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「"Stay humble, eh?"」vs.ManCity(H)[5-1]【24/25PremierLeague 第24節】


試合前展望・キーポイント

 前節チャンピオンズリーグではリーグフェーズを3位通過という堂々たる結果を残し余裕のストレートインを決め、ヌワネリのゴラッソを筆頭にポジティブ要素の多い良いゲームだった。またプレミアでは10人になりながらも途中出場のカラフィオーリが劇的な決勝点を決め、両コンペティションで良い流れが出来つつある。

 24節、ホームに迎えるのはマンチェスターシティ。近年は完全にカモで苦手意識が強く中々勝ち切れないという印象が強い。それでも昨季は1勝1分の勝ち越し、また今シーズンはエティハドで、世紀の大誤審によってトロサールが前半に退場処分になりながらも、試合終了間際に決められるまで2-1で勝ち越していた。ホームでのシティ戦、今節こそは勝ち切ってリヴァプールにプレッシャーをかけていきたい。

キーポイント:守備的になり過ぎず殴り勝てるか

試合情報

スターティングイレブン

ラヤ&サリバ復帰 シティは新加入マルムシュ先発

ハイライト

試合内容・所感

素早い先制点で精神的優位に立つ

 ラヤとサリバが戻ってきたスターティングメンバー。シティも主力に何人かの怪我が出て同じく厳しい台所事情だが、前節CLジローナ戦でターンオーバーを施した事でシティ戦に照準を合わせられた部分はアルテタのナイス采配。勿論完全無欠の選手層!という訳ではないが、今できる限りのメンバーを揃えられたという点で試合開始前からアーセナルは一枚上手といったところ。

 始まって早々、開始2分にいきなりの先制点。ペップシティになって以来一番不調ともいえる今季のシティの不安を突くように、後方からのビルドアップに前線が連動してプレッシャーをかけたところからキャプテンの1点目。かつてボコられ続けたシティに決して飲み込まれないぞという気概を感じた。

 得点後は両者ボールを持ち互いに遅攻を仕掛ける展開がしばらく続く。今日のウーデゴールはたまにある降り気味な日だったが、意外と悪くは無く、シティのプレス回避に大きく貢献していた。また、スケリーはチームで一番と言っていい程の落ち着きを披露。恐らく誰よりも”マンチェスターシティ”を恐れず自身溢れる持ち運びと守備を見せており非常に頼もしい。

  失点スタートとなったシティの攻撃は至ってシンプル。左CB→ヌネスへの対角フィードによる前進だ。本職ではない右SBヌネスがかなり高い位置を取り、そこにベルナルドやフォーデンが絡んでペナ角からの侵入を試みる形でゴールを目指す。更に時間経過とともにそこからプラスで左へのサイドチェンジも織り交ぜるようになり、ブロックを振られるシーンが増えつつあった。

 得点以降は五分といった内容だったが、その中でも重要なシーンでのラヤのシュートストップにかなり助けられた。シティ初めてのチャンスとなったコーナーはグヴァルディオルに合わせられるもラヤが超反応で防ぎ、前半終わり際のピンチも同様にセービング。ここで決められ前半を折り返していたらずるずると負けた可能性もあっただけに、非常に大事なポイントとなった。

 シティを攻守で圧倒していたという訳ではないものの、1点のリードをそのまま精神的優位に置き換え、互角以上のポゼッション合戦を演じた前半戦に。

遂に新時代?シティとの力関係を大きく見直す時か

 後半立ち上がりは前半と同様、共にボールを持ちながら決定機を伺う格好の中、前述したシティのメインウェポンからここまで完封していたハーランドに決められてしまう。勝った今だからこそ言えるが、エリアに侵入してきたサヴィーニョの反転から逆足のクロスまでの流れが非常にスムーズで上手かった。

 しかしこの試合のアーセナルは本当に得点タイミングが完璧。その僅か数分後にフォーデンの緩いパスをインターセプトしたトーマスのミドルがストーンズにディフレクトし即座にリードを広げ直す。特に後半は世界規模で見てもベストレベルの刈り取りと展開力を見せたトーマス。今季3点目と得点関与力に更なる磨きもかかり、来夏の放出はあり得ないと個人的に思う。

 そしてこの試合ファン投票でMOTMを獲得したスケリーの3点目弾。元々中盤の選手と言うのを生かしたハーフスペースの位置取りから、武器である反転、逆足に持ち替えてのシュート。一連の動きに無駄は無く、しまいには前回対戦時「お前は誰だよ」とハーランドに煽られての座禅ゴールパフォーマンスで意趣返し。トップチームでの初得点がシティ戦というのも含め、最近はいい子ちゃんばかり集まっているアーセナルにまさかのアカデミーから生意気で堂々とした18歳が生えてきてくれて本当に最高。

 2点のリードにイライラのベルナルドはキャプテンマークを巻いてるのにも関わらずトロサールの脚に蹴りを入れる暴れっぷり。逆にこちらのチャレンジは大体ファールを取られ11vs12で戦っていた。

 それでも攻撃の手を一切緩めることなく、ごたつきがちだったロングカウンターから遂にハヴァーツにゴールが生まれ4点目をゲット。前半はほぼオルテガとの1vs1を外したり、仮にもCFとしての出場なのに先制点ではウーデゴールにパスしたりと、今冬でのストライカー獲得の必要性を更に感じるようなシーンは少なくなかったが、結局は皆で点を取れればいいのだ。

 そしてそして最後は17歳ヌワネリ。ラスト10分の出場ながら、またもサカクラスの超絶ゴラッソで5点目を決め完全に勝負あり。前回得点時にサカの控えが見つかったと思ったが、今回でそれは確信に変わった。少なくともシュートセンスで言えば既にサカと同等レベルにあると思う。

個人的MOTM:Thomas Partey

 前述のラヤやスケリー、それとハーランドを完全に黙らせたガブリエルらと非常に迷ったが、驚異のフィルタ力でカウンターの起点になり、流れをシティに持ってかれそうになった同点弾の直後に再度リードを広げるミドルを決め、総じて試合をアーセナルペースに引き込む貢献度が最も高いと感じたトーマスをMOTMに選んだ。アンカーなら間違いクオリティのトーマスを右SBに置かなくてもいいようバックス陣は怪我に細心の注意を払っていただきたい。

試合総括・今後の展望

 いや~、まったくもって想像していない結果になった。今季不調とはいえ、まさかあのシティ相手に5点も決めて大勝を挙げる事になるとは。数年前の自分に言っても絶対に信じないだろう。

 スミスロウやエンケティアらを放出し、アーセナルらしさともいえる若手成分が薄まって寂しさを感じていたが、代わりにヌワネリやスケリーというとんでもない逸材が台頭し、シティ戦という大一番で揃って得点を決めるというあまりに出来すぎたストーリー。この試合ではここが特に嬉しかった。

 個人的にはロストが多く未だフルコンディションに戻っていなそうなウーデゴールと、結果得点は決めたものの決定力がかなり落ちているハヴァーツが心配。でもどうせウーデゴールは復調してくれるし、そもそもハヴァーツはIHとしての獲得で最近は明らかなタスク過多。しかもサカ抜きでこの結果というのを考えると、来夏大型CFさえ獲得すれば限りなく完璧に近づくだろう。今節は非常にポジティブ要素が多く、新たな時代の幕開けをも感じさせる、ここ数年単位で見てもベストゲーム候補に挙げられる程の最高な試合だった。

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