越境ECの活用①
近年では、パソコンやスマートフォン等の端末の普及により、誰でもECサイトを利用出来るようになりました。その中でも、国境を超え国外の消費者に向けて商品を販売する、国際的なECのことを「越境EC」と呼びます。
SNSの普及による情報交換の活性化も追い風となり、越境ECの利用者数や市場規模は増加傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の影響により渡航制限が敷かれたことも、越境ECの注目度を高める要因になったと言えます。
今回は、越境ECの活用を考えている方に向けて、「越境ECとはどういうものなのか」についてまとめました。
越境ECとは
越境ECとは、インターネット上のショッピングサイトを通じ、海外の消費者に向けて商品を販売する国際的なECだということは、先に述べた通りです。
越境ECにはいくつかのパターンが存在します。代表的な例を列挙します。
①越境ECサイトを日本国内で構築
②日本国内に既に存在する、越境ECサイトに出店・出品
③相手国の越境ECサイトに出店・出品
④保税区活用型出店(出品)した上でECサイトに出店・出品
⑤一般貿易型EC販売
⑥進出先の国で独自の越境ECサイトを構築
①と⑥については、新たに越境ECサイトを構築せねばならず、越境ECに着手したい人にとっては現実的とは言い難いでしょう。しかし、既存のECサイトを利用するに当たっては、販売手数料の交渉等が必要になってくる事も留意しなければならないでしょう。
弊社がオススメするのは、④保税区活用型です。
これは、相手国のECサイトに出品し、配送は相手国の保税倉庫から行う方法です。保税区内の倉庫にあらかじめ販売する商品を輸送しておき、サイト上で受注したら、保税倉庫から配送します。直送よりも早く届けることができます。
※保税区とは、海外から輸入された貨物を関税などの課税前の状態で保管できる区域のこと。保税倉庫は、保税区内にある倉庫を指します。
越境ECに着手する際は、自社のスタイル、商品の特性に最も合致した方法を選定せねばなりません。自社商品の特徴や、ニーズを踏まえ、慎重に決定しましょう。
弊社では、お客様にあったスタイルの越境ECの方法を提案致します。
ご相談は弊社HPのお問合せフォームより受け付けております。
越境ECの市場規模
越境ECの利用者や市場規模は増加して来ています。実際の公的な資料を踏まえながら、2020年までの市場規模を見てみましょう。
世界
まず、世界の越境ECについて見てみましょう。2019年の世界越境EC市場規模は7,800億USドル(約89兆円)と推計され、この値は2026年までに4兆8200億USドル(約550兆円)まで拡大すると予想されています。年間平均成長率は約30%で、この成長率は世界の BtoC-EC 市場規模の 拡大を上回るペースです。
ここまでの急成長の背景には、
・消費者目線:越境 EC の認知度 の上昇、自国にはない商品への取得欲求、自国よりも安価に入手できるものがあること、 商品やメーカーに対する信頼性等
・事業者目線:越境 EC によっ て消費者ターゲットを世界に拡大しようとする事業者の積極姿勢等
が挙げられます。
物流のサービス向上も、要因のひとつとなっているでしょう。また、2019年の年末頃からは、新型コロナウイルスの流行による渡航制限もあり、越境ECは更に加速したと言えます。
日米中三カ国
次に、日本、アメリカ、中国の3カ国に焦点を絞って見ましょう。
上の図の通り、中国は日本やアメリカから越境ECを通し商品購入を行い、莫大な市場を形成している事がわかります。
これは、純粋な人口量もありますが、中国では(越境ECを含む)ECが他国よりも浸透している事が理由になっているでしょう。
中国での売れ筋は以下の通りです。
中国を推奨するワケ
年々拡大する越境ECですが、最大の要因はスマートフォンの普及によるものです。スマートフォンにより、世界中の人々はいつでもどこからでもインターネットにアクセス出来るようになり、同時に、常に買い物が出来る状態になりました。
そして世界で最もECの盛んな中国では、39歳以下(2020年現在)の人口が7.5億人で、中国総人口の53%に達します。その中でも特に1990年代後半生まれの世代の事を「Z世代」と呼び、その世代特徴として挙げられるのが「デジタルネイティブ」である事です。Z世代にとってパソコンやスマホ等のデジタル機器は生活の一部として生まれた瞬間から存在している事になります。
驚くことにZ世代だけでも総人口の37%、5.2億人います。
そういったデジタル・スマホネイティブな人たちは、「店頭で実際に商品を見て買いたい」という意欲は低く、「より楽に」「より早く」「より安価に」等の理由からECを利用する傾向にあるといえます。
この莫大な市場規模や、隣国だからこそ実現出来る輸送費の低コスト化等、越境ECの相手国として最善の国と言っても過言ではないでしょう。
また、その他の諸外国へ進出を考えている方も、その足掛けとして中国を選択する事は大きなアドバンテージとなるはずです。
弊社では、中国へ進出したいと考えている企業へ、越境ECのサポートをさせて頂いております。
メリット・デメリット
多くのサービスがそうであるように、越境ECにもメリットがあり、そしてデメリットも存在します。全てを挙げると枚挙にいとまがない為、代表的な物をピックアップしました。
メリット
・販路(商圏)の拡大
日本市場は今、非常に残念ではありますが、疲弊していると言わざるを得ません。事実、日本国内の消費額は減少傾向にあります。少子化による人口減少も、長らく問題視されています。
先に述べたように、誰でもどこからでもECサイトを通じて買い物が出来るようになったと言っても、人口(利用者)という観点から見れば、販売先を日本国内に絞った事業は、先行きが明るいとは言えません。
人口の多い中国を始め、アジア全体や欧米諸国でもECの利用者は増え続けています。
世界の人口は、国連によると2050年には97億人にまで増えると予想されており、この先の世代は生まれた瞬間からインターネットインフラの整った環境で育っていく事になります。今取り組む事により、将来の商圏をいち早く拡大出来るチャンスがあります。
・商品の価値で勝負が出来る
これは、「日本企業」というブランド力が活きたメリットです。
類似品との差別化や、価格競争が激化している日本市場ですが、越境ECでは、「商品の開発ストーリー」や「歴史」等を含んだ「日本ブランド」を訴求する動きがあります。
安価な類似品があったとしても、「日本ブランド」という事が魅力となり、高価格帯でのブランディングが可能となります。
デメリット
・日本国内との違い
越境ECで、特に問題になるのは「決済方法」「言語の壁」「規制の違い」です。
決済方法を対象国にあわせ準備せねばなりませんし、ECサイト上の説明やサポートを行う際、対象国の公用語が必須です。
また、当然のことですが国によって法律も違います。正しい知識を持ってなければ、不要なトラブルを招いてしまうでしょう。
中国での決済方法については、今後また記事にして行こうと思いますが、中国ではPay事業が盛んで、現金やクレジットカード決済よりも、AlipayやWeChat Pay等のモバイル決済が好まれます。
弊社では、モバイル決済に対応し、中国人スタッフによる正確な翻訳、現地法人もありますので中国特有の法律や規制にも正しい対応が可能です。
・流行の調査が困難
また、日本国内であれば「試しに少量を出品し、売れたら量産する」という事が可能ではありますが、国外に物を売るとなるとそうも行きません。綿密な下調べをし、本当に売れる物だけを出品しなければ、莫大なコストだけがかかり、ほとんど売れなかった…という最悪の結果にもなりかねません。
しかし、何が売れているのか、何が流行しているのかを、日本国内にいながら正確に把握することは、容易ではありません。
また、国によっては行事にあわせ人気の出る売れ筋もあり、その国そのものについての知識も必要になってくるでしょう。
弊社では、中国現地法人を通じ、流行を敏感に捉え、最良の商品の選定とその販売方法をご提案させて頂いております。
越境ECには、まだまだデメリットや不安要素が多いと感じている方も多くいらっしゃるかと思います。弊社では、お客様の不安を全て解消し、安心して越境ECに参入出来るよう、尽力致します。
まとめ
今回は、今後さらに成長していく越境ECの市場規模や何故普及したのか、そしてメリット・デメリットについてお話しました。
次回は、「越境ECの活用②」として、最も市場規模の大きい対中国の越境ECに焦点を当て、まとめて行きたいと思います。
弊社では、中国の主力ECサイトへの出店・出品のサポートをさせて頂いております。また、ライブコマース利用についても幅広いサポートを準備しております。
また、SNSを利用した宣伝・広告についても充実したサービスを提供しております。
疑問点やご質問は、弊社HPのお問合せフォームよりお問合せ下さい。
弊社は、皆様の海外進出を精一杯サポート致します。
ライター:
株式会社 GTL KYUSHU
営業部 広報担当 河野