【アーセナル】PremierLeague/最終節/vsWolverhampton Wanderers(H)【ごとこの備忘録】
試合前展望
新ユニフォームのビジュアル&発売発表、ネルソンの逆転契約延長となる交渉の進展、ジャカの退団正式発表間近など、来季を見据えた動きが着々と活発になってきている現在。CL/EL圏が確定し既に今シーズンの目標が失われたチームも多く、目の前の最終節に対する世間の関心の目は正直あまり高いものではないかもしれない。
そんな今節。試合前の怪我人情報としては、今季に留まらずあり得ない程の稼働力を見せ続けてきたサカ、加えてトロサールとネルソンの出場が危ぶまれている。マルティネッリがシーズンアウトの怪我を負っている今一気に深刻なWG不足となり、前線の構成が非常に気になる状況となっている。
具体的な目標がないとは言ったが、それでも勝利に勝るものは無い。過去10年以上最終節では勝ち続けてきたという記録を持つアーセナル。輝かしい快進撃を飾った今季を綺麗に締めくくるような晴れやかな勝利を収めたい。
試合結果
スターティングメンバー
試合展開
試合前にはファンが歌う『North London Forever』が会場全体を包み込み、金色がきらりと輝く新ユニフォームを纏って臨む選手たち。発表されたスタメンから予想がつくように、フォーメーションは苦い記憶が残る前節フォレスト戦を踏襲したトーマスとキヴィオルのフルバック。そして試合前会見での発言とは裏腹に何事もなかったかのようにサカと銀髪のトロサールがスタメン、またネルソンもベンチ入りした。
前節はUシェイプなパス回しを延々と続けボールを持っているのに攻め手に欠けるといった試合内容だったが、今節のウルブズはフォレストよりかは全体的な守備意識に欠けるチーム。前からのプレスは属人性の高い散発的なものでブロックの硬度もそれほどではなく、特に苦労する様子がなかった。また前節のもう一つの課題「右サイド偏重の攻撃」であるが、ここに関してもピッチを広く使いボールを前後左右に出し入れし、3人目の選手が抜け出したりフリーでボールを持つスキをチーム全体で探れていた。
またウルブズはネヴェスがベンチで守備時アンカーのレミナが舵取りを行う4-5-1。このレミナの脇を両IHを引き付けることで有効活用できていたのが印象的だった。またウルブズがこの部分をケアしようと中を締めると却ってサイドが疎かになり、サカやトロサールに対してダブルチェックにつく頻度が少なく距離もすぐに詰められない位置で正対する事が出来るためカットインが容易に出来ていた。
加えていつもと異なるところを挙げるのならば、ジェズスの右サイドでのプレー頻度がかなり高かったこと。サカとのポジションチェンジが試合を通して多く観測され、ジェズスのWG適正っぷりを感じさせるドリブルでの推進力とそのポリバレント性を遺憾なく発揮していた。
対するウルブズも全く攻め手がないというわけではなく、両WGのヒチャンとトラオレがレーンを跨ぐ力強いドリブルで打開。そこから何度かアーセナル陣内に侵入する機会があったがゴールに恵まれず。そうこうしている内に、ほぼ確定で退団が決定しているあの男に2ゴールが生まれる。
何というドラマか、アーセナル再建期を生き1番の功労者とも言えるジャカに素晴らしい贈り物が贈られた。と同時に、2点目の後にセレブレーションを差し置いて盟友エルネニーと熱く抱擁を交わしていたのがとても印象的だった。
その後も両WGを中心にウルブズの守備ブロックを蹂躙。単独でブロックを外側から切り崩しにかかれるので人を集め、その分味方に必ずフリーマンが生まれユニット攻撃に派生させられる活躍を見せた。加えてトーマスやウーデゴールの想像力溢れるパス選択とドリブルセンスを土台に、戻しや崩しのスイッチパスが通りやすく最近ではイージーな部類に入る試合運びを見せた。
その流れから間髪入れずサカが3点目。サイドネットに突き刺したシュート精度は勿論のこと、1度トーマスに預けトロサールとウーデゴールに密集地帯を攻略してもらっている間に気配を消して抜け出すタイミングを上手く見計らったのもかなり上手だったサカ。
こうして前半の早い時間に3点のリードが付いたことによって勝負が既に決まったかのような雰囲気が漂い始め、試合序盤よりかはある程度落ち着きゆったりとした試合展開へと移り変わる。後半に入ってもこれは同様で、保持時急ぐ頻度が減った代わりに遅攻をメインにして相手の重心の反対を取るようなプレー選択が増えていった。
その分流動的で華やかな攻撃は継続しながらも、相手を敵陣内に幽閉する息つかせぬハイプレスが前半より一層目立っていたように見えた。ボールを持っていようが持っていなかろうがずっと自分達のターン。文字通り試合を支配していた。
その後は度重なるファールを受けて何度か痛める仕草を見せていたサカの交代という不幸もありつつ、60分にネルソンが出場。続けて75分にはジャカとウーデゴールに代わってヴィエイラとスミスロウがそれぞれ左と右のIHとして投入。ジャカの交代時には会場中からの大歓声と拍手、そして残留を願うチャントが送られた。
キヴィオルの移籍後初ゴールというおまけまで付いてきた今節は5-0での完勝。シーズン最終戦をポジティブに締めくくれる大量得点&CSで幕を閉じた。
ピックアップ選手
グラニト・ジャカ
恐らくアーセナルでの最後の試合となったジャカは、アーセナルキャリアの中では初となる1試合2得点をマーク。今季開花したBtoB型MFとしてのゴールへの嗅覚を最終節で存分に発揮して見せたベテランは、交代する寸前までピッチの至る所でビルドアップにも貢献して見せた。
トーマス・パーティ
中盤へ組み込まれる際の配給力と落ち着きは流石本職のクオリティで、アルテタがカイセドを獲ってやりたいと噂されている偽右SBロールの一端に触れることが出来た。またSBとしての守備貢献も総じて穴がなく、出足の良いインターセプトや上下動からディレイをかけることもしっかりとこなしていた。
ブカヨ・サカ
2季連続となるプレミア全試合出場を果たした若くして絶対的なスタメンの座を確立したワールドスターサカ。今節も見事な切り返しから鋭いシュートを突き刺し得点を挙げたのを皮切りに、幾度となくサイドから一気にエリア内へ侵入しウルブズのバックラインを脅かし続けた。
その他得点こそなかったもののA2をマークしたアシスト職人トロサール、卓越したセンスと運動量で存在感を発揮したウーデゴール等多くの選手が活躍した。
全体雑感・次戦に向けて
終わり良ければ総て良し。アルテタも述べていた優勝争いが怪しくなった引き分けのリバプール戦から10試合弱、不甲斐ない戦績を残し続けてきたが、最終節で今季の大躍進を象徴するかのような大量得点での勝利を収められ来季に向けて明るい展望を望めるような締めくくりだったのではないだろうか。
また記録面でも、アーセナル歴代3位となる勝ち点85pt&史上最多となる合計ゴール数103と様々な金字塔を打ち立てた。加えてシーズン100ゴール目を記録したのがジャカと、記録に付随してメモリアルな要素が多分に含まれ多くのファンの記憶に残る試合となった。
シーズンを通しての感想はまた後日投稿しようと思う。とにかく今節の最終戦で非常に良い結果を残せたことが満足である。シーズンを駆け抜けた選手たち、それとアルテタをはじめとするスタッフ陣全員に大きな拍手を送りたい。本当にお疲れさまでした。