オーバーフロッシャーという悪魔

今日こそはと、腕前を上げることやXP更新を夢見てガチマッチに飛び込む。待っているといかにも気分で付けたであろう変な名前や何かのアニメのキャラクターを捩った名前がずらりと並ぶ。腕前Xであれば全て??????????という表記にはなっている。問題は戦うステージが公表されて味方の4人がリスポーンから出てきた時に彼らが持っている武器だ。

オーバーフロッシャー。こいつが目に飛び込んできた時に筆者は小さく無い失望とストレスを感じるのだ。それこそこの武器を使用して高いXPを叩き出すプレーヤーがいることは確かで、多分スペックを最大限に引き出せれば間違いなく強い武器ではあるんだろう。それこそ、スプラ2をウッキウキな気持ちで購入してその日にプレイを始めた初心者の頃の筆者は最初、射程は長いわ跳ね返ってくるわでこの武器なんなんだ!とイラつかされたものだ。

しかし、人は成長するものでそんな筆者ももう腕前Xにまで上り詰めてしまった。ヒーローモードとオクトエキスパンションも遊び尽くしてスプラトゥーン2の実力は少なくとも中の中に差し掛かるレベルである。そうすると、当然色々な武器の評価が変わってくるのだ。

さて、ではその評価の中でオーバーフロッシャーはどの程度のものなのか。デコなら若葉やエクスプロッシャーより少し劣るが悪く無い塗り性能にボムラッシュの組み合わせはエリアの管理には向いているとは思う。ただ、サポートキルの性能はほぼ無く事故に期待する程度のもので、能動的なキル性能も低く、他のシューターとの使い心地はかけ離れたもので、弾速も遅い。特殊な性能をしているため使い手には独特な練度を求める職人向きな武器だと筆者は考えている。

その塗りは平面上では悪く無い、言い方を変えれば強みになるものだが、平面でなければ弾が跳ね返ってしまい上手く角度を調整しなければ先行した弾がすでに塗った部分を重複して塗ってしまう。例えばエリアのマンタマリア。中央のマストを境に二つのエリアがある。塗り枠の動きとして理想はマスト上部の金網から双方のエリアを管理できれば理想だが、下からのシューターやマニューバーの急襲に備えなければならない。しかしオーバーフロッシャーは金網にインクが反射してしまうので中央から動くと金網下から相手の前線に無抵抗で狩られてしまう。片方のエリアを維持しながら前線を上げる事を視野に入れながら味方の動ける範囲を広げていく事を考えるのがセオリーだろう。

味方が上手くサポートしてくれれば、上手く前に出て戦ってくれれば弾の特性上強力な性能になるかもしれないが、言い換えてしまえば一人では何もできないとも言えるのだ。上手い前衛使いはただまっすぐ突っ込んでくるなんて事は基本的に無く、慣性キャンセルや遮蔽物、ボムを上手く利用して射程圏内に詰めてくる。近距離戦になればどんな状況でも8割方短射程側が勝ってしまうだろう。

長射程武器に対して短射程武器は詰めれば勝てるなんて事は低い腕前か動画勢(実際のプレイをしたことが無い人達)が言っているだけで、長射程側からすると2つの選択肢を瞬時に判断すれば事なきを得ることが多い。一つは予め詰めてくるルートを予測、あるいは目視出来る状況(狭い通路等)に誘い込み置き撃ちにてカウンターを狙うパターン。二つ目は詰めてくると分かった時点で引いてしまい生存するパターンである。要は詰められてデスしてしまうのは基本的に長射程側の視野が狭かった事が原因で起こる、単なるミスなのだ。

では肝心のオーバーフロッシャーはどうか、という話だ。二つ目のパターンは塗り状況次第で武器の性能関係なく取れる選択肢となるが、問題は一つ目のパターン。極端に遅いと言える弾速は置き撃ちをする際に着弾と発射のタイミングのズレを考慮してとても早い段階で撃ち始めなければならない。そうすると短射程側には詰めるリスクの判断材料を多くしてしまうのだ。特徴的な発射音やフィールドに弾が残るという特徴がマイナスに働き、置き撃ちの準備をしている事や居場所まで大まかに特定されてしまう。

ここで詰めてきた前衛がリスクを考えて引いてくれればそれでOKじゃ無いか?と思う方もいらっしゃると思うが、戦況という基準で考えると長射程が引くという事は前線が下がるという事と同義になってしまう。前線が下がるとどうなるか、なし崩し的にこちらが不利な展開に落とし込まれてしまうのだ。長射程はどこかで相手の前線をキルする事によって人数有利を作り戦線を維持する事が仕事の一つである。エクスであれ、バレルであれ何であれ立ち位置をキープするにはある程度のキルが必要なのだ。

つまりオーバーフロッシャーに関しては他の長射程武器より短射程武器に詰められた時の被キル率が高く、前線維持能力が低いため他の味方のキル能力や前に詰める動きに強く依存するという欠点が存在するのだ。そしてこの二つを克服するためには他の武器の練度がほとんど関係ない、言い換えれば他の武器にほとんど活かせない練度が必要になってくる。

要は他の武器を持っている時間の殆どはオーバーフロッシャーの練度に基本的に役に立たないというのが結論になる。長い期間オーバーフロッシャーを使い込み、能動的なキルを当たり前のように取れる使い手の方は少なくとも筆者のいるX2300帯にも殆どいない。特にガチホコで味方にオーバーフロッシャーがいた場合は、ホコ割り以外では基本的に一人少ない状況で戦っているようになることも少なくない。味方のオーバーフロッシャーと敵のガチホコ持ちが1対1になってしまったらほぼ確実にリードされてしまう。

なので筆者は多くいるであろうオーバーフロッシャー使いに一言だけ言いたい。武器が好きでオーバーフロッシャーを使っているのであれば良い。だがただスプラトゥーンが上手くなりたくてオーバーフロッシャーを使っているのであればすぐに他武器に乗り換えた方がいい。どこかで限界を感じた時に他の武器にオーバーフロッシャーの経験は基本的に活きないのだ。

ここまで読んでくれた方に、感謝とこの文章に共感だけでもしてくれたらと思う。また投稿するかもしれないので読んでくれれば幸いだ。