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「CLでは好調を継続中」vs.DinamoZagreb(H)[3-0]【24/25ChampionsLeague 第7節】

試合前展望・キーポイント

 勝っては負け、優勝争いに戻ったかと思いきや再び脱落しかけと、プレミアリーグでは昨季や一昨季に比べると奮わない今季のアーセナル。しかし新フォーマットに移り変わったチャンピオンズリーグではそういったチーム状況を鑑みるとかなり良い成績を収めているというのがここまでの印象だ。

 現順位は3位、リーグフェーズは残りがディナモザグレブとジローナという比較的与しやすい相手だというのを考えると、決勝トーナメントへのストレートインはまず間違いないだろう。

 そうなると大事になってくるのが選手個々人の復調。特に今はサカやサリバといった主力達が複数人離脱中である。代わりにスタートに立つことになったスターリングやキヴィオル、その他の選手達にもコンディションを上げられるようなパフォーマンスを披露して欲しい。

キーポイント:キヴィオル右CBをそつなくこなせるか

試合情報

スターティングイレブン

キヴィオル右CB、ジンチェンコ左SBスタート

ハイライト

試合内容・所感

先制点を筆頭にキーマンとなったマルティネッリ

 カラフィオーリ、ヌワネリがベンチ復帰し実質冬補強と思ったのも束の間、左SBで早くもスタメン級の活躍を残しているスケリーがコンディション不良でスカッドから外れるという何とも言えない台所事情。ジンチェンコとキヴィオルがどれだけ踏ん張れるかがポイントになってくるだろう。

 起用選手の正ポジションでいうと4-1-2-3かもしれないが、ザグレブはアンカーベルナウアが最終ラインに吸収される形での5-2-3フォーメーションを採用。こちらはジンチェンコを左SB起用ということもあってマルティネッリを右WGへ配置。

 アーセナルは立ち上がり僅か2分に先制に成功。マルティネッリが対面を一瞬剥がしてのクロスをマイナスで待っていたハヴァーツ→ライスと決めたわけだが、これは5枚のバックスの前に空いたスペースを上手く使えたゴールだった。中盤の枚数を削って後ろを増やすと単純な物量の増加でセンターラインのシュートコースを封じれるが、その分押し下げられたあとのバイタルが空きがちになる。マイナスを狙ったマルティネッリ、すっと最終ラインから離れ降りたハヴァーツ、落としを貰える位置に留まっていたライス。全員が得点を取るべくして取れるようなビジョンを持てていた。

 先制後はザグレブ側の明らかなハンド見逃しやガブリエルへの悪質な蹴り込み等主審のご乱心が目立つようになってきたのもあって落ち着いた展開に。アフター上等のタックルとシミュレーションがレフェリーに良い感じにフィットし、定期的にこちらのチャンスを潰されるシーンも。

 それでもコンスタントにゴールに迫れていたアーセナル。好調の要因の一つに、マルティネッリの「正対頻度・裏抜け率の高さ」とが挙げられると思う。

 ライス、ジンチェンコらのポジションチェンジにザグレブ側はだいぶ引っ掻き回されマルティネッリには右SBリストフスキが1人でマーク。リストフスキからすると突っ込んで躱されたときのカバーが遠い場面が多かった為、必然的に距離を取っての対応が強いられる。そうなると対面をスピードでぶっ千切れるマルティネッリからすると緩急をつけた得意の縦連打でも十分攻略可能で、先制ゴールのような決定機創出に繋がるわけだ。

 またこの試合アンカーを務めていたジョルジーニョからラインブレイクパスが飛び出てくるのも追い風となり、前方にスペースがある状態でボールを受けられるシーンが多かった。反対のスターリングはマルティネッリに比べ対応される人数が多く苦戦していたこともあって、マルティネッリがいつもより伸び伸びとプレー出来ていた印象が強かった。

 それと、バックスの安定感は思っていた以上。ティンバー、キヴィオル共に1回ずつ低い位置で失ってしまった場面こそあれど、そのシーンを含めて冷静に淡々とビルドアップに集中出来ていた。3バックとジョルジーニョで後方からの供給コースを作り続け、ジンチェンコも一定以上の水準で攻撃に貢献していた。

 早々に先制しマルティネッリを中心とした攻撃はコンスタントにゴール前に迫ることが出来ていたものの、あと一歩二歩足りず追加点がないまま前半を折り返す。

姑息なザグレブを強かさで押し潰す

 後半も感情豊かなアピールでスターリング、ティンバーにイエローを出させることに成功したザグレブ。これがイエローなら足裏が見えてるスライディングやアフターを連発しているザグレブ側に何人かイエローが出ないとおかしいわけだが、レフェリーも下手そうなので仕方がない。

 オフサイドになりはしたが、後半立ち上がりからハヴァーツに決定機もこれは決まらず。前半もジョルジーニョの見事なフィードに抜け出した場面も外したが、ここ最近のハヴァーツは本当に決まらない。得点が少ない前線メンバーの中でも特に。どうしてもタッチ数が増えまごつくシーンが多いから、思い切ってダイレクトで撃てるシーンはダイレクトを選択してもいい気もする。

 理不尽イエロー2連発で停滞しかけた中、該当の2人に代えヌワネリとトーマスが交代出場。やはりヌワネリは出てくるだけでわくわくするというか、何かを起こしてくれる気がする。早速ポケットをえぐってのチャンス創出もあり、持っているものが違うなと感じさせる。

 と思っていたら燻っていたハヴァーツに待望の得点。こちらも前半と同様、大外で対面とのスペースを確保した状態でボールを受け取ったマルティネッリが中へのカットインからハヴァーツへ完璧な巻きクロスを供給してみせる。前半から存在感を発揮してきたマルティネッリへHTでがちがちに対策してこなかったのはこちらとしてはありがたかった。

 試合終盤は最近出場する機会が生まれつつあるティアニー、トップチームデビュー?となったオイェデジ君らの姿も。ティアニーはやはり唯一無二なピンポイントクロスと、その武器をブラフにしたクロスと思わせてのバイタルへの鋭いグラウンダーパスが今節でも見られ嬉しかった。

 2失点ともなると守ってからのカウンター一閃プランも完全に瓦解したザグレブ。そして、交代で入ったトロサールが前節に続き再び左足でキャプテンのゴールをアシストし勝敗は完全に決着。長期離脱以降なかなかコンディションが上がらないウーデゴールに大きいターニングポイントとなる見せ場が生まれ、CLでの圧倒的な強さを今節も発揮し勝ち点3ptを積み上げてみせた。

個人的MOTM:Gabriel Martinelli

 実質2アシストの活躍を見せたマルティネッリ。悔しいが奮わない前線メンバーの筆頭候補でもあった彼が試合を通してアーセナル左サイドの攻撃を牽引し、攻守に渡って懸命に走り仕掛け続けた。終盤にはかつて猛威を奮った大外ティアニー×カットインマルティネッリの共演が見られたこともグーナーとしてはとても感動した。

試合総括・今後の展望

 カップ戦や直近のプレミアヴィラ戦から考えると、久々に気持ちの良い勝利を収められたのではないだろうか。この上向きムードを継続出来ていないのが今季なので引き続き慢心することなくリーグ戦も戦い続けて欲しいというのは勿論だが、主力複数離脱中でも強豪らしい強かな勝ち方が出来たことは誇っていいと思う。

 これでリーグフェーズは1戦を残し、ほぼ確実に決勝トーナメントへのストレートインが確定ということに。他チームの状況にもよると思うが、最終試合はある程度ターンオーバーを織り交ぜても良いのではないかと個人的には思う。復帰したばかりの怪我人も含め、プレータイムの調整は徹底的に、シーズン終盤にピークを持ってこれるような采配をアルテタには期待したい。

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