日本代表マッチレビュー/vsCosta Rica(W杯Qatar2022/GS第2節)
※飲みながら観戦・執筆したので内容が拙い箇所があります…どうかご容赦を…。
ドイツ戦での歴史的な勝利を受け、日本国民が大きな期待感を抱き迎えたGS第2節コスタリカ戦。ここも勝利を収め同日開催のスペインvsドイツの結果と合わせて、最終節を残し決勝トーナメント進出を確定させられるかどうかに注目が集まる。
スターティングメンバー
日本代表のスターティングメンバーは以下の通り。
前節ドイツ戦からは5人のスタメン変更を施しターンオーバーをすることに。ドイツ戦で決勝ゴールを決めた堂安や怪我から復帰した守田などが頭から出場、一方全体練習に参加していなかった酒井、冨安や攻撃面で輝いていた三笘らはベンチから出場機会を伺うことに。
対するコスタリカ代表のスターティングメンバーは以下の通り。
コスタリカは特徴である堅守を支える守護神ナバス、またチームの核を担うテヘダ、キャンベルといった選手が順当にスタメン選出。DFが5人という事で442ではなく541フォーメーションで挑んてくることが予想される。
試合展開(前半)
堅守を誇る北中米の国コスタリカは戦前の予想通り5-4-1フォーメーションをもってして日本の攻撃を正面から受け止める算段で試合に臨んだ。また、攻撃時には17番テヘダがアンカーポジションに入る4-1-4-1の形で出来るだけ保持の時間を長く保とうとする意図が見えた。
ただコスタリカ代表は元々自陣深めに引いたところからロングカウンター一発で得点をもぎ取る形が得意なチーム。有名どころで例えるならばトッテナムホットスパーと似ているとでもいうだろうか。ビルドアップで多彩な選択肢をもって敵陣に侵入していくことを志向しているチームではないため、あまり上手く組み立てていけなかった印象。
ただそんな守備ブロックにも少々気になった点が。コスタリカが5-4-1ブロックを形成する上で一番の狙いとして定めたポイントはスピード溢れる日本のアタッカー陣に対して5人で5レーンをそれぞれ潰すというものであったのだろうが、正直形だけ感は否めなかった。そのため日本にとってはライン間で主に鎌田、プラスで内に絞った堂安やヘルプに入った守田といった選手と共に連携で攻略できるかどうか、ここがコスタリカの壁を超えるうえで日本の試合序盤の、ひいては試合を通してのポイントとなっていたように思う。
また、コスタリカのワントップはアンカーポジションを取る遠藤を背中で消すようなタスクを課されているわけでもなさそうな感じ。よって日本の最終ライン+遠藤はここで落ち着いてボールを持ちプレーエリアを前へ進めたいところであったが、長い球を中心に五分のボールからセカンドを拾い前進を狙う日本。置かれた状況となんとも整合性がないような選択を選んでいった印象であった。
ただ闇雲にロングフィードでチャンスを作ろうとしていたわけではない日本。試合が進むにつれて両SB、特に長友が前線へ上がって前に6枚が並ぶような形を形成し左右どちらかのサイドで簡易的なオーバーロードを行い数的優位を確立していく形が見られたのは良かった。
こうしてなんとか攻め手を見つけようとした日本であったが、アタッキングサードではあまり再現性のないワンツーやトリッキーなプレーで密集地帯を打開しようともがいていた。当然高い確率で失敗に終わるので、アシストに繋がるプリアシストパスの段階で躓きボールを持ってもゴールの匂いがせずロストを繰り返す歯がゆい展開に。
それに呼応するように徐々にコスタリカがボールを持つ時間が増えてきたのが前半20分頃。だが日本も同様にディフェンシブサードでは仕事をさせないといった割とお固めな攻守の入れ替わりが見られた。
こうして両者ともに決定的な仕事が出来ず時間だけが経過していった前半。特に日本はポゼッション率に対してシュート数が圧倒的に少ないといったデータが攻撃面での停滞を物語っていた。
雑感としては日本7:コスタリカ3程度の割合でお互いボールを保持し攻撃を組み立てるも前者は遅攻がハマらず後者は縦に早くつけようとしてひっかかるなど芳しくない結果に。
もっと雑に総評するならば、仮に中立ファンの視点からこの試合を見るとはっきり言って塩試合、そういった前半の総括なのは試合を見ていた日本代表ファンのほとんども感じていたのではないだろうか。
また交代策を施すにしてもブロック攻略に対して背後を狙う動きによって最終ラインを押し下げライン間を広げてあげるのか、それとも狭いスペースで受けられる選手を集めてコンビネーションで突破するのか、いずれにしても明確な攻略方針を提示してあげないと選手の意向がバラバラなままのテコ入れ必須なハーフタイムであった。
試合展開(後半)
試合後半から森保監督は長友、上田に代わって伊藤、浅野をそのまま当てはめる形で投入。
どんなチームも前後半の入りは試合に入り込むまで時間を要するもの。浮ついたコスタリカの入りを上手く突く形で、前半とは打って変わり連続してシュートシーンを演出していく日本であった。
ただ時間と共に押せ押せムードは鳴りを潜め前半の大局を占めた展開とそう違わない内容に。ブロック攻略にてこずる日本になんとも煮え切らない思いで観戦するのもまた同様であった。
だがそれでもファンが諦めなかったのは、前節行った交代カードがまだ温存されていたからに他ならない。停滞した攻撃局面において、大外でのシンプルなアイソレーションからチャンスを作り出せる貴重な三笘の投入で攻撃の活性化を図ることに。
またこの交代に伴って右WB相馬左WB三笘の3-4-3(鎌田が中央に位置する際は3-4-1-2)へとシフトチェンジ。3バックへの移行で前節と同様の効果を期待する森安監督の思考が垣間見えた。
それでも依然得点に届かない日本。そして最悪のシナリオが現実となってしまう。
ここまでコスタリカ相手に決定的な仕事をさせてこなかった日本だったが、日本のクリアボールを回収したところからショートカウンター発動、最後はフラーがコントロールシュートを放ち、ボールは権田のわずか上を抜けネットに吸い込まれていった。
コスタリカは前節スペイン相手に大敗を喫しており、GS突破を目指すにはグループEで一番与しやすい日本に勝たなければならない状況なのにもかかわらず前からプレスに来る意識を後半になっても見せてこなかった。そのためこういった形の失点は本当にもったいない。コスタリカにとって理想ともいえる形(終始引きこもりつつどこかで1点を何とか奪う)が起こってしまったことはとても悔やまれる。吉田の雑なクリア、伊藤のオフサイドトラップミス含め偶発的な事故ともいえるわずかなチャンスをものにされてしまったうえでの得点だったことなど、運のなさと日本のふがいなさに腹が立つ先制点となってしまった。
焦って得点を狙いに行く日本であったが、ここまで攻撃で良いシーンを作れていないのだから停滞するのも当然である。途中交代の南野含め鎌田浅野らが渋滞した中央エリアからはチャンスを作れず、大外の伊東三笘レーンも個人技から散発的なチャンスを作るだけに留まり、試合はそのまま無念のクローズとなった。
さいごに
「伊東のポジショニングミスと不可解な三笘へのパス供給不足」、「権田のセービングにおける判断ミス」、「相馬や鎌田の攻撃面での存在感の無さ」etc…。こういった戦犯探しが活発に行われてしまうのは負けた試合特有のものであり決してそういった意見を否定しようとは思わない。
ただ個人的には、「引いて守るチームに対して起こせるアクションの少なさ」という散々言われてきた日本の課題点、いわば選手個々人のミスというミクロな問題ではなくチーム全体に落とし込む必要のある戦術・戦略単位のマクロな問題が浮き彫りとなってしまった試合だったのではないかと言いたい。具体的には選手間で攻撃の展望が共有できずブロック攻略に対して安直な横・バックパスに逃げ、ちぐはぐな連携での偶の前進という再現性のないビルドアップが敗因だったのではないだろうか。
圧倒的格上ドイツに勝利しもはやコスタリカに勝つことが当たり前・順当だという考え方になってしまった人も多いだろう。しかしそんな甘い考えでは足元をすくわれてしまうのは今大会すでに何度も行われたジャイアントキリングを見れば明白、そんな簡単にいかないというのがワールドカップである。というかそもそもコスタリカを格下とみていた世論にも正直疑問を投げかけたい。
大勝利の後の敗北という事で大きく落胆した人も私を含めてたくさんいるだろう。ただ過ぎた話をいつまでも引きずってはいられない。残るスペイン戦に引き分け以上の結果を残し、あとは同組チーム同士の対戦結果が日本にとって有利になることを祈るしかない。そして気持ちをすぐ切り替えて選手には最終戦に臨んで欲しい。