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街で人に話しかけられまくる人の話。2人目

パート1はこちらから。

ある日会社帰りに歩いていると、
こんがり焼けたアジア系の外国人女性2名(ビビッドなワンピース)着用が
横断歩道を渡り、完全にこちらをロックオンして歩いてくるんですよね。

いくら自分が人から話しかけられる体質でも、
勿論早く帰りたいし、
話しかけてほしいなみたいな気持ちは無いので
出来る限り目をそらし、イヤホンを装着して、スマホに目を落とし。

多分勧誘系だろうなあと心構えをしていると。

「チョトいい??」
とどちらともなく話かけてくるわけです。

あ~やっぱりね知ってたよ君たちが話しかけてくることは。
ちなみに陣形は兵法で言うところの挟み撃ちですよね。
しっかり取ってくる。

これ見たことあるぞ、容疑者が連行されるときのあれだ。

◆⇒外国人女性
〇⇒自分

◆〇◆みたいな。

ステージ1でパワー取ったグラディウスか?
◆から完全に追加のビーム出るわ。

いや何この両手に突然の異国情緒。
自分だけすごい普通の会社帰り感あふれる格好ですが

女性二人がやたらビビッドなワンピースをお召しゆえに
自分の左右リゾート地みたいになってますけど。
気持ちは海沿い、実際は高架下。

「はい、何ですか?」

イヤホン取って仕方なく返事をするわけですよ。
せっかく海を越えて日本に来て、謎の団体に所属して
そんなビビッドなワンピース着てゴキゲンなのに
シカトされたら悲しいでしょうからね。

「ナニシテル?」

いやどの範囲?

生きてるとか呼吸とか根源的な物なのか?
今家に帰っている行動のことなのか?
仕事は何してるのかということなのか?

「え?何が…?」

と思わず出てしまうわけですね。

「シゴト!!シゴト!!」

ホッホッホ…これこれ、落ち着きなさい。
と突然のボルテージアップに同様しながらも

「事務です。」

と答えるわけですね。
正直に答える必要もないし
とりあえず事務で行こうと答えたところ

「オ~~~!!ジム!!!!」

ガッデム This is完全にGYM。

そっちか~~そう取られるか~~。
果物屋さんとかにしておけばよかった~~~!!

「アハハ~そうそう…」

とテンションはダダ下がりなわけですけど。
話は続いていくわけで。

「ワタシは英語で本を読んでいル!!!」

えっ!?急~~~に?どうした?
でもまあ、いい趣味じゃん!良かったね!

「ナマエ!!!」

「タナカです。」

「タナカ!!!タナカ!!!!」

虚偽の田中に向かって嬉しそうに。

「タナカ、神様どう思う????今幸せ??」
って。
あ~きたきた。そうこれね。待ってたよ。本題ね。

「自分より幸せな人間この世に居ないと思うくらい毎日ハッピー。」

と死んだ魚みたいな目で答えるわけです。

「ア~~…」

効いてる。確実に効いている。
こちとらデイリータスクかと思われるほど
老若男女問わず話しかけられてるんだぜ?
もうどの宗教でもどんと来い状態よ。


「ソンナコトナイ」


ハッピー人間まさかの否定。

完全に返答を無かったことにして
台本を続けようとしているな!?


「いやもう満ち足りてる。
目覚めとともに毎日祝福の音楽が聴こえるから。」


応戦ですよ。負けられねえ。


「タナカ本読む????」

ウン虚偽のタナカも偶に読む~~。

「読むよ。」

「ワタシは英語で本を読んでいル!!!」

あっ聞いたよ~さっきも聞いた。
いい趣味だと思うよ。


「週末に英語で本を読んでいル!!」

あっ


「教会デ日曜ニ…週末英語本を読んでいル!!」


やられた~~~!!!!教会出された!!!
もうこれ打つ手ねえ!!!
なかなかうまい伏線回収してくるじゃねえか…!!!!


「タナカのハッピーもっと良くなるヨ!!!」


ぐおわ~~~そう持ってきたか~~!!!
白旗だよ。勧誘だよもう。

「えっ本当に!?」

もうノるしかない。こう来たら勧誘までスマートにやらせてあげたい。

「週末ハ?暇??」


任せろ!!くれてやるぜ!欲しい答えをよォ!!!
虚偽のタナカは腹の底から答える。


「今週なら暇!!」

一気に上がるテンション。
勝ちを確信した片方が放つ


「じゃあ、一回来てみロ!!!教会!!日曜日!本を読ム!!!」


「いや!!!!!!」


一瞬の間。
まさかここに来て否定が来るとは
想像していなかったのだろう。


「エッ」


二人の同様をよそに
流石GYM勤務と申告した虚偽のタナカ。
しっかり発音して答える。


「ワシャ絶対に行かん。」


「エッ…?」

まさかの頑固親父の風格。
動かざること山の如し。


「じゃ本読み頑張って!!お疲れした!」

「アッ…」

ビビッドなワンピースの二人を置いて、コンクリートジャングルに帰っていく。

タナカ(仮)は知っていた。
宗教勧誘系のものたちの見せる隙を。慢心を。

こうしてGYM勤務には到底見えない、
虚偽のタナカは今日も夜の闇(自宅の方向)に消えていったのだった。

そんな今日の画像はこないだ作ってみたアップルパイ。
普通に食えばよかった味に仕上がりました。

パート1はこちらから。