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「止まらない主力の離脱」vs.Liverpool(H)[2-2]【24/25PremierLeague 第9節】


試合前展望・キーポイント

 ここ最近はずっと主力に複数の怪我人が相次ぎ、また3度の退場処分も相まって思うようにメンバーが揃わない厳しい台所事情。それでもアウェイのスパーズやシティ戦含め上手く切り抜けてきたように思う。

 今節はサリバがサスペンションで出場停止、その他カラフィオーリやウーデゴール等も怪我離脱中。いわずもがな万全な状態ではないが、細い勝ち筋を掴み取り連勝街道に戻って欲しい。

キーポイント:サカ、ティンバー復帰で火力アップなるか

試合情報

スターティングイレブン

サカ、ティンバー復帰 メリーノ加入の大きさを再実感

ハイライト

試合内容・所感

”チーム「サカ」”と新旧併せ持つリバプール

 トレーニング風景に写っておらず出場が厳しいと目されていたサカ、ティンバーは無事復帰。毎度のことながら徹底されたアルテタの情報戦である。

 立ち上がりは五分、主導権を奪い合う入り。スロットリバプールの守備戦術はマクアリスターがフラーフェンベルフと横並びになり、カーティスがヌニェスと並んでファーストプレスを受け持つ4-2-4の形。両CBやラヤがボールを持ってもあまり息つく暇もない圧の高さだが、逆に言えばWG裏のCH脇が狙い目。

 ここを上手く有効活用できたのが両SB、特にティンバーである。敢えてボランチ化せず横幅目一杯開くことでプレスを回避し、マルティネッリやライスがアーノルドを引っ張ってラインを上げてくれるためサイドラインでのドリブルスペースを創出していた。

 右サイドは戻ってきたサカが流石のクオリティ。大外でボールを持ってから縦横どちらにも切り込んでいける選択肢の広さがシンプルながら強力な攻撃に。9分、久々に右CBに入ったホワイトからの超絶ピンポイントフィードにサカが抜け出し、対面のロバートソンをカットインでスマートに置き去り強烈なニア打ち抜きで先制に成功する。SBで良く見せる高精度サイドチェンジ、その足元の技術を遺憾なく発揮したホワイトもお見事。現代フットボールの価値観を真っ向からぶち壊しに行く理不尽ゴールは単純に見ていて面白い。

 だがそう簡単にいかないのがリバプール戦。意図的にロングボールを使いこちらのリトリートが完了する前に素早く攻め切るスタイルは健在。また押し込んでからはアーノルドがペナルティ角付近をうろつき、高精度クロスをよりゴールに近い位置で放り込む準備に取り掛かる。僅か9分後にはCKからダイクに決められ試合はすぐ振り出しに戻されることに。

メリーノ、移籍後初ゴール!

 共に得点を奪ってからはアーセナルがペースを掴む。押し込んでからのアイディア力に欠けるシーンもありつつ、逆に低い位置で引き付けてから一気にひっくり返す、まるでリバプールのお株を奪うかのような攻撃。

 保持で良かったと思うのはトロサール。ハヴァーツやメリーノなどどちらかというと高い位置でのボール関与に定評のある選手とのバランスを考慮してかいつもより低い位置でのビルドアップ参加が多かった。囲まれながらも散らし少ないタッチで前進のスイッチを入れることで、前方にスペースと時間を与える働きが素晴らしかった。

 攻める時間が増えるにつれセットプレーの試行回数も稼いでいく。一度合わなかったFKから上手くチューニングし直したメリーノが、ライスのフィードにファーで合わせ再びリードを奪う。ガブリエル、ハヴァーツらを筆頭に、新戦力カラフィオーリやメリーノまでもセットプレーに加わったのは本当に大きい。オープン/セットプレー問わずクロスに合わせるこの形でのゴールをメリーノには量産していって欲しい。

相次ぐ主力の離脱と逃げ切れない実力

 前半終了間際にリードを再確立し良い雰囲気で入れた後半。しかし立ち上がりヌニェスとの接触によって左ひざを痛めたガブリエルが一度はプレー再開するも再び倒れこみ戦線を離脱、このあたりからリバプールも徐々にギアを上げていき、続くティンバーの痙攣?による選手交代も相まって厳しい時間帯へと突入していく。バックラインの補強を徹底してきた筈なのに、気付けばトーマス-ホワイト-キヴィオル-スケリーという今後見る事のなさそうなあまりに急造過ぎる陣営に。

 約30%という後半のポゼッション率が物語るように、定期的にチャンスは作りながらもハイプレスを諦め早々に4-4-2リトリートで耐える終盤戦。難所でリードしながらも相次ぐ主力の離脱に苦しめられる中、心の支えとなってくれたのはトーマス。対面のディアスと1vs1になっても殆ど何もさせず守備は強固、時にファールを上手く貰ってリバプールの攻勢を一人でいなしきるクレバーさも見せ凌ぎ続ける。

 だが最後の最後までリバプールの攻撃を受け止めきる事は出来ず、終盤カウンターからアーセナル戦大得意のサラーに同点弾を決められ試合終了。厳しすぎる台所事情の中、負けはしなかったものの勝てなかったという印象を根強く感じさせるゲームになってしまった。

個人的MOTM:Bukayo Saka

 やはりサカは凄い、本当に凄い。オンザボールのクオリティが高すぎて単独で戦局を変えることが出来てしまう。右サイドの攻撃はサカのキープ力と左足の技術で成り立っていたようなもので、こと攻撃においてはどこまでいっても”チーム「サカ」”なんだなと感じさせた試合だった。

試合総括・今後の展望

 メリーノ初ゴールを筆頭に互角以上の戦いを演出出来た前半戦だっただけに、更なる主力の怪我離脱が大きく影響し、昨日のシティ戦の焼き直しかのように勝ち切れなかった悔しさは大きい。そして今節もまた疑惑の判定だらけで、ハヴァーツの幻の3点目やマルティネッリのPK獲得が取り消されたのも含めやりきれない思いが強く残る。

 目下一番マズいのはやはりボロボロすぎるバックラインだろうか。サスペンション明けのサリバは居るものの、カラフィオーリ・冨安・ティアニーが離脱中、ガブリエル・ティンバーが今節交代と目も当てられない悲惨さ。個人的にスタメンに値すると思っているのが6人で、その内次節確実に出れるのがサリバとホワイトだけ、しかもホワイトは昨季痛みを抱えながら強行出場していたというのだから更に酷い状況になることも十分に考えられる。

 とお先真っ暗感が凄まじいが、これだけの主力離脱にシーズン序盤からビッグ6との連戦を消化して順位はまだ3位と、意外と悪くない位置につけているのもまた事実。まだ始まったばかり、なんていうのは取りこぼしを極力減らし優勝を目指すうえであまり言いたくのない言葉だが、上手く切り替え腐らずにまた目の前の試合に臨んでいって欲しい。

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