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「正解はメリーノCF起用」vs.Leicester(A)[0-2]【24/25PremierLeague 第25節】
試合前展望・キーポイント
CLのリーグフェーズを3位で通過、プレミアでは前回対戦時にあの名言で煽られたシティを相手に5発大勝で完璧に叩きのめし、直近のカラバオこそニューカッスル相手にアグリゲート0-4と不甲斐ないで負け敗退したものの、悪くない雰囲気で昨季シーズン後半僅か1敗という快進撃を作り出すきっかけとなったドバイキャンプへと赴いたアーセナル一行。
一昨年から続く優勝争いを今年こそはとファンベースでは期待が大きく高まったドバイキャンプだが、練習中にマルティネッリが3月中旬〜下旬まで離脱が見込まれる怪我を負い、極めつけは今チームで一番欠かせないと言ってもいいハヴァーツのハム断裂による今季絶望の一報が届いた。
これで前線は最近復調気味ではありつつも今季はその得点関与力に若干の陰りを見せるトロサール、まだプレミアの強度に完全に適応出来ているという訳ではなくこの間も試合後違和感を感じ離脱していたヌワネリ、そして全盛期と比べると正直擁護のしようもない程にパフォーマンスの落ちているスターリングの3枚のみというあまりに悲惨すぎる状況に。
メリーノ偽9番やスケリー右WGコンバート、遂に戻ってきたホワイトを交えた3バックへのフォーメーションチェンジ等多くの解決策が飛び交っていたが、スタメンを見ると保守的なアルテタ。やはり先に挙げた3人をそのまま起用することに。
ただでさえ今季は大誤審のオンパレードで退場を3度も経験し、主力に複数の怪我人が出続け前線の得点率も落ちているなど逆風が吹きっぱなし。そこに追い打ちをかける前線メンバーの枯渇というあまりに痛すぎるアクシデント。アルテタ、アーセナルはこの危機的状況をどう乗り越え首位リバプールの背を追うのか。最早萎えの気持ちが一周まわって怖いもの見たさの好奇心が勝っているような気さえしているが、まずは目の前のレスターをどうにかして打ち砕き3月まで望みを繋げたい。
キーポイント:前線3枚が得点に絡み、90分間ハイプレスを続けられるか。
試合情報
スターティングイレブン
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ハイライト
(アップ待ち)
試合内容・所感
基本形はそのままで色が変わるCFとターゲット
試合前展望で触れたように、保守的なアルテタはまあそうだよなというような現状で一番安牌な11人をスターティングメンバーに選出。個人的にはメリーノのフォルスナインかティアニー左WG起用なんかは悪くない選択肢かなと思ったが。
フォーメーションや攻守におけるタスクは基本的にいつもと同じもの。ヌワネリとスターリングは大外に張って対面のSBとの1vs1に集中、スケリーとトーマスが中盤で積極的にボールに触れてタクトを振るい、ラヤ・ガブリエル・サリバで後ろからショートパスで組み立てるのを徹底。
いつものメンバーじゃないのもあって定期的にショートカウンターを受けヒヤっとする場面もありはしたが、試合前に感じていた不安と比べ意外とよくやれてるなという印象。
いつもと異なる点で言えばCF起用のトロサールがハヴァーツより降り気味でミドルサードでレイオフする頻度が高かったこと。そしてWGがクロスを入れる体勢に入るとライスが普段より果敢に最前線へ飛び出す。前者に関しては戦術云々というよりはトロサールという選手単体としての特性が関係しそうではあるが、後者はアルテタからそういった指示を事前に受けていた可能性も高い。ハヴァーツ不在、メリーノもベンチで前線3枚は全体的に身長が低めとなると、ライスがターゲットになるのはある意味必然。
オフサイド回数多すぎ問題とずっと不甲斐ないスターリング
普段のフォーメーションに選手の台所事情を加味してのマイナーアレンジまでは良かったが、いつもよりオフサイドの回数が多すぎるのにかなりフラストレーションが溜まった。
アルテタは守備の構築に関しては世界で見てもトップクラスに上手い監督だと思う。エメリ解任後ボロボロのアーセナルに来てから失点数を激減させ、移籍市場で取ってくる選手も多くがDFというところにも守備戦術の徹底へのこだわりが見える。
対して攻撃に関してはサカの破壊力やウーデゴールの創造性が頼りで基本的に細かい動きは仕込まない。特に押し込んでからは選手同士の一瞬の煌めきというか連携力に託している節が強い。まあそれはそれでヴェンゲルアーセナルっぽいロマンを感じ見ていて楽しいものではあるのだが、今回のようなメンバーが大きく変わってしまう事態が起きた時にどうしても連携不足が目立ち、結果として前半だけでオフサイド4回というスタッツに表れたのかなと思う。
あとシンプルにスターリングが不甲斐なさすぎる。多少なりとも皆ちぐはぐなのは仕方ないが、スターリングはその中でもオフサイド回数は高いし簡単に当たり負けする。とりあえずファールが貰えると思ってすぐ倒れるのをやめて欲しい。クロスも低いから手前でカットされやすいしそこから後半1の大ピンチを招いた。70分にメリーノと変わるまではっきり言っていい所無しだった。
ライスとヌワネリで持った試合?やっぱ刺さったCFメリーノ
後半途中から遂に投入されたCFメリーノ。いきなりウーデゴールのスルーパスに飛び出しファーで合わせるも僅かに足が届かないシーンがありやはり悪くないなと。
試合を通して良かった選手で言うとライスとヌワネリかな。ライスは攻守に永遠に奔走し、ライス以外誰もできないような瀬戸際のパスカットを連発。攻撃陣では怖さを見せていたのはヌワネリくらいで、左足のシュート・パスは勿論のこと、一度逆足でポスト直撃弾を放っていた。もうそれは本当にサカなんよ。彼ら2人で持っていた時間帯も多くまさに替えが効かない選手だった。
で、やっぱり刺さったメリーノ。まさかまさかまさかの2ゴール。1点目はヌワネリのクロスに対してDFから一瞬距離を置く準備が良く、2点目はシンプルにファーに走りこむタイミングと距離感が丁度良く、ショートバウンドのグラウンダークロスへの合わせ方も完璧。いわゆる得点への嗅覚みたいなものが本職CF顔負けの精度だった。スターリングを使っていた70分間はいったい何だったんだろう。
個人的MOTM:Mikel Merino
ライスと非常に迷ったが、メリーノでしょう。ゴールシーンは前述の通り。前線メンバーが全壊に近い半壊状態でスターリングもこの有り様の中、新たに見えてきた光明である。メリーノがストライカーみたいなゴールを決めてくれなければ今度こそ本当に優勝争いから脱落していた。今後に望みをつないでくれたという結果以上のメンタル的な貢献度も含めてメリーノがMOTMです。
試合総括・今後の展望
いやー、本当に勝てて良かった。メリーノCFはかなり有効的なオプションかなと思ってはいたが、いざ本当に点を決めてしまうと喜び以上に面白さが勝ってしまった笑。崩壊しかけた前線の台所事情、正解はメリーノのCF起用でした。本当によくやってくれた。
試合内容で言うと定期的にレスターに押されながらも、こちらもそれ以上にコンスタントに決定機は作れていたように思う。勿論いつもより押し込んでからのもどかしさはあったし、特に前半のオフサイド祭りは本当にイライラした。けど互いに決定機を作りながらも意外と戦えていたし、メリーノCF起用が成功した今、サカとマルティネッリが戻ってくる3月中旬まで耐えられなくもないような気がしてきた。
次節は23日のウェストハム戦。今季のウェストハムはそこまで怖い印象はない。それよりもこの試合で上手くいった要素を次節以降も発揮していけるかどうか、自分達が今出せるものを最大限発揮できるかが鍵になってくる。個人的にはティンバーもかなり負荷の高いパフォーマンスをしているように見えるのでホワイトを見てみたい。