「新エースとマルティネッリの復活」vs.Southampton[3-1]【24/25PremierLeague 第7節】
試合前展望・キーポイント
開幕の過密×強敵との日程を良い成績で潜り抜け、メリーノや冨安の復帰とチーム状況は上向きのはずだが、最終ラインの怪我人状況がどうも芳しくなくじわじわと人が増えては減っている状況。スタメン級だけでも、昨季痛みを抱えながら絶対的主力として駆け抜けたホワイトに加え新たにティンバーが負傷離脱、よって今節は久々の右SBトーマス、また左WGにはスターリングを起用することに。
単なるターンオーバーというよりかはどこか消極的理由による選手マネジメントのような気もするが、セインツの新守護神ラムズデールの胸を借りる気持ちでホームで安定した勝利を収めたい。
キーポイント:スターリングが結果を残し攻撃オプションとして信頼を勝ち取れるか。
試合情報
スターティングイレブン
ハイライト
試合内容・所感
やはり奮わないトーマス右SB起用
スタメンの選出において少々の不安を残したまま始まったこの試合。残念ながらこの不安は予想通りで、特にビルドアップの局面で機能不全に陥るシーンが多かった。
まずトーマスの右SB起用に関して。失点シーンで少し前に出払い過ぎていたという点はあるものの、一番気になったのが保持面でのポジショニングでサカを追い越す動きが足りなかったという部分が目に付いた。
特に前半はウーデゴール不在のディスアドバンテージを跳ねのけてしまう程にサカのドリブル起点の攻撃がアーセナルのメインプランで、単独で切り返したりジョルジーニョのワンタッチパスを絡めて深い位置を取ったところからシュートチャンスは作れていた。
ただそこにトーマスがオーバーラップ、高い位置でコンビネーションに関与することが出来ず、あと一歩決め手に欠ける印象が否めなかった。ジョルジーニョがいれば事足りるバイタルエリアに位置取る時間が多く、結果中央でラストパスの受け手となって欲しいハヴァーツがサポートに流れてきてしまう悪循環となっていた。
トーマス持ち前の配給力やプレス耐性、ハンティング力自体が直接的に低調だったわけではないのがせめてもの救いだが、ティンバー、冨安、ホワイトらがフルコンディションでないならば右SBカラフィオーリ×左SBスケリーは個人的には悪くないと思う。
貢献度で見劣る元シティの2人
本職ポジションではない右SBにコンバートされたトーマスよりもっと深刻だと思われるのが、この試合共に今季プレミアで初先発となったジェズスとスターリングのパフォーマンス。やる気は感じられるのだが、どうもチーム全体で見た時に噛み合ってない印象が強かった。
前半は押し込む時間帯が殆どで、彼らのヌルヌルとした持ち運び自体がダメだったというわけではない。ただそもそも足元で受けたがりな2人がお互いにポジションを食い潰す場面が散見され、失点の起点となったスターリングのロストを筆頭に球離れの悪さにうなだれる事が多かった。2人には申し訳ないが、60分にマルティネッリ、トロサールらいつメンが入ってからの安心感よ。
ちなみに同じく今季初先発となったジョルジーニョはいつも通りの保持における安定感と攻撃テンポを一気に加速させられるパサー能力を発揮し、自分に出来る事を良くやってくれていた。
セインツの新星、マルティネッリ遂に復活!
前述の通りサカを中心に立ち上がり好き放題やられていたセインツはすぐさま5-4-1守備へ移行、前プレスを弱める代わりにサイドへ2枚付き、深い位置を取られてからもカバー役の右/左CBが対応する形を選択。アーセナルのハイプレスに圧殺される時間も多かったが、試合前後でエミレーツのサポーターから大きな拍手が送られた新守護神ラムズデールがファインセーブから足元の技術を活かしたミドルレンジパスで強引につけて見せるシーンにはグーナーとして胸が熱くなるものがあった。
個々人のパフォーマンスについて触れると、敵ながらあっぱれと思ったのが18歳右WGのディブリングだ。ドリブルはパワーとスピードを高水準で併せ持ちつつ中外どちらも突破できる技術まで兼ね備えており、裏ケアがたまに甘いカラフィオーリを出し抜き決定機を何度か作っていた。また同じく低調セインツ内でも高パフォーマンスだった右SB菅原は、蹴っ飛ばしてしまう事の多いバックスの中でギリギリまでマークを引き付けてからのパスや動き直しで目立っていた。
他にも2m超えオヌアチュにサリバ・ガブリエルがそれぞれ当たり負けしたシーンにはいくらか冷や汗をかかされたりもしたが、その分こちらの新戦力も輝きを放つ。カラフィオーリはチーム最年少とは思えない余裕と適切な前衛守備を見せ、試合を追うごとにポジショニング精度も向上しており本当に心強い存在になっているし、メリーノは保持/非保持共にそつなくこなしIHとして既にスタメンレベルでやれることを証明した。
セインツが大の苦手というアーセナル、実際圧倒的に押し込みながらもカウンターで一突きされたが、今のアーセナルは失点しても絶対に逆転できるという安心感がある。
個人的にはマルティネッリがかつての輝きを取り戻しつつあることが嬉しい。低調スターリングに代わった事でより際立って見え、逆転弾のシーンは彼のゴールへダイレクトに向かうアグレッシブさとギリギリで間に合うスプリント力、得点への嗅覚が遺憾なく発揮されたシーンだろう。サカとマルティネッリが躍動するアーセナルが見ていて一番楽しい。
個人的MOTM:Bukayo Saka
失点直後にチームを救うイコライザーを決めて見せ名実共にエースストライカーと成ったハヴァーツと非常に迷うところであったが、G1A2と爆発的な得点関与力を見せたサカがMOTMだろう。この試合で今季既にG2A7と第7節にして早くも10G/Aに手がかかりつつあり、後半のボックス内無限切り返しでセインツのDF達を手玉に取っていたようにコンディションも良さそうに見える。ハヴァーツと共にウーデゴール不在のアーセナルを引っ張っていって欲しい。
試合総括・今後の展望
試合終盤には遂に戻ってきた冨安のクローザー起用もありつつ、ホームで手堅いとは言えないまでも追い付くべくして追い付き勝ち点3ptを積み上げた今節。毎節のように触れている気がするがこれでウーデゴール抜きとは…。まさに不幸中の幸い、キャプテンの不在という逆境が選手達になんとしても点を決めなければならないという勝利への執念を増長させている気がする。
次節は一週間後にアウェイのボーンマス戦。このセインツ戦もそうだったが、序盤の鬼組み合わせを無敗で潜り抜けた今のアーセナルならそう難しい相手ではないだろう。新エースハヴァーツを筆頭に圧倒的火力で捻じ伏せる試合を演じてくれるに違いない。それと個人的には次節こそスタメンないし早い時間帯からヌワネリを見てみたい。