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もはや"生き物"ロマン機材「ファズ」ペダルの飼いならし方

こんにちは!
GT SOUND LABのTAKUYAです!!

現代のエレキギター演奏に欠かせない「歪みエフェクター」。
特にファズはその独特な音色で今なお多くのギタリストに愛されています。
しかし、うまく使いこなして良い音を作るにはそれなりの知識と経験が必要なエフェクターでもあります。

現代ではそのジャンルも細分化され、ストンプ・スタイルの歪みユニットとしては最も古い歴史を持つファズの立ち位置も、今や刻々と変わりつつあるようです。そこでここでは、先人達が見出したのファズのユニークな個性をおさらいすると共に、現代のシステム上でそのサウンドを最適に運用するためのセオリーを紹介します。
ファズへの正しい理解が引き出すオーセンティックな性質を乗りこなし、是非、信じるトーンに「もう一押し」の可能性を導いてほしいです。


「ファズ」の存在意義の変化

ギターを歪ませる手段として最もポピュラーな方法は、アンプによる増幅です。真空管にかかるプレート電圧に高負荷をかけることによって歪みを得るやり方は、当時から、ロック・サウンドにとって必要とされる倍音やエッジ感を得るのに理想的とされていました。
しかし、それは音量を目一杯上げないと必要な歪みに到達しないというデメリットも孕んでいました。
現代のアンプのようにプリ・ゲインステージを持たない黎明期のワン・ヴォリューム・アンプは、まだオーディオ・アンプを無理矢理ハイインピーダンスに対応した程度のものであったため、それ自体が歪みを生むのに適正な構造を持ち合わせていませんでした。
そこで、アンプの進化を待てない当時の人達が考えた対処法は主に2つありました。1つは、アンプのヴォリュームをマックスに上げること。
そしてもう1つが、入力部に擬似的に過負荷をかける外部ディヴァイスを用意することでした。そんな中で登場した製品が、「ファズ」です。

ファズは、ただの帯域ブースターなどではなく、その名の通りの「毛羽立った」音質により、例えアンプの音量が低くとも必要なゲインを得ることのできる画期的なディヴァイスでした。
その歪みは、決してアンプのように豊かなダイナミクスを備えていたわけではありませんが、少なくとも、それまでのギターによる歪みの常識を一変させるのに充分なほどセンセーショナルでした。

1962年に世界で初めて作られたと言われるファズペダル。 マエストロが発売したファズトーンは、 もともと壊れたミキサーを通した音がクールだったため、 それを真似たと言われています。 そして、このペダルは、世界で初めてのコンパクトエフェクターであるとも言われています。

特に、ギターやアンプのヴォリューム・コントロールからの解放は、当時のプレイヤー達の新たな想像力をかき立てたに違いありません。ファズを追加するメリットは、歪みによってギターという楽器の表現力が桁違いに広がる楽しさを、改めて人々にアナウンスしたことです。当初は歪まないアンプを割るだけの存在でしかなかったそれは、いつしかファズそのものが持つ音色を差し替えて楽しむといった趣向を生むようになり、あげくには、周囲のディヴァイスとの相性をも考慮して使用されるようになっていきました。

Tone Benderのひな型ともなったMaestro Fuzz-Toneの内部

やがて、オーヴァードライヴやディストーションといった単体でもアンプに匹敵するレスポンスを有した高品位な歪み系エフェクターが登場すると、ピーキーで手元のニュアンスの出しにくいファズの歪みは、飛び道具的な用途へも適応の幅を広げていきました。変幻自在な適応力により時代ごとに用途を変化させ、半世紀を生き延びることに成功したファズ。その存在意義の変遷を追えば、ギター・サウンドにおける歪みの進化の過程を見ることができるのです。

BOSS / OD-1 ・・・1977年に発売されたBOSS史上初のコンパクトエフェクターシリーズであり、世界初のオーバードライブ

ファズを現代システムに組み入れる

シンプルな構造故に、トランジスタを中心としたわずかなパーツの違いでもその個性を発揮できるのがファズです。
しかし、「どこからでも良い音が出る」現代のオーヴァードライヴのようなモダンな歪みに慣れ切ってしまった人にとっては、そのスウィートスポットの狭い、癖のある音をダイレクトにシステムに組み込むのには抵抗を覚えるかもしれません。

そこで、ファズに馴染みのない世代でもその効果を手軽に使いこなせるように、他のデバイスとの相性からその特性を見ていこうと思います。
単体では使いにくくとも、ファズのある意味人工的な音色というのは、特定の機材と手を組むことによって意外なセンシティヴィティを継続的に発揮するからです。アマチュアでもペダルボードに好きなエフェクターをこれでもかというほど乗せて歩く時代に、そうした視点を持たないのはむしろ宝の持ち腐れというものです。具体例として、「三大ファズ」と呼ばれる勢力別に、その音の傾向からオススメの組み合わせを挙げてみることにします。

続きの記事では、ファズ同士の組み合わせや、入力インピーダンスの調整など、プロの現場でも実践されている具体的な方法を紹介し、ファズの基礎知識から効果的な使い方、さらには最新のテクニックまでを詳しく解説したいと思います。
これを読めば、あなたのギタートーンが一段と進化すること間違いありません。初心者から上級者まで、全てのギタリストに役立つ情報が詰まったこの記事を、ぜひ最後までお楽しみください。

なお、こちらの記事は10 部販売したら値上げさせていただきます。

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