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「完全復活、待望の神童初得点」vs.Nott'm Forest(H)[3-0]【24/25PremierLeague 第12節】
試合前展望・キーポイント
1週間の代表ウィークが明け、ぼちぼち中盤戦に突入といったところのプレミアリーグ。各クラブ多くの怪我人やチームマネジメント問題を抱えている中、アーセナルも例外では無い。
まず一番の痛手がホワイトの長期離脱。昨季から膝に慢性的な痛みを抱えながらの強行出場を続けていたとのことで、遂に手術に踏み切った。冨安やティンバー、カラフィオーリらSB陣の復帰が近いことの裏返しかもしれないが厳しい状況に変わりはない。またライス等は今節出場が不可能。今季下馬評を大きく覆しここまで大躍進のフォレストに対し難しい試合が予想されるがどうにか勝利で中断明けを彩って欲しい。
キーポイント:最近微妙な可変ビルドの強みを押し出せるか。
試合情報
スターティングイレブン
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ハイライト
試合内容・所感
主力の復帰、ウーデゴールの唯一性を再認識
リーグ中断前の悲壮感を経て若干の不安を抱きながらも、カラフィオーリ、ティンバー、サカら出場が危ぶまれた面子が無事スタート。またライスもちゃっかりベンチ入りと、試合前展望で語った内容に反して気付けば続々と主力が戻りつつアーセナル。
対するフォレストは人気銘柄ギブス=ホワイトが打撲によりベンチ外。今季爆発中のポストプレイヤークリスウッドも代表ウィークの影響かベンチから出場を伺うことに。
アーセナルは立ち上がりからまずはセットプレーでフォレストのゴールを脅かす。ティンバーPL初ゴールを記録と思われたシーンはVARで惜しくもオフサイドを取られるも、たまにフォレストが攻め込みロストしてからの戻りが遅く、サカを中心に攻撃陣が躍動する。
10分が経過する頃にようやく静的なビルドアップ局面が見られ始める。フォレストの守備は初期配置4-2-3-1から絞るカラフィオーリ、ティンバーを意識して両SHがふらふらと高い位置を動く4-2-4のような形に。
この陣形に対しボランチ横に上手く位置取ることで前進のスイッチを入れられたのが良かったポイント。ウーデゴールが降り、トロサールがサイドラインめいっぱいに開き、フリーでボールを持つことで時間とスペースに余裕を持ちながらチーム全体が一体となっていた。
特にウーデゴールは本当に上手すぎて最早反則級。相手のマークのテンポをずらすパスセンスはサカの理不尽先制点のアシストにもなったし、そのサカとの距離感もベスト。ウーデゴール不在時サカへのサポート不足が騒がれていたが、5レーン原則に則った丁度良いポジショニングで折り返しと追い越しの選択肢を常に相手へ提示する事でプレスに来にくい状況を作り出すところに知的な部分を感じる。パス&ゴーによる規則的な不規則プレーは最早言うまでもなくブロック攻略において特効薬である。
思ったよりも強くない? トーマスのゴラッソ
序盤はボランチ横をメインにしつつ、後方からボールを配給する際に中央とサイドを使うバランスが良くなっていく中盤戦。インテル戦、ニューカッスル戦あたりの停滞感は最早消え、アウォニイらへのロングボールもサリバが完封し即時2次攻撃へと繋げるさまはここ1,2年の絶好調アーセナルに戻れているような雰囲気を感じさせた。
正直フォレストがあまり強くなかったというのもアーセナル好調の要因だと思われる。基本的にミドルゾーンに構える守備は前に出ていく訳でもすぐに引いて堅牢なブロックを作る訳でもなく、冗長さを感じるものだった。
後方からのビルドアップが安定するにつれ、アーセナルはポケットを取る形からチャンスを量産していく。サカやトロサールが良いコースに撃つも正GKとして好調なセルスがファインセーブ。しかしティンバーやメリーノがサポートの動きを上手くこなし、前に人数をかけどの角度からでも刺せるような形を取っていく。
だが、押せ押せムードも追加点を得られず後半。イエローを貰ったジョルジーニョに代えトーマスを投入。個人的にはナイス判断。今節含め今季はカード基準が緩く、予期せぬ退場を既に2度も経験済み。強度の復活も兼ねて現状のベストなトライアングルをもってリードを広げにかかる。
前半と同様にアーセナルペースで進む後半。後ろ姿は完全にグリーリッシュなのにジョタ・シルバという色々詰め込み過ぎな選手とトロサールがやり合う中、ロングカウンターからサカの落としを受け取ったトーマスがインフロントで高速カーブミドルを放ち、欲しかった追加点をゲットする。
追加点の勢いをそのままに、圧倒的なポゼッションと奪われてからのスムーズな帰陣でフォレストを完封する中、60分に絶好調ウッドが出場。そして彼の交代直後あたりから左のハドソンオドイが中に切り込むようなドリブルからクロスで散発的にだがチャンスを作りにかかられる。しかしウッドの存在感は試合終了まで無く、クロスに対してもボックスへ走りこんでくる人数が足りずそこまで脅威ではなかった。
神童遂にプレミア初ゴール
試合序盤の方でも触れたが、この試合は特に右SBティンバーの立ち位置の妙が全体を通して非常に効いていたように思う。最近の不調アーセナルの一番の原因と言ってもいい選手達のポジショニングの迷いに関して、ティンバーが不必要に動き回るというのが少なからず影響していたと思うが、この試合は右SBとして出場。3バック化によるプレスの誘発・スペースの創出と、ハーフレーンの駆け上がりによるサカ、ウーデゴールの解放をコンスタントに行えていた。
フォレストは2失点を食らいプレスを強めるも、却って後方にスペースが生まれアーセナルの攻撃が加速する終盤戦。殆ど勝ちが確定した80分、ファンからの期待が高まっているヌワネリとスターリングも投入。細かなタッチと奪われない晒し方はウーデゴールを彷彿とさせ、投入直後から多くのビッグクラブが注目しているムリーニョをシザーズ×ダブルタッチで剥がしシュートを放ってみせる。
そして遂に待望の瞬間。素早いリスタートから、本人もゴールが欲しいであろうスターリングの優しいアシストにIHらしいボックス内への飛び込みからヌワネリがプレミア初ゴールを記録する。アーセナル史2番目に若い初得点を決めた割にはあまり喜ばず淡々と噛み締めているヌワネリには最早貫禄すら漂っている。早くも成功が約束されているような気がするヌワネリ、これからも途中出場から結果を残しプレータイムをどんどん増やしていきたい。
個人的MOTM:Martin Ødegaard
活躍した選手が多い試合だったが、ここはA1ながら圧倒的な存在感を残したウーデゴールを選ばざるを得ないだろう。ロドリ不在のシティがまさかの5連敗を喫しているが、アーセナルはやはりウーデゴールが居ないと機能不全に陥るチーム、そして逆にウーデゴールが居れば誇張抜きに全ての選手が生き生きと持ち味を発揮してボールに絡めるチームなのだと思い知らされた。今後はどうにか怪我だけは避けプレーを続けて欲しい。
試合総括・今後の展望
久々に試合を通して気持ちよく攻撃ができ、カラフィオーリとティンバーを途中交代に加えライス、ハヴァーツを完全温存、去就不透明なトーマスの圧巻ミドルにゴールが待ち望まれていた新星ヌワネリのプレミア初得点。両SBやキャプテンの躍動に相変わらずの高精度フィードを披露したラヤ…。良さを語れば枚挙にいとまがない程、手放しで喜べるゲームだったのではないだろうか。
惜しくも優勝を逃したもののそれまでと見違えるようなパフォーマンスを見せていた昨々季、昨季と比べ、今季は早くも優勝を諦めてしまうような低調さを見せていたが、久しぶりに”強くて巧い”アーセナルを見られて本当に嬉しい。アルテタ公式250試合目を3発快勝で締めくくった選手達、本当にお疲れ様。ミッドウィークに戦う、かつてEL劇的敗退の辛酸を舐めさせられたスポルティングもこのままの勢いで撃破したい。