるのがきついから、たまにラジオ流しながら良いなと思った音楽はShazamで拾ってます。最近いいと思ったのはクリープハイプトリビュートのウルフルズ 「二十九、三十」。原曲知らないけど響いた。あと渡辺美里「サマータイムブルース」。残暑にちょうどいい90sの香りAOR。Mark Ronson & The Business Intl「Bang Bang Bang」もなんだこれってなったな。思わぬ収穫は幅を広げてくれます。
●aiko『残心残暑』(2024)
日本 J-POP 16th
aikoはへんてこなメロが好きなんです。奥田民生みを感じる半音下げる歌い回しとか、どうも個性が出にくい(と私は思ってしまっている)女性ボーカルの中で抜きん出て個性がある声。喉に名前が書いてある。まあ椎名林檎や宇多田ヒカルのようなぶっ飛んだアーティストと共に出てきた"98年組"は魅力が溢れてるよね。
といいながら、コンスタントにアルバム出してきて(ほぼ2年おき?)熱心なファンではない自分は積ん聴き状態。今作は16th。じゅ、16枚目?!多作だなあ…。もしかしたらアルバムちゃんと聴くの初めてかも。
「blue」、エレピアコギとトランペット、シンプルな編成でしっとりとアルバムのオープニングを飾る。
「skert」はロック味の強いナンバー。アレンジがいいね。すごく歌メロが音痴に聞こえるのにしっくりくる感じはaikoらしい。コードと音を合わせないこともあるんだっけか。でもしっかりキャッチー。ギターソロ、フェイザーかけてる?短いけどかっこいい。ラストのさりげなく聞こえるダブルチョーキングもいいね!
「ガラクタ」はイントロのピアノリフに絡むギターのフレーズがいいなあ。Bメロの半拍早いスネアもいいし、全体的にドラムの軽やかな音が良い!自分は不安定なマイナー調の曲が好きなんだな。いつものaikoって曲で好き。
「星の降る日に」のリズム隊もジャジーで軽やかにうたっていてベースライン気持ちいいです。
●スキマスイッチ『A museMentally』(2024)
日本 J-POP 10th
『新空間アルゴリズム』(2018)はよくリピートしていて、あとは「ガラナ」「奏」「全力少年」など有名曲を知っている程度。奥田民生関連で目にすることは多いけど、あまり聴いてこなかった。学生時代を彩った00年代ど真ん中のデュオなので自発的に耳に入れても良かったのに、軽視しがちだった。Mr.Childrenに影響バリバリ受けてるから琴線に触れないわけがない。売れてて数曲知ってるのにしっかり踏み込んで聴くのを躊躇っていたグループ、他にはレミオロメンとかAqua Timezとか。実際よく聴くとめちゃくちゃいいのね。
この作品聴いてると、Keyの常田さんは「日本のJonathan Cain(Journey)」だなーという印象を勝手に持った。笑 メロディーメイカーだ。
曲作りは大橋さんと2人で編曲までしているそうだけど、印象に残るメロディアスなピアノフレーズが多いことに気づく。「逆転トリガー」のイントロすごく良くないですか?
「Lonelyの事情」はサビが素晴らしい。しっとりアコギと乾いたエレキのダッダッジャッなビートリーサウンドに、やや熱みを帯びた歌声が感傷的。ラスサビの笑いながら歌うのも遊び心がある。
「クライマル」のようなロックバラードもいいねえ。ピアノとボーカルのみのしんみりなバラードもいいけど、やっぱりギターも鳴ってドラムも聞こえて…っていうバンドスタイルのバラードが好みだなあ。聞いてますか、桑田さん!(「TSUNAMI」みたいなバンド感のあるロックバラード作ってくれ)
●リーガルリリー『kirin』(2024)
日本 J-ROCK 3rd
熱心なリスナーではないのだけど、何曲か好きな曲がある。「GOLD TRAIN」「たたかわないらいおん」は年間フェイバリッツに入れてるな。シューゲイザー的なサウンドデザインに乗るたかはしほのか氏の声が非常にミスマッチさを感じてとても良いのです。くっそ90sオルタナ好きなんだろうなあって音像が刺さる。おじさんに片足突っ込んでる。
今作、全曲良い!!!ずっと聴ける!!!「天きりん」は間違いなくキラーチューンだよね。一気に首根っこ掴まれる感覚。MV観ると泣きそうになるんだ。「キラキラの灰」のギターロックしてた頃のRadiohead感、「春が嫌い」の切ない疾走感、ああ素敵。
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