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【アーセナル】PremierLeague/第31節/vsWest Ham(A)【ごとこの備忘録】

試合前展望

 激戦のアウェイリバプール戦から約1週間。欧州カップ戦が残っていないアーセナルはPL第31節にてウェストハムと戦う。

 対するウェストハムはまさしくECLにて快進撃を続けているといった現状。つまり疲労の蓄積具合では一日の長があるのがアーセナルだ。

 そんなアーセナルは依然サリバの長期離脱が続いているもののエンケティアが復帰、セレクションに含まれる予定であり、残り8試合の決勝戦に向けて弾みが付いている状態。シティとの直接対決に望みを繋ぐためにも絶対に取りこぼしてはいけない試合である。

試合結果

WHU 2-2 ARS
WHU:ベンラーマ 33'(PK) ボーウェン 54'(Aケーラー)
ARS:ジェズス 7'(Aホワイト) ウーデゴール 10'(Aマルティネッリ)
PL公式MOTM:ウーデゴール

https://www.premierleague.com/match/75219

スターティングメンバー

左ウェストハム、右アーセナル

試合展開

 アーセナルはリバプール戦で負ったとされる軽度な鼠径部の痛みを受けてジンチェンコが欠場、昨年末のホームウェストハム戦以来となるティアニーのスタートとなった。他は引き続きホールディングがサリバの穴を埋める形に。怪我人が戻り充実している前線に対し層が薄くなっていくバックラインが少々心配ではある。

 試合は堅守速攻を謳うモイーズウェストハムが思っていたよりも前からプレスをかけに来る立ち上がり。ソウチェクが前へ&パケタが後ろへ吸収され4-1-4-1を形成しミドルサードに人員を並べる形を取り、数と運動量でピッチ中央に防波堤を築いてきた。

 ここに対しアーセナルはバックラインの持ち上がりを駆使し乱れを生み出しに行くことに成功。トーマスも後ろ重心でビルドアップをサポートし、ホワイトやホールディングと合わせて数的優位とトライアングルをサイドで作ることを意識していたように思う。

 加えて第一プレス隊を突破してからはウーデゴールとジェズスの働きがピカイチ。ウーデゴールは卓越したパスセンスと足元の技術を披露し、ジェズスはふらふらと中盤に降りてきては周りの選手を生かしつつ前進に貢献。特に左サイドへ流れてジャカと中/外を使い分けるポジショニングを取るのはかなり効果的で、簡単にプレスを無力化するシーンが前半は多かった。

 このようにウェストハムの勢いを戦術/個人スキルの両面でいなし圧倒するアーセナル。その流れの中で、試合開始10分で2得点を早々に挙げることに成功する。

7' サカが押し込みトーマスへバック、シュートモーションを挟みウーデゴールに預けラインブレイクしたホワイトへのパスを見たジェズスがファーへと走り込み流し込むシュート、アーセナル先制

10' ティアニーがミドルシュートのフェイクを挟みマルティネッリへ、ファーへ巻いて落とすパスに右のウーデゴールが左足で上手く合わせゴール、アーセナル2点目

 開始直後こそ堅牢に思えたウェストハムの守備だったが、バックからスピーディな組み立てを始めアタッキングサードに押し込んでからの豊富なアイディアで見事複数得点を決めた。この得点を受けホワイトは直近5試合G2A3というSBとは思えない記録を達成。ガブリエルもアントニオを完封し続け試合は楽勝ムードに思えた。

 しかし突如として失点を喫してしまう。

33' 低い位置でのトーマスのミスをライスがかっさらい、パスを受けたベンラーマにたまらずガブリエルが足をかけPK献上からゴール、ウェストハム1点目

 前節に続き危険なスコア2-0から1点を返される展開。ここから息を吹き返した会場の雰囲気はホーム色一色になっていった。

 また印象的な活躍を見せた選手がいる一方で少し微妙なパフォーマンスだった選手も何人か居た。ラマダン中のトーマスは失点に直結したミスを契機にいつもの制圧力と配給力が時間と共に低迷していき、ホールディングも保持時こそ及第点だったものの、流れてきたアントニオや走りこんでくるベンラーマ、クレスウェルに対し対人戦で後れを取ることに。PK献上すれすれのスラインディングファールからイエロー提示がその最たる例だろう。

 またティアニーの偽SBロールも賛否両論集まるところだろう。中盤へ組み込まれることで通常より頭に負荷がかかってプレーにキレがなくなり、ロスト後の守備開始位置が異なるため必要以上に運動量が求められ試合後半には足を攣るシーンも見られた。結果的に武器である香車の動きも散発的と、怪我人問題とアーセナルの現システムの板挟みに苦しめられたような印象があった。

 こういったアーセナルサイドの課題による劣勢は後半も継続して続くことに。顕著だったのが50分に獲得したPKの失敗だろう。コーナーからアントニオが不可避のハンドを犯してPK献上、逆襲の狼煙になるかと思われたがサカがゴール左方向へ放ったシュートは僅かに反れてノーゴール。ホームサポの歓声が増すことは最早明白であった。

 そしてその流れから懸念していた同点弾を決められてしまう最悪の結果を招くことに。

54' ウェストハムのセットプレーを一度跳ね返すも、ケーラーの放り込んだボールにボーウェンが抜け出し面で合わせウェストハム同点

 取るべくして取られた得点。ホーム押せ押せムードの中攻守両面でチームの歯車が上手くかみ合わずちぐはぐなプレーを続け、前節リバプール戦の試合展開を奇しくも踏襲してしまうことになってしまった。

 その後は65分にジェズスとパフォーマンスの奮わなかったトーマスを下げトロサールとジョルジーニョを、85分にマルティネッリと足を攣っていたティアニーに代わりネルソンとヴィエイラを、90分にウーデゴールとバトンタッチして怪我から復帰したエンケティアがそれぞれピッチに送り込まれた。

 ここの交代選手達は軒並み好パフォーマンスを発揮。特にトロサールとジョルジーニョ、ネルソンは敗戦色が漂うチームに喝を入れるようなプレーで違いを見せた。ただヴィエイラやエンケティアは正直微妙。加えてスミスロウはインテンシティの高い試合にジャカの代わりとして投入出来ないといった現コンディション面での課題も浮き彫りになった。

 対するウェストハムも交代を挟み総力戦。試合終了間際まで互いにチャンスを作り合うオープンな展開で心身両面で大きな負荷がかかる様相を呈していった。が、結局スコアはそのまま推移。優勝に向けてあまりに痛すぎるドローとなった。

ピックアップ選手

 ウーデゴールやガブリエル、マルティネッリ等良い選手もいたが痛恨ドローという事で無し。

全体雑感・次戦に向けて

 久しぶりにメンタル的にかなりくる試合となってしまった。一試合消化数が少なく勝ち点3pt差と肉薄して生きているシティに差を詰められないよう勝ちが必須な試合だっただけに、前節と同様に複数得点でリードしながらも追いつかれてしまった結果はとても受け入れられるものではない。

 まだ7試合も残っており、シティとの直接対決で叩けばいいという意見も大いにわかる。しかしだからこそ、最終的に勝ち点1ptに泣かされるような熾烈な優勝争いというレースに参加している以上、この痛恨ドローが大きく響いてしまうことが往々にしてある事もまた事実なのである。

 しつこいようだが試合序盤こそ良かったものの2-0から追いつかれた前節リバプール戦の反省点を生かせず不甲斐ないドローを喫してしまった今節。兎にも角にも選手達は気持ちを入れ替え、二度とこういった情けないパフォーマンスをしないよう気合を入れ直してほしい。夢のPL優勝への道はまだ潰えていない。

 

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